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ウッドショックの次に必ず来る◯◯ショック

私は神戸で小さな建築会社を営んでいます。ここ最近、同業の経営者と顔を合わすたびに聞かれるのが「ウッドショックの影響はどうですか?」との質問です。もともと、私たちは地域材である兵庫県産木材を使っての家づくりに取り組んでいることもあり、一般的なビルダーが外国産の木材で建てていたのに比べ影響が少ないと思われての事のようです。実際、ローコストで建築をしていた建売業者等は木材の高騰で事業計画が崩れて現場がストップしているところもあるようで、業界全体では深刻な影響が出ています。外国産木材の輸入が激減し、需要と供給のバランスが崩れたことにより、当然、私たちも多少なりとも影響は出ていますが、安い住宅を大量に供給していた会社に比べるとその影響は限定的といえます。また、4年前から地域産木材の活用のコミュニティーを立ち上げて熱心に山と木材卸業者、そして工務店の連携を図ってきたこともあり、新たな流通のスキーム構築に乗り出しています。

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ウッドショック問題の拡大

最近は建築業界内にとどまらず、一般のニュースでも木材価格の高騰が報じられるようになり、建築コストがどこまで上昇するのか、いつ頃落ち着くのかと大いに話題になっておりますが、実は5年ほど前から国産木材の中国への輸出量は増加を続けており、以前から木材価格の国内外の価格差は逆転現象を起こし始めていました。また、補助金頼みの日本の林業は今までの国内産木材の取引価格では間伐や枝打ちなど、適切な山の手入れもできない位に疲弊しており、放置されたままの森林が日本全国に散見されます。そんな観点から見ると、現在の木材価格の上昇は長期トレンドと言わざるを得ません。木材価格は高止まりをしたまま定着し、山にその利益が還元されるようになって、初めて林業が自立した業態として復活し、循環型のモデルになるのだと私は理解しています。それにしても、毎年公開される林野庁の国産木材利用の白書には外国産材の価格高騰による輸出木材の増加はずっと記載されており、国も業界も、もっと事前にウッドショックに備えているべきではなかったかと思ってしまいます。

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未来への第一歩としての職人育成

話は変わって、今日は私が顧問を務める会社の全体会議があり、姫路の山奥にある山間の集落、宍粟市まで車を走らせました。今回、会議の中で私が提案したのは大工工務店としてのブランド構築のために未来に向かって歩みを進めるべく、来年から若手大工の育成に取り組もうとの提案でした。私が代表を務める株式会社四方継でも毎年のように新卒の大工見習いを採用しておりますが、稼げるようになるまでに何年もかかる見習い大工を正規雇用で採用するのは大きな費用負担になります。採用から3年程経って漸く使えるようになった頃に退職されることもあり、リスクを理解した上でそれなりの覚悟を決めなければ大工の育成は簡単にできるものではありません。今回の私の提案はそのリスクを出来る限り軽減させたものでしたが、それでも若者を預かり育てると言うのは大きな責任を伴います。結果的に、社長が腹を括り、大工さん達も若手の育成に前向きに取り組むことをコミットしてくれて、私の提案を採用してもらうことになりました。

ウッドショックの次に来る職人ショック

若手大工育成に取り組むことが決まった後で、私が会議で皆さんに伝えたのは、「ウッドショックで今は業界が振り回されているけど、5年後には職人ショックが起こり、大工がいない会社はいくら受注をとっても工事ができなくなるような時代が来る、その時に備えて今職人育成に取り組めばおのずと明るい未来は開ける。」と言うことです。
ウッドショックも実は長期トレンドであり、(こんなに急激な変化があるとは思っておりませんでしたが、)以前から予測がついていたと上述しましたが、職人不足、大工不足は長期トレンドどころの騒ぎではなく、絶滅危惧種に指定されてもいい位、大工人口の激減が続いています。30年前に800,000人いた大工が現在200,000人を切ろうとしており、全国で若年層の大工は2000人もいない状況で、現在、現場で活躍している大工の大半は私の年齢である50代半ば以上の初老または老人ばかりなのが現状です。あと10年もしないうちにその大半が引退すると考えたら、ウッドショックどころではない大激震に業界がさらされるのは火を見るよりも明らかです。

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見て見ないふり、もしくは他人任せの業界

そんな業界関係者じゃなくても簡単に予測できる未来に対して、全くと言っていいほど何の備えもしようとしていないのが現在の建築業界の現実で、若手の育成どころか正社員として大工を採用し、施工力と技術を蓄積することさえしない会社が大半を占めています。確かに、職人を外注扱いにして、福利厚生もつけずに必要な時だけ雇い入れる方がリスクも少なく、目先の利益は確実に増加します。しかし、不安定極まりない職業として認知されるようになった大工になりたい若者もいなければ、もしいたとしても親御さんが「職人にするために学校に行かせたんじゃない、」と泣いて止めるような状況下にあって、企業が他業種に負けない様な労働環境を整えて、若者が安心して就職できる先として若者に認められなければ、絶対に大工が増える事はありません。結果的に、何年か先には大工不足により現場の着工、完工が遅れる、もしくは着工ができなくなり、キャッシュフローが回らなくなってしまう結果に陥りかねません。長年、大工育成を行ってきた私としては、職人が在籍していない工務店やビルダーは目先の利益にとらわれて未来を作ることを放棄しているとしか思えません。

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必ず来る未来へ備えませんか?

そんな建築業界の中でも、(希少ですが)モノづくりの本質に気づかれて人づくり=大工育成に取り組まれる会社もあります。職人の社会的地位の向上と、守られるべき職人にスキルアップしてもらうことを目的とした研修事業を行っている一般社団法人職人起業塾に参画され、社員を送り込まれる事業所の多くが、私が提唱する現場改革と職人育成の重要性と教育方針に賛同してくれており、この数年、多くの会社が職人の正規雇用、採用育成に取り組まれるようになりました。私が数社の顧問を務めるのもそのような卒塾生が在籍する事業所に向けてであり、現場改革とともに職人の採用、育成、人事制度やキャリアパスの運用のお手伝いをしています。

目先の利益ではなく、今現在は緊急性がない職人育成の取り組みは、いわゆる第二象限の緊急性の低い重要な部類へのアプローチであり、未来を見据えての取り組みが、近い未来に必ず大きな成果となって現れると思っています。決して簡単ではないし、大きなリスクを抱えることにもなる職人の採用と育成ですが、問題を分解し、一つずつ丁寧に向き合えばそんなに難しくはありません。数年後に必ずやってくるウッドショックよりもきつい大工ショック、職人ショックへの備えを行うなら、今がラストチャンスだと思います。もし、未来の職人不足のリスクに向き合い、職人内製化に取り組みたいと思われたら、お気軽にコメント欄等から連絡をもらえれば。まずは無料の1to1セッションの機会を提供します。必ずくる未来、今から備えませんか?

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