飲むだけで世界が少し良くなるお酒。エコゼロを知ってる?
本業で社会課題を解決するCSV型ビジネスモデルを研究し、実践するコミュニティー、経営実践研究会の神戸の定例会が昨日行われました。メイン講師としてご相談いただいたのは、日本を代表する酒造メーカーで、ヨーロッパの品評会で数々の受賞歴があり、ノーベル賞の晩餐会でもサービスされて一躍世界にその名を轟かせた福寿の蔵元、安福社長でした。灘五郷は日本一の日本酒の産地であり、そこで270年の歴史を刻む、老舗企業でありながら、杜氏制から脱却した品質管理。国外評価を得られる酒造りを通した海外マーケットへの進出などの新たなモノづくりへのチャレンジだけではなく環境や地域とのつながりに深く配慮した先進的な経営の内容を披露いただきました。
網羅的なサスティナブル思考の実装
世界に名を馳せる銘酒「福寿」を生み出す蔵元、神戸酒心館では日本酒の国内需要が減少を続ける中、海外の販路を果敢に開拓することで近年、生産量を3倍に増やすほど、堅調な業績の推移を見せられています。これだけでも凄い事ですが、安福社長のお話を聴いて驚愕させられたのは、生産量3倍に対して水の使用量や電気の消費量を30%近くも押さえていると言う環境への取り組みです。また、海外マーケットに打って出て需要を開拓するのと真逆の取り組みに思える地域に蔵を開放してイベントを開催したり、健康に配慮して酒を飲んでもらいたいと市民向けの健康診断を行ったりもされているとのこと、そして、酒の原料となる酒米を生産する神戸の農家さんとは専属契約を結んでDXやlotの支援まで行われているとのこと。酒造りにまつわるありとあらゆる事に対して持続可能性を高める、サスティナブルな思考が行き渡っていると感じました。
飲むだけで少し世界が良くなる日本酒
さらに驚かされたのは、なんと、世界初の日本酒を造る工程においてカーボンゼロ(二酸化炭素(CO₂)排出量が実質ゼロ)の日本酒「福寿 純米酒 エコゼロ」を昨年発売されたとのことでした。地球環境に真摯な眼差しを向けて、この世界を持続させる自立循環の思考とテクノロジーを駆使した取り組みの酒造りへの実装がとうとうここまできたのか!と度肝を抜かれました。同時に、神戸で生まれ育った神戸人として誇らしい気持ちになりましたし、これから神戸土産はコレ一本やな、と他国に鼻高々に自慢できる神戸名物が生まれたと嬉しくなりました。まさに名実だけでなく思想や実行力においても世界一の酒造メーカーです。このお酒が広まり、多くの人の口にされることで環境への意識が高まったり、持続可能性について真剣に考え、語り合うきっかけになるのではないか、と感じた次第です。
eco福寿の取り組みが如何に凄いかを知って頂きたいのでHPの抜粋を以下に転載させて頂きます。
神戸の誇りと本質的な社会課題解決
あの震災を乗り越えて、270年間、13代に渡って日本の伝統を守り受け継いで、世界に広くその価値を訴えて高い評価を得ている上に、世界で初めて管渠に対して真正面から取り組み、世に問いかけるような製品を生み出した、こんな日本酒をつくる酒蔵がありなんてまさしく神戸の誇りです。
同時に、私が寂しく感じたのは世界の国々に比して、日本人の酒類の消費力の圧倒的な少なさです。寒い国の人がウオッカを好むとか、気候風土の違いはあるにしても、日本人は圧倒的にお酒を飲む量が少ないとの統計は、人生を楽しむ時間や場が少ないことを示しているのではないか、との解釈も生まれます。勿論、ただ酒を飲む量を増やせば良いという事ではなく、友人や家族、仲間達と酒を酌み交わしながら人生を楽しむ時間をもっと持てるようにすること、未来に対する不安を払拭し、楽観的に今を楽しめるような社会にすることが、実は酒蔵だけに留まらず、ありとあらゆる国内産業の活性化に繋がると思うのです。
仕事、福祉、教育、税制、環境と現代社会における課題は複雑に絡み合って影響し合っている関係にあります。その課題を解決するには業界や官民の枠を超えて、人の幸せを追求する目的に向かって手を取り合って、歩みを進める必要があると改めて感じさせられました。まずは、世界一サスティナブルな酒蔵がある兵庫から、連携をとって生きるに値する社会への変容を進めて参りたいと思いますし、私たちの得意な分野から取り組んでまいります。
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兵庫から日本を、世界を変えるキッカケを生み出すフォーラムを行います。
真の民主主義の組織、コミュニティー、社会への変容を目指す活動をしています。