できない本当の理由。〜本質的リスクリバーサル〜
習慣がもたらしたもの
ワードプレスからこのnoteに移行してまだひと月ほどですが、実は私、日々の気づきをログに起こしてアウトプットする習慣に取り組み始めてそろそろ12年目を迎えます。毎日の些細な出来事を取り上げて、自分なりに考察して書き残す公開日記的な習慣を長年続けていると、意外な力が身に付くもので、普段からアンテナを立てていないとネタ切れになってしまうこともありますが、取り立てる程も無いような事に目を向けて、表面的な現象だけではなく、その本質を考える癖がついてきた様に思います。これはいろんな場面で使えるというか、無意識のうちに感じている事が多いのですが、本質で無いもの、上っ面の取り繕いや嘘、ごまかしに気づくのが以前に比べて敏感になったというか、ドラゴンボールで言うところのスカウターを手に入れた感覚になる事があります。元々、学歴のない大工上がりの経営者である私は、じっくり考える事、思考を深める事、感じた事を文章化してアウトプットする事の全てが苦手でしたが、苦手感があったからこそ続けてきた習慣で多くのものを手に入れたと今になって感じています。
スカウターで見える本質
私は神戸の西の端っこで小さな工務店を経営する傍ら、自分自身と社員の大工の成長の経験則を元に建築実務者向けの研修事業、一般社団法人職人起業塾を立ち上げて全国で活動しています。その研修ではグループコーチングを行なっておりますし、3社ほど顧問として関わらせて頂いている先の従業員さんと1to1のセッションも頻繁に行なっている関係で、コーチング的な立ち位置で若者と話す機会が多くあります。もちろん、自社の社員の数名とも定期的にコーチングのセッションを行なっています。
コーチングの語源は高級ブランドcoachのロゴの馬車に象徴される様に、連れて行く、導く役割だと言われます。私の場合は、間違いを指摘して再考を促す事も少なく無いので純粋なコーチングでは無く、ティーチングとカウンセリングとコンサルティングが入り混じったセッションになっています。若者たちとやり取りをしていると表面的な理由を取り上げて「出来ません。」と諦める事が少なからずあり、スカウターをつけている私としては本当に向き合うべき本質から逃げている姿勢が見えるだけに非常に気になる訳です。
出来ない本当の理由
一応、コーチっぽいセッションを行うと、次回までの目標設定を決める話になりがちで、2週間、もしくは1ヶ月先迄の期間で具体的に何かしらの行動をコミットメントしてもらう事が多くあります。しかし、(やろうと思ったけど、)出来ませんでした。私には無理です。間に合いません。等々・・、達成できる範囲で目標設定したはずなのに、未達です、と残念な報告をもらう事があります。「それはおかしいね、なぜ未達になったの?」と優しく聞いてあげるのですが、その答えは大まか上っ面を滑る言い訳で、本当の原因や理由にたどり着いていない事がほとんどです。
例えば、新しい習慣として読書を初めて、その感想を毎日私に送ってくれる様になったスタッフに「内容が結構良いし、頑張っているので同僚にも送ってみてはどうか?」と提案したところ、やってみます。と言いながら、結局実行出来ませんでした。その理由を聞いてみたところ、気恥ずかしいから、との答えでしたが、私のスカウターには、そもそも同僚に評価されていないので批判されるのが心配、わかっている風な立派な事を書いてしまうと言行一致していないと突っ込まれそう、要するに自分自身に自信がないのが実行出来ない理由だと映りました。
本質的なリスクリバーサル
その彼は、仕事に対して非常に前向きに意欲的に取り組んでおられますし、勉強熱心でこの数年、随分と成長したと私も評価をしています。しかし、まだまだ出来ていない事も多く、同僚から信頼を集めてリーダーとして頼られる様になるには課題も多く残されている感は否めません。本人もその部分について薄々感じているのですが、そのリスクに正面から向き合い改善することよりも、今、自分が取り組んでいる事に集中して、強みを伸ばした方が良いと思っているし、実際、日常業務の上ではそれが正解である可能性もあります。しかし、視点をもう少し広げて見ると、今後のキャリアを考えれば、自分一人の業績を高めるのは重要ではありますが、周囲の人から信頼を得られる様になることの方が実は大事で、建築の様に一人では何にも出来ない業界においては特に、だと思いますが身内からの信頼を得られない人は最終的(本質的)にはお客様にも信頼を得られなくなります。
出来ない本当の理由に真摯に向き合って、たとえ少しずつでも自己改善、自己改革への取り組みに一歩足を進める事が将来的にやって来るリスクに備える事になりますし、逆に、継続する事が出来れば時間と共にそれが高じて強みに転換される事もあるかも知れません。本質的なリスクリバーサルとは、表面的な問題や課題ではなく、目を向けるのを避けがちな自分のウイークポイントに向き合って叩き潰す勇気を出す事だと思うのです。「本当の理由」に目を向けてみられませんか?
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