見出し画像

若手職人を採用、育成する前に、職人を育成する職人を育成する。

職人育成の高等学校、マイスター高等学院を運営する一般社団法人マイスター育成協会では、毎月2回、誰でも参加出来る無料オンラインミーティングを開催しています。1つは事業所に高校を併設して若者を受け入れる事業に参画した経営者及び育成担当者が集い、中学校、高校への生徒募集や中学校へのものづくりの楽しさを伝えるワークショップの開催、実際の高校を運営する中で知見を集約するリアルな情報共有の場となっています。
もう一つは、準会員向けの勉強会で、そこでは、キャリアパスや賃金テーブル等の人事制度整備の実務的な運用事例の共有と、質疑応答を重ねながら新たに参画を検討する方向けに詳細のスキームを説明する場となっています。

未来を見せられない仕事

現在の建築業界では、自社で職人を正規雇用して採用、育成している事業所は非常に少なく、よしんば雇用していたとしても、一人前の職人(日当2万円)のその先、50歳と言われる体力、肉体のピークを過ぎて年齢を重ねた先のキャリアプラン、現場で働かなくなった時にどのような役割と責任を担えるか、そしてどれぐらいの年収を得られるかを入社時から一目で見れることができる賃金テーブルを運用している会社はほぼ皆無です。一般的な業態では普通に整備されている労働環境が整備されておりません。これが、圧倒的な職人不足を引き起こし、若者に忌み嫌われ、親御さんにも職人になるのは止めておけと言われる最大の理由だと私は考えています。

職人育成の高いハードル

若者を受け入れて、育成するのに不可欠なキャリアパスが建築業界でほぼ運用されていないのにはそれなりの理由があり、それは構造として完全に定着してしまっています。職人を外注扱いで事業本体と切り離してコストをかけずに都合よく道具のように使おうと言うのがスタンダードになってしまっている業界において、費用とコストがかかり、面倒な上に運用の方法論が確立されていないキャリアパス、人材開発のシステムの運用に乗り出すはかなりのリスクで大きな勇気が要ることです。私たち、マイスター育成協会では、実務的な事例を公開し、運用の詳細を示し、導入をサポートすることでそのハードルを下げて高校生として若者を受け入れる事業所を増やす活動をしています。

令和に昭和の教育者ではダメ

そのミーティングに集われる経営者の方々は、非常に意識の高い、先見の明がある方ばかりです。もうすでに到来していると言われている、圧倒的な職人不足がもたらす悲惨な結果をイメージして、そのリスク回避に踏み出そうとされる論理的思考と勇気を持った方ばかりが集まられます。
昨日、そのミーティングがあり、マイスター高等学院の運用のスキームやそこで行っている学習内容をご紹介しました。初参加の方にも大いに共感を得られましたが、課題として持ち上がったのは、現場で若者を教え導く、教育係の職人がいない、もしくはベテランの職人はいるが職人独特の凝り固まった考え方を持っており、教育すると言うよりは、勝手に背中を見て覚えろと言うタイプしかいないと言った悩みでした。

知的労働者としての職人へのシフト

大工に限らず、職人と言う職業は、完璧なものづくりをして、期限通りに成果物をクライアントに引き渡す技術的なスキルが不可欠です。しかし、これだけができたところで、道具や機械とたいした変わりはありません。本当に大事なのは、ものづくりをする目的を明確に持って、前向きな批判的精神を備えて机上で書かれた図面が本当に正しいのかを検証しつつ、現場にしかない知見を集積、活用してさらに良いものづくりが出来るような提案とコミュニケーションができるスペシャリストであり、その高みに上り詰める意欲を持った人こそが本来の職人です。道具の様にこき使われてポイ捨てされる作業員では無いのです。
これから仕事を覚える若者を、このような専門家として活躍する職人に育てたいと思うなら、まず現在、社内で活躍する職人の働き方や考え方をそこにシフトできていなければなりません。

職人起業塾の存在意義

現場での知識と経験を積み重ねて、高い技術力を持つ職人はたくさんいます。しかし、それだけでは、体力の衰えとともにパフォーマンスは下がり、同時に所得も下げ続けなければならなくなります。設計、もしくは設計アドバイスや、施工管理、もしくは顧客の窓口になって、要望を引き受け、それを現場で形にする役割を担ったり、現場で生み出す売り上げや利益の管理がトータルでできたりする職人は現在の建築業界では皆無です。もしそのような職人がいても、それは社員として働いているのではなく、独立して経営者になってしまっています。本当に必要な職人のスキルを身に付けると言う事は、起業して経営者となっても難なくやっていけるレベルの人材へと育てると言うことに他なりません。この教育を行ってきたのがマイスター高等学院の前身である職人起業塾です。

職人を育成する職人を育成する

職人起業塾では、半年間15回の研修で、志を立てる、目的意識を持つところからスタートし、人間力、マーケティングの基礎理論、ロジカルシンキング、そしてコミニケーションの要諦をみっちりと学びます。その上で何度もアクションプランを立てては実践し、検証し、ブラッシュアップした計画を精度を上げて練りなおすワークショップを繰り返し行います。職人を中心として塾生は集まりますが、講座で行うのは技術だけではなく、付加価値を生み出す能力を開発するカリキュラムになっています。
私が創業の志に掲げた「職人の社会的地位向上」は、職人自らが守られる価値のある人となり、自助の精神を持って地位を勝ち取るものだ。との想いす。7年前にこの塾を立ち上げ、現在も大阪で第20期を運営しています。ちなみに、経営者のオブザーバー参加は無料で受け入れております。
若者を育てる前に、若者を育てる職員を育てなければならないとお悩みの方、付加価値を生み出し、現場からビジネスモデルを組み立てる職人育成にご興味がある方は、以下のフォームからお気軽にお問い合わせください。

_______________

職人の採用、育成、そして現場基軸のマーケティングをワンストップで提供しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?