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行けば地球が良くなる旅 in BALI 文化が最強
インドネシアのバリ島に滞在してます。
旅することで世界の課題を知り、視野を広げ視座を高める。ほんの少しでも社会の解決に取り組む意欲を湧かせる、出来れば行動する。そんな行けば少し地球が良くなる旅を企画するNPO法人タビスキ。私はその立ち上げ前から関わっていたこともあり、企画されたツアーには基本的に全参加することにしています。前回は兵庫の山間部の宍粟の集落に行き、日本中のどこにでもある過疎の村での課題に向き合いました。殆ど食用に使われることなく、ドッグフードになってしまう鹿肉の問題はその後、プロジェクトが立ち上がり、少しだけその地域が良くなる取り組みが進んでいます。前回のツアーの様子はこちら。
タビスキの想いを綴ったHPはこちら
世界最大の島嶼国家で世界を感じる
今回のバリツアーに参加しての私の目的は、赤道直下の島の文化を知る、大自然の力を活用したビジネスを知る、植民地政策により近代化から取り残された島国でのソーシャルビジネスを知る。の大きく3つでした。ツアーに織り込まれた数々のコンテンツを巡りながら、人口が増え続けているる世界最大の島嶼国家から世界を感じたいとの想いです。
グリーンキッチン、グリーンスクール、エシカルホテル、現代のマザーテレサと言われるブミセハット国際助産院のロビンリムさんに会いに行く等々、企画に盛り込まれているのは大転換を迎えている現代を読み解くのには知っておくべき事柄ばかりだと感じて1週間という時間をこじ開けて赤道を超えてバリ島に来ています。何回かに分けて、人口世界4位の発展を続けている国、経済だけではなく人材交流でも日本と密接な関係にあるインドネシア、バリ島での学びを忘備録として書き残したいと思います。
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スタディの前に現地に触れる、知る、感じる
現在、私が行っている事業は主に建築、地域活性化、教育の3つの柱に集約されます。少しずつ毛色が違うように思えるそれらの事業はどれも深く関わりがあり、最小公約数的に共通しているのがモノづくりの担い手の地位向上であり、自助の精神を持って未来を切り開く力を身につけてもらう教育とその場作りです。その観点から、多様性を認めるプロジェクト型教育のベストプラクティスとも言われるグリーンスクールの見学と、宿泊すれば地球が良くなるをコンセプトに運営されているエシカルホテル、マナホテルでの宿泊と運営をされているアースカンパニーの方からソーシャルインパクトを生み出しているビジネスモデルについて紹介頂くこと、現代のマザーテレサと言われるロビンリムに会いにいく24時間、365日無料で貧困層向けに助産院を運営しているブミセハット国際助産院への訪問はどれも深い関わりがあり、社会課題解決型モデルへのシフトでソーシャルインパクトを生み出そうとしてる私達には知っておきべき事例です。
ただ、そのスタディ・コンテンツのカリキュラムに入る前に、まずバリ島を知る、触れる、感じるべきだとフィールドワークを行い、大きな衝撃と深い課題を感じさせられました。
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人して優先すべきこと
バリ島を歩き回る中で強く感じたのは伝統文化の深い浸透とその一般化と言っても過言ではないくらいに至るところに文化的なモノが溢れかえっていることでした。商業施設、住宅の境なく、至る所に立派な門が有り、それは細い路地裏を入っても存在しています。私がバリ島に入った当日は「鉄の神を祀る日」だったらしく、神を祀る像はもとより、道端や車、バイクにはお供えの花や線香が供えられて町中に溢れていました。インドネシアではイスラム教徒が7割を超えるとされる中、バリ島ではヒンズー教徒が8割。独自の進化を遂げたとされるバリヒンズー教への教化は深く、新年を迎える静寂の日には、誰一人家から出ないし、飛行機さえも上空を飛ぶことが許されないとのこと。信仰や祭りが経済合理性などよりもずっと大切な価値観としてどっかりと根を下ろしているのを強く感じました。そして、人々はにこやかで行き交うだけで笑顔を投げかけてくれます。人の営みの本質、幸せに生きる為に大事にすべきことを垣間見た気がします。
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伝統と文化こそが真の人間の価値
伝統文化が生活に溶け込んでいるのを見える化しているのが、溢れかえる伝統的建築物と調度品に施された彫刻、仏像や神殿、そして町中にある山を形取った割れ門等の街全体のデザインです。それらが圧倒的な物量で島全体を覆い尽くしており、そんな場所で育った人は独自の文化をアイデンティティーとして持つのが当然になるのも頷けます。今回、ガイドを務めて下さった、現地に長年住まうyumiさんによると、バリ島の平均月収は日本円にすると3万円程度、そのうち、頻繁にある宗教的な行事で2万円くらいを使い、後の1万円で生活をしているとのことでした。ちなみに、大工で5万円くらいが月収とのことでした。先進国と呼ばれる地域とはまだまだ大きな差があります。また、住居は日本のような核家族ではなく、何世代もの家族が大人数で同じ敷地に住んでいることが多く、集団での生活、家族〜村を形成する共同体で暮らし全体の運営がなされているとのことでした。社会を構成する基盤に伝統と宗教、文化が根付いているのは本当に素晴らしいと感じましたし、人の幸せは金銭を稼ぐことでも、物欲を満たすことでも無いのだと改めて感じさせられました。
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バリ島のポテンシャル
ちなみに、バリの産業の8割が観光産業であり、海外からきた人へのサービス業で生業を立たせる世帯が多くを占めます。あとは建築や工芸品のモノづくり、農業での半自給自足的な暮らしのようです。街や村を歩き回った中での一番の感想は、神々に触れる島として圧倒的な人気を誇り、世界中からこぞって人が押し寄せるバリ島の魅力は豊かな自然と南国ならではの気候だけではなく、信仰とそれをバックボーンにした伝統文化であり、それが至る所に表出されている、もしくは人の生き方や表情にまで浸透していることではないかと思いました。
最近、日本が観光地として世界でトップの人気を誇るようになったとの報道を目にしましたが、バリ島の本物の文化触れて、日本で美しい景観が見れる、伝統的な建築物が存在するのはほんのひと握りで、本来守るべき伝統と文化はすっかり廃れてしまっているのを感じてとても残念に感じました。経済ではなく、文化という視点で比較した時、日本はインドネシアに圧倒的に劣っていると感じたのです。同じように欧米諸国の植民地となり、独立を果たした経緯を経ているだけにどちらが良かったのかと考えずにはいられません。
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これからの世界の新しい基準探しの旅
欧米型の資本主義経済は際限のない成長を前提に社会システムが組み立てれており、その限界が近づいてきている事は世界中で表面化しています。地球は有限であるとの原則に立てば、持続可能な循環型の社会システムへの転換は未来を託す子供達に対して今を生きる私たちの責務だと考えています。
お金を多く稼いだところで人は幸せにならないし、経済大国になるほど精神を病む人は増え続けています。日本の若者の死因のトップは自殺です。格差と分断が進む世界は紛争や戦争が絶えず起こり続けるのを世界中の人が既に知っています。人の幸せとはなにか?人類の永遠のテーマとも言える問いに対する本質的な解をそろそろ私たちは見出すべき時にきているし、時代も大きく動き始めています。未来を作るのは今の選択。そろそろ選択の基準を損得勘定や利己主義、刹那主義から解放して、人としてどうあるべきか?との在り方の再設定から行えるようになるべきだと思っています。そんな命題を持って訪れたインドネシアでのスタディーツアーで感じたことを数回に分けて綴っておきたいと思います。圧倒的な伝統と文化と信仰の島にはその問いに対する糸口が見つけられる気がしています。
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