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今こそSECIモデルを実装させるべき理由

大工から起業した私はこれまで25年間、建設業を営んで来ました。
創業してから、悪徳リフォーム問題、姉歯事件、リーマンショック、ウッドショックと様々な問題が押し寄せてきて、その度に何とか乗り越える。を繰り返してきました。正直、大変でした。(笑)

未曾有の危機到来

しかし、そんなこれまでの苦労など可愛く思えるほど、現在の建設業は未曾有の危機に晒されています。

それは、圧倒的な人口減少の局面に日本が突入したことであり、マーケットが消え去ると確定した未来が現実味を帯びてきたことです。

人が居なくなる街に建設の需要はありません。
これは以前から、国交相の資料では建設会社は半分しか残れないと示されていたので、実は業界の皆が知っていた事です。しかし、昨年秋頃から実際に需要の急激な冷え込みが始まり、多くの経営者が対処を模索し、慌てふためいているのが業界全体の現状です。

そして、殆どの企業がなんの解決策も持たないままの丸腰で過酷な戦場に突入しようとしています。

図1 実績値は国土交通省「住宅着工統計」より。

奴隷か死かの二択?

図1は新築着工棟数の予測を示しており、2040年には1990年のピーク時の1/3以下の需要に落ち込むとされています。新築事業に関しては建築会社の数は半分以下にならざるを得ません。

ただ、建設業は新しい建物を建てるばかりではなく、既存の建物のリノベーションやコンバージョン、リフォームや営繕、ライフライン・インフラの維持管理でも地域に対して重要な役割を担っています。リフォーム・リノベーションのマーケットは今後、大きく拡大はしないにしてもこれまでと同等の規模で推移すると考えられています。それも結局、2040年頃までだと思いますが。

そもそも、建設業は土地に根ざして成り立つ生業で、いわゆる地場産業の際たる業態です。地域の建物やライフラインを守るのは実際に現場でモノづくりを行う職人を雇用する企業であり、その殆どが中小企業と呼ばれる地域企業です。
今後、新築以外のマーケットでパイの奪い合いが激化することが容易に予想できますが、工事の受注に関して言えば、潤沢な資本を持って宣伝広告を大々的に出来る大手企業が圧倒的に有利なのは従前の通りです。これまでの流れのままだと、地域企業は下請けになるか、廃業するかの二択を選ぶことになってしまいます。

出所) 実績値は住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模(2020年版)」より。予測値はNRI

原因と結果の法則

建設業の地域企業にはお先真っ暗感が否めませんが、実際に工事を施工できるモノづくりの企業が潰えるとこの国の生活安全保障が保てなくなります。自然災害への対処も備えも出来なくなります。
あるべき未来を考えれば、建設の地域企業は生き残らなければならないのです。

では、競争過多の業界で、資本力も大したリソースも持たない、地域企業がどのようにして生き残りを図るのか?
非常に難しい問題のように感じますが、実はこの答えは意外にシンプルです。
それは、生き残るべき企業だと地域やマーケットから認められる企業が生き残る。しかありません。
存在意義を認められ、この会社がなくなったら困ると多くの人に言わしめるようになるしかないのです。

消えてはならない企業と認められるのはどんな会社か?この問いの解を見出すことが出来れば消滅してしまうことを回避できます。

例えば、

・地域に溶け込み、一体となるコミュニケーションが取れている
・地域に対して大きな貢献をしているのが認知されている。
・同業他社では行えない課題解決を提供できている。
・大手にも出来ない先進的な商品・サービスを生み出している
ect..

言うはやすし、行うのは難し。と言いますが、こんな卓越したリソースや環境、状態管理ができていれば苦労しないと多くの経営者は口を揃えて言われると思います。
しかし、生き残るには生き残る原因や要素が必要なのは明らかです。

因果応報

地域企業の生き残りの緒

ここまでの内容を整理すると、

・中小の建設業の企業は絶滅の危惧にさらされている
・生き残るには生き残れる理由、要素が必要
・生き残れる条件を整えるのは難しい
・しかし、モノづくりができる企業は社会にとって必要

まるでパラドックスに嵌まり込んでしまったかのような難しく、解決困難に思える状況ですが、私は解決できると思っていますし、絶対に解決して、地場産業としてのモノづくり企業は生き残らなければならないとも思います。

その糸口は、ダーウィンの進化論の中にある適者生存の法則にヒントがあります。
「生き残ったのは変化に適応できたもの」との言葉は有名ですが、これはダーウィンの言葉ではありません。ハーバード・スペンサーというイギリスの哲学者です。
ダーウィンはその変化への適応について、「共感で繋がった共同体が大いに子孫を残した」と書いており、個としての生き残りは困難でも共同体を構築して助け合えば、厳しい環境下でも生き残るのは難しくないとの示唆を進化論の中に書いてくれています。真理や原理原則は古来から変わらず存在するのです。

SECIモデルが日本を救う

生き残るべき企業が生き残る。その為には、上述の卓越したリソースを持つ企業の知見を共有し、更に成長発展させられる共同体を再構築するしかないのが私が出した結論です。

ただ、規模の小さな建設業が全て生き残る必要があるわけではなくて、地域や社会にとって存在意義を感じられない企業は潰えて当然だと考えています。
なので、作るべきは事業で地域社会の課題を解決して貢献したいと本気で思っている企業ばかりが集まるコミュニティーだとなります。
CSV経営と呼ばれる社会との共有価値を創造する、いわゆる三方よしを目指す企業のみを集約した建設・建築業界の関連企業のプラットフォームを立ち上げる取り組みをこれから進めます。
全国各エリアで地域の課題を共有し、協働して解決へのアプローチを模索する、全国のメンバーで情報共有することによって、エリアを横断したプロジェクトを立ち上げる。全国のメンバーが一堂に会して情報を共有し、それぞれの地域で実装に取り組む。これを繰り返すことで螺旋的成長を叶えるのをSECIモデルと言いますが、今こそナレッジ・マネジメントを建設業界に浸透させることで、新たな時代への適応を可能に出来ると思うのです。

出所)https://www.brains-tech.co.jp/neuron/blog/seci_model/

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