未来創造への挑戦 〜SINIC理論研究委員会発進〜 メタ実践プログラムday1
コロナ禍で世界が止まってVUCAの時代が本格化したと感じていた時、不透明で不安定、複雑,曖昧なこの世界にどうやって未来を見出せば良いのか?と途方に暮れた人も多かったと思います。私もその一人でした。
未来を創る理論
そんな時、当たり過ぎる未来予測として大きな話題になったのがオムロンの創業者、立石一真氏が50年前に発表していたSINIC理論です。
オムロングループでその理論を更に深く研究するシンクタンク、ヒューマンルネッサンス研究所の中間さんが(当時)自然経営研究会の武井浩三さんと一緒にYouTubeでその解説をされるのを私も食い入る様に見ていました。
それを観て、なるほど、私達は大きな流れの中で生きていて、未来は占うものではなく、進歩と進化を繰り返し理想へと向かって歩みを進めているし、自分達も意識的に未来にアプローチしなければならない。と言うよりもできるんだ。と勇気を貰いました。
歴史と実証
その後、2022年の9月に中間真一さんが書籍にまとめられた「SINIC理論」を上梓されました。
そこには科学、技術と社会がお互いに刺激しあって成長・成熟していくとの理論だけではなく、立石一真氏が描いたあるべき未来、つくるべき未来への道ををなぞるかのように、オムロン社が未来予測を元に小さな下請け製造業から世界的な企業に発展した歴史が紐解かれており、また、未来を単に予測するのではなく、あるべき未来を強烈にイメージして自らそれを創る意思こそが企業や社会を発展させるのだとの強いメッセージが込められていました。
象徴的なのは、「最もよく人を幸福にする人が最もよく幸福となる」との立石一真氏の言葉です。
書籍出版を機にSINIC理論は広く世間に知られる様になり、単なる未来予測ではなく、企業は意図を持って未来は創れる可能性があるのだと多くの経営者に気づきを得たと思います。
VUCA時代の要請
そんなタイミングで私がCOLを務めている経営実践研究会に、オムロン創業者の立石一真氏のお孫さんであり、ヒューマンルネッサンス研究所の所長の立石郁夫氏がアドバイザーに就任下さいました。
事業を通じた社会課題解決を目指す私達の研究会に共感を頂いてのことですが、私にとってはまさに僥倖の至り、ただ、それは引き寄せの法則とか、思えば招くとかではなく、時代の流れにアンテナを張って今後必要になる知識や理論を感じていれば当然結びつくごく自然な流れに感じました。
そして、立石郁夫氏のアドバイザー就任に合わせて監修をお願いして立ち上げた分科会、SINIC理論研究委員会に即参画して昨年から活動をスタートしました。今年は2期目に入り、いよいよ社会実装のフェーズ、実践の研究に踏み込んでいます。
昨年度のレポートはこちら。
メタ実践プログラム day1
メタ実践プログラムと名付けられたこの度の研修は、SINIC理論を企業活動に実装すべく、導入のアプローチを明らかにすると共に未来を創造する企業のパターンを形成することを目的にしています。研究委員会を牽引してくださってきた杉岡氏が独自の視点を研修プログラムに落とし込んで、多くの方が理論は理解出来るが、実装のイメージがつかないと言われてきたSINIC理論を自分自身の事業に反映させるサポートを買って出てくれました。
杉岡氏はデザイナーからマネジメントへとシフトされた経営者で、アート、哲学、そして歴史にも非常に造詣の深い方で、SINIC理論の本質を綿密な歴史考証からスタートしていると看破されました。
この度行われた第一回目の研修では参加者がまず自分史を整理してメンバーと共有するところからスタート。このプログラムが秀逸で、自分自身の歴史と他者の歴史の接点や共通点が見えたり、生きてきた年代の特徴が掴めたりとまさにメタ認知・メタ思考を養う非常に気づきの深い時間になりました。
次回は自社、もしくは自社が置かれている業界の歴史を研究、発表が課題として参加者に課せられました。まずはこれまでの進化・発展の経緯を把握するのを未来予測の入り口に設定されています。実装に相応しい素晴らしいアプローチだと感じた次第です。
時間意識の叡智の結晶
講師を務めて頂いている杉岡氏の講義では時間軸に焦点を絞ったレクチャーを頂きました。
特に時間の流れ方について、endlessな『回る時間』と目的意識を持ってゴールでendを迎える『進む時間』の分類と歴史の転換点との関わりを示した事例は非常に分かりやすく、受講者全員が「時間」に対する概念を変えられたかと思います。
杉岡氏のSINIC理論が時間意識の叡智の結晶であるとの持論の展開は見事で、書籍を一人で読むだけでは絶対に理解できない部分を端的に可視化してくださいました。このレクチャーのお陰で参加者全員の顔が明るくなったように感じたほどで、独自の研究の成果を惜しげもなく公開くださる杉岡氏には感謝するばかりです。
オープン・ソースが生み出す未来
このSINIG理論研究のメタ実践プログラムは、私がCOLを務めている一般社団法人経営医実践研究会の分科会の中のプロジェクトとしてスタートしました。全4回のプロフラムは既に満員で見学さえも受け入れられない状態ですが、次回以降は更にブラッシュアップした研修としてリリースする予定です。
まずはSINIC理論を企業に落とし込んで新たなビジネスモデルを生み出す事例を作り、その実績や事例を共有することで杉岡氏以外にも研修を行える講師を増やしてゆくゆくは全国でメタ実践プログラムを展開したいと考えています。
こんな構想が出来るのも、SINIC理論を自社だけのものにせずにオープン・ソースとして公開されたオムロン社の寛容さのおかげです。
立石アドバイザーに監修を頂いて進めることで、本質にしっかり根ざせるのだと先日の懇親会の中での会話でも痛感しました。
立石一真氏が標榜し、立石郁夫氏が実装を目指す未来を私たち地域企業からも作り上げていくことができる可能性に現在とても興奮しています。
未来を創造する地域企業が溢れる社会を創る第一歩を踏み締めました。
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大工から起業し、建築会社、地域コミュニティー事業、研修事業と展開して来た私の現在の生業は「高校の校長」です。
教育から社会課題を根本解決する!
これを民間でやります。是非繋がってください。