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最高の酒のアテ

私が17歳で社会に飛び出した頃、よく友人達と酒を飲みながら語り合いました。何が楽しくて夜な夜な集まっては酒を酌み交わしていたのか、もちろんその内容については覚えていません。ただ、とても楽しみだったことだけはその当時良く通っていたバーとも居酒屋とも言えないようなお店の内装と一緒に覚えています。

夢語りをアテに飲んだ若い頃

その頃からもうすぐ40年、随分と歳を食ってしまいましたが、私の中では意外と変わっていない部分が多くあるように感じています。男は幾つになっても子供だと言われますが、自分自身を鑑みて、進歩も発展もないことに一抹の焦りを感じつつ、まさしくその通りだと実感しています。若い頃、私は自分に無限の可能性を感じていました。傍目から見ると何の強みも特徴もリソースも持ち合わせていないただの悪ガキにしか見えなかったと思います。しかし、なんかでっかいことやってビッグになったるんや!と子供っぽい夢を熱く語っていたような気がします。そんなバカバカしい時間が私には最高でしたし、友人達と何の根拠もなく、明るい未来を夢見て語り合っていました。当時は本当に貧乏で、豪華な食事を摂ることはありませんでしたが、夢語りが最高の酒のアテでした。

熱く志を語り尽くす

50歳を過ぎて、還暦が近づいてくると、さすがにもう子供の時のように夢を見る事はなくなりました。大人ですから、もう少しリアリティーのある実現可能な理想を語りながら、仲間と酒を酌み交わす時間が増えました。自分の人生をあてにして、酒を飲むと言うことについては、基本的にあまり変わっていないのかも知れませんが、志について、熱く語りながら、高揚感を持って酒を酌み交わすのは、やっぱり最高の時間で幕末の志士達も、古くは戦国武将も同じような時間を持っていたのだと思います。

酒を酌み交わす理由

いくつになっても大して変わらない行動パターンを繰り返していることに若干照れくささもありますが、定期的に同じ行動を繰り返し続けるにはそれなりの理由があり、必要性を感じているからだと思っています。それは、メタ認知と言われる自分自身や自分の人生を俯瞰して現在地と理想の未来を結びつけるイメージを膨らませる機会がそこにあるからではないかと思っています。酒を飲み酔っ払ってくだを巻く時間が重要なのではなく、自分の心の中の暗黙知を表出する場として、もしくは人の想いに耳を傾ける機会として酒を酌み交わしリラックスして語り合う時間は意外に有意義に働いていると感じています。

人生を動かす原動力

私は、自分の人生を含めて、あらゆる事業は計画と実行に集約されると考えています。そして計画の精度を高めることで、実現可能性が高くなることを人は誰しも知っており、計画の実効性を確かめるために頭の中で何度もシミュレーションを繰り返します。ただ、計画を実行するのは、強い意志の力であり、マインドセットの精度が結局、計画を動かします。いくら綿密な計画を立てたところで、行動できなければ、一切の結果が生まれないのも自明の理、結局、人生も事業も論理ではなく心を決める感情に大きく左右されるのです。

言霊の力

そして、人は束縛されるのを嫌う生き物です。それは、他人からの束縛だけにとどまらず、自分との約束を窮屈に感じるし、できれば、あまり細かく計画を立てて縛りつけたくないと思ってしまいがちですし、しかも、自分との約束はつい気軽に破ってしまいがち。この壁を乗り越えることができなければ、計画と実行のスキームは機能しません。そこで必要になるのがマインドセットの役割です。目指す理想に向けて、心を決めるマインドセットは、自分の心の内面へのアプローチであり、他人との関係性はあまり無いように思います。しかし、他人に知ってもらうことで気軽に破ってしまいがちな自分との約束を守る効果があります。

酒飲みの戯言

「男子の志は塩のように溶けやすい」と昔の人は言いました。人は基本的に弱く、岩をも貫くような強い意志を持っている人はほとんどいないといっても過言じゃないと思っています。それでも、計画と実行の壁を乗り越えて、この世の理想の実現に進むことを誰もしなければ、世界は怠惰で強欲な地獄になってしまいます。それを食い止めるためにも、理想を語り、ビジョンを掲げ、人生を俯瞰する時間が必要で、そのために心やすい仲間とともに、志を語るシーンが、人生には必要不可欠だと思うのです。人生こそ最高の酒のあて、楽しく、面白く、そして熱い時間を過ごすのは、この世界をより良くして次の世代に引き継ぐためにもとても大事だと思うのです。酒飲みの戯言でした。(笑)

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