日本のモノづくりを支える未来のマイスターたちへ
昨日、来春に開校予定のWスクール制度を活用した職人育成の高校、マイスター高等学院の提携高校である大前学院さんとの実務者協議を行いました。入学手続きや願書の体裁を整えたり、カリキュラムの編成など、学生や親御さんに私たちが新しく作る学校の内容を分かりやすく示し、理解してもらえるような設が漸く見えたとても良い会議ができたと思います。あとはパンフレットやHPを整えて若者たちを受け入れる準備の作業が終われば、いよいよ本格的に生徒の募集をスタートします。
事業所に戻ってきて早速、パンフレットに掲載する若者へのメッセージを書いてみました。学歴社会からこぼれ落ちそうになっている若者に届くように、共に学校の立ち上げを行っているメンバーとこれから内容を揉みながら、ゆくゆくは全国に拡散していきたいと思っています。以下にその内容を紹介します。
問い直される学校の在り方
現在、長年懸念されてきた少子化の影響で子供達の人数が少なくなり、学校数は激減を続けています。また、学校に通うのをやめてしまう、止めてしまう児童はコロナ後、激増しており、小中学校合わせると33万人とも言われます。それでも相変わらず殆どの子供達が高校へ進学はする様ですが、全体の3%はこれまでも卒業できずにこぼれ落ちてしまっており、それはこれからもっと増加する傾向にあると言われています。そして、学生数は減り続けているにもかかわらず、通信制の高校に通う生徒も、通信制の高校も増え続けています。ゲームプログラムやクリエイター、その他専門的なスキルを学びながら高校卒業資格を取得できる学校は大きな支持を得て増え続けています。この現象はこれまでの学校教育に対して子供達がNOを突きつけているのかもしれません。学歴偏重、テストの点数重視の教育ではなく、もっと自由に将来に役に立つスキルを学べる学校の選択肢を子供達は求めているのだと私は理解しています。実際、学業の成績と社会での活躍は一致しておらず、学校の在り方自体を問い直す時期に来ていると思うのです。
本当に学校で学ぶべきこと
通信高校が爆発的に増えている今、これまでに比べて子供たちの高校進学に対する選択肢は増えました。しかし、学びのための学びなし。と言われるように、重要なのは学校を卒業したその先です。高校卒業資格を持っていれば、中卒よりは就職に有利ではありますが、実質、企業の採用担当者から大した評価を得られるわけではありません。進学してサラリーマンになれたとしても、大手企業に就職できる可能性は高くなく、たとえそれなりの企業に就職できたとしても、今の時代安定した職場がそこにあるとは限りません。VUCAと呼ばれる不安定で不透明、複雑で曖昧な世界では、自分で生き抜く力をつけることが重要です。その意味では、技術と知識と経験を身に付けられるマイスターはこれからの時代に合った働き方、生き方だと言えると思うのです。
学職一体の高校の2つの特徴
学歴社会からこぼれ落ちた子供たちの救済、建築業界の圧倒的な人材不足、この2つの社会課題の解決を目的として設立されるマイスター高等学院は大きな2つの特徴があります。1つは社会人として必ず活躍できる教育を受けられること。高校卒業資格だけでなく、職人としての技術の習得と、何よりも人としての信用と信頼を得られるあり方と志を明確に持ち、それを現場で実践できる力を養います。
2つ目は未来までのキャリアプランを見通せるがバランスの整った企業への就職が入学とセットになっていると言うことです。提携事業者は未来創造企業と言う持続可能性が高い企業との第三者認定を取得した事業所のみとなっており、これまでブラックとかグレーとか言われてきた建築業者とは一線を画す良い会社ばかりが集っています。そこで働くマイスターは単なる作業員のような職人ではなく、技術以外の付加価値を生み出す能力を身に付けて、本人のやる気さえあれば大きな活躍ができることが約束されています。このスキームは、現在全国各地に広がりを見始めており、全国の若者たちにこれまでになかった新たな選択肢を渡せるようになります。安心して生きがいを持って働ける環境を整えることで、若者たちに社会から求められる本質的な学びを提供したいと思っています。学校に行く目的や意味が見出せない子供たちに1人でも多く、そんな私たちの想いが届けば嬉しい限りです。
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建築実務者向けに現場価値創造の実践研修を行っています。
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