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事業をスケールする『時流』と『インフラストラクチャー』

インフラストラクチャー
インフラストラクチャー(英語: infrastructure)とは「下支えするもの」「下部構造」を指す観念的な用語であり、以下の意味がある。
国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設。
企業などの主幹となる設備を上記に例えた用語。
         出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

日本では一般的にインフラという名称で呼ばれており、Wikipediaの本項でも「国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設を指す。また、情報化社会の情報網整備や新規分野の法律整備などの意味でも使用される。」と書かれているように公共的な社会を支える構造、もしくは構造基盤を指して使われる言葉です。ただ、私は近年、世界の産業構造も価値観も大きく変化する中、インフラの定義も大きく変わって来ていると思います。最近のわかりやすい例を上げると、Twitterはもとより動画配信のYouTubeも完全に情報インフラとして確立されたように思いますし、Instagramは企業の集客基盤だけでなく個人間のやりとりでも電話と変わらない、もしくはそれ以上に日常に普及したインフラと言えると思います。ICTの飛躍的な技術革新はこれまでの社会基盤を大きく変えました。そして、インフラが新しく整備されるのにいち早く気づいた者が時流に乗ってビジネスをスケールさせるのは今も昔も変わません。

継続的な時代の大転換期の正体

これまでの人類の歴史を振り返ってもインフラストラクチャーは時代の要請に従って生み出され、構築されたり整えられたりしてきました。狩猟から農耕へ、大航海時代を経てフロンティアスピリッツの名の下に世界中が植民地化され世界の物流はつながりました。そして産業革命が起こって世界は市場主義、資本主義社会へと変革と集約を続け、豊かになった世界ではあらゆる事業はサービス業になりました。全てはインフラストラクチャーです。その中でも人類史上最も大きな変革を生み出したと言われるインターネットの普及は新しく構築されたインフラの最たるもので、地域間、個人間による情報格差を(表面上)無くしたことで資本主義社会の特徴であるヒエラルキー構造の崩壊、フラットな世界への移行の口火を切りました。そしてその革命は徐々に社会から企業、そして個人へと浸透していき、人々の働き方から生き方まで全てを変えたと言っても過言ではないと思っています。常に新しいインフラが生み出され、その度に中心となる産業やビジネスの形態は変化し続けます。そして価値観の集約として成立する市場も利用可能なインフラによって変わっていきます。近代になってからインフラのイノベーションが絶え間なく加速度的に繰り返されてきたことこそ、日本では戦後からずっと時代の大転換期にあると言われ続けている所以だと思うのです。

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イノベーションとインフラストラクチャーの深い関係

時代の要請に適応した先進的な事業者(イノベーター)は世界を変えると言われます。最先端のテクノロジーを駆使して次の時代の要請に応えると、その技術やサービス、商品はインフラ化して世界を巻き込みます。GoogleやiPhone、Amazon、Uber、zoom等々、世界を席巻しているアメリカのITグローバルは全てインターネット社会の一部のレイヤーでインフラを構築した企業で、いち早くそれに気づき、そのインフラ(商品やサービス)を活用した人や事業所が大きく成長、発展しているのは誰もが認められるところではないでしょうか。そして、次に整えるべき社会基盤はなにか?その問いに対する答えを見つけた企業が大きくスケールするのはもはや自然の摂理にも似たビジネスの世界での原則になりつつあります。イノベーションとは根本的な社会課題、問題解決を担う革新的な技術・サービスと訳されますが、それも結局、まだ顕在化していない時代の要請をいち早く感じ取り、インフラを整える活動だと言い換える事ができるのではないでしょうか?
その様な観点で見れば、イノベーションを起こすのは技術革新や潜在的ニーズのリサーチも去ることながら、次に求められ、構築されるべきインフラについて敏感に感じとる感性が最も重要かつ不可欠な資質である気がします。

今、欠けているインフラストラクチャー

世界を変える程のイノベーションを生み出すのは大きな資本と卓越したリソースが必要なのは自明の理。インターネット革命以後、それはグローバル企業の専売特許の様に思われてきた感があります。ローカルビジネスの中小零細企業では大きなイノベーションなど起こせない風潮が確実にあります。
しかし、実は、世界はカップリングして一つにまとまっているわけではない事が最近のパンデミックによって明らかになりました。世界は簡単に分断されてしまうし、そもそもインフラストラクチャーは地域に住まう人が利用するものであり、何も世界共通である必要がないのです。コロナの恐怖に煽られ、鎖国と言っても過言でない国と国との分断、先行きが全く見えない不透明感と不安感が蔓延する世界になって分かったことは、次に求められるインフラは個々の人に寄り添い、人が感じる多種多様な幸せに焦点を合わせるwell-beingや将来への不安を払拭する持続可能性という人間の欲求の原点に回帰するための社会基盤ではないかと最近強く感じています。イタリアの片田舎の過疎化が進み荒廃しかけていた美しい村の伝統技術を守り、職人を守り育てる事で本質的なモノづくりを目指したブルネロ・クチネリが世界で大きな人気を博し世界で一番美しい会社と称賛を集めたのは象徴的な事例ですが、各地域単位で人を幸せにするためのインフラが今の世の中には整っておらず、そんな本質的な課題解決に対してこれから新たに見出され、広がりを見せるインフラストラクチャーに気づく事がこの混迷の世界を生き抜く最も重要なファクターになるのではないかと思っています。

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小さいながらもスケールしたのはインフラの活用

私は元々神戸の片田舎で大工として起業しました。現在、神戸を中心に地域に根を張って「建築事業」と「地域コミュニティー事業」を行う株式会社四方継と、全国に展開している建築関連事業所向けの教育、人事制度改革のサービスを提供している一般社団法人職人起業塾の2つの法人を主に運営しています。一介の大工職人だった20年前に比べると、それなりに影響力を持つようになり、創業の時の志を実現すべく取り組んできた中で小さいながらもそれなりにスケールしたと感じています。私の小さな成功体験も実は新しいインフラに気づき、取り組んできた結果でもあります。
15年前に当時普及し始めていたHPの次にブログがこれからの情報インフラになると考えて情報発信を始めました。今も、ほぼ毎日の更新を続けておりますが、その情報発信を続けてきたおかげで、一般社団法人職人起業塾の事業が成り立っていると言っても過言ではありません。また、ブログでの情報発信を建築事業を行っている経営者に届けるためのインフラとして活用したのが10年前にローンチされたFacebookです。今ではすっかりおっさん向けSNSという認知になっておりますが、fbのおかげで多くの経営者とコンタクトが取れたり、メディアへの露出のきっかけを作ることができました。私の事業が全国にスケールしたのはやっぱり、新しく運用される様になるインフラにいち早く気づき、使いこなす様に取り入れたからなのです。

次に来るインフラストラクチャーは?

そして今、ICTの技術も一巡し、SNSがすっかり社会インフラとして定着、もしくは選別、淘汰される時代になりました。私が最近になって新しいインフラになるのではないかと感じているのは新たなテクノロジーを使ったツールではありません。むしろテクノロジーを使いこなすのは基本的なビジネスリテラシーになっており、これからのインフラストラクチャーはリテラシーを持った「人」の集合体、コミュニティーになるのではないかと感じています。ファクトとフェイクが入り混ざり、ネットの世界はまさに玉石混交の様相を呈しています。情報が溢れかえり何が本当かわからない時代の判断基準は信頼できる筋(人)からの発信であるか否かにかかっていると考える人は多いと思います。例えばコロナやワクチンへの認識、組織や社会の在り方、これからのリーダーのあるべき姿、解決すべき社会課題への姿勢など、政治や経済の問題を含めて、全てにおいて無関心で興味を示さない人と交わっていても絶対に明るい未来を切り開くことは出来ないと思うのです。まして、売り上げ、利益、内部留保、自己資本比率等々の事業所の内部にばかり目を向けて外部との交流や情報収集、学ぶ姿勢を持たない経営者、そんな人が経営する会社は長い目で見ると社会や市場から存在価値を認められなくなると思うのです。その逆に、社会課題に向き合い、事業を通して課題解決を行う会社こそ、社会に求められ、認められる存在になるのは想像に難くありません。その様な高い志を持った事業所が集まるコミュニティーこそ新しい社会基盤として機能するのではないかと思うのです。

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コミュニティーインフラストラクチャーが社会を変える

半年ほど前にご紹介頂き、入会して活発な活動に参画している「経営実践研究会」は、入会の条件に「本業で社会課題を解決する意思を持っている事業者か?」と問われるなかなかの高いハードルが設定されている団体です。自社だけが競争に勝てばいい、金が儲かれば良い、世界の未来には興味がないという経営者は初めから弾かれて入会されません。本気で今の世の中の問題や課題に対して憤りを感じたり、より良い世界を次世代に残したいと心から願っている人たちばかりが集まる実践(=実業と社会課題解決の両輪)を研究する会は強力で、これからの世の中を切り開いていくであろう可能性を秘めた経営者が数多く集まっています。トマ・ピケティが著書に著し、映画化されて大きな議論を巻き起こした通り、株主利益を価値の中心に据えた経済活動を行う現状の行き過ぎた強欲資本主義社会は解決できない数多くの社会課題を生み出し続けました。VUCAと言われるほど混迷を深めたこれからの世界を良くして行くには全ての事業所が人に寄り添い、人の幸せを考える「人の幸福」を価値の中心に据えたソーシャルビジネス化して行く必要があります。経営実践研究会では、そんな事業所が年内には1000社になろうとしています。今は未だ600社程度の小さな団体ではありますが、時代の要請に合致していることを鑑みれば今後、大きなムーブメントになると私は確実視しています。このようなコミュニティーが近い将来、インフラストラクチャーとなり社会基盤として機能し始めるのではないかと考えています。
新しいインフラにご興味がある方は私にご連絡頂ければご案内しますので、是非一度、参加してみてください。世界が変わる、ビジネスモデルが根本から変革する胎動を感じて貰えると思います。
ご質問、ご感想等お気軽に、メールでもどうぞ→takahashi@sihoutugi.com

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以前、このnoteでもご紹介したTリーグ発足3年目で優勝と上場を同時に達成した琉球アスティーダの早川社長が大阪の特別講演に登壇されます!非常に貴重な機会のなので是非参加してください!ゲスト参加もOKです!

沖縄まで早川社長に会いに行った時のnoteはこちら、




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