フラットで逆ピラミッドの世界へのギアチェンジ #タレンティズムの発現
私は建設業界の実務者向けに研修事業を中心に人材育成サービスを行う一般社団法人職人起業塾を主宰している関係で、しばしば建設業界団体から講演の依頼をいただきます。昨年からはさすがにコロナの影響で講演依頼は減りましたが、今日はzoomを使ったオンライン講演を久しぶりに務めました。ご依頼いただいたのは超有名工務店として全国にその名を馳せる九州のエコワークス社で、代表の小山社長は、住宅のZEH(ゼロエネルギー)化で日本の工務店を牽引するトップリーダーといっても過言でない存在です。同社のその取り組みには私も大いに共感と言うよりも強く尊敬している憧れの経営者で、そんな立派な会社のスタッフさんに私のような大工上がりの小さな工務店経営者が講演を行うなどおこがましいにもほどがありますが、私よりもはるかに優秀な人が集まっているだけに、伸びしろを意識してもらうとすごいムーブメントを工務店業界に起こせると思い、僭越ながら講演をさせてもらうことにしました。
フラットな世界と逆ピラミッドの組織構造
私の今日の話の内容を一言でまとめると、世界は大きく変わり、逆転のパラダイムの世界だからこそ、カリスマ経営者の小山社長ではなくスタッフの皆さんが才能を発揮してムーブメントを起こせるのだ。と言うことです。
講演やセミナーなどで講師を務める際は、いつも一番初めに世界は変わったと新しい世界に生きている認識を共有するようにしています。これからの世の中はこれまでの延長線上ではないと、前提条件として共有してから、VUCAと呼ばれる不安定、不透明、複雑、曖昧な新しい世界に私たちはどのように適応すべきか、そしてどうあるべきかを問いかけて、参加者の一人ひとりに考えてもらう機会をお渡しするようにようにしています。
今日の切り口は、山口周さんの著書「ニュータイプの時代」からニュータイプとオールドタイプの対比の引用や、昨年、土の時代から移行したと言われている風の時代の特徴などを紹介して、ヒエラルキー型のピラミッドの形をした社会構造が逆転して逆三角形になった。との前置きから、トップダウン型、管理型の組織ではこれからの複雑怪奇な世界の変化に対応することができなくて、フラットな構造で組織に構成し直し、全員が主体性を持って、それぞれが持つ価値観や倫理観に従って、誰しもが持っている類い稀なる才能を発揮して、良き意図を仕事に転換する必要があると言うことでした。
顧客接点は末端の現場実務者にあり
そもそも、私たちのようなものづくりの会社では、顧客の評価は常に現場にあり、末端の顧客接点にある職人や施工管理、営業、そして設計等の実務者が現場でのものづくりを通して顧客との信頼関係の構築を担います。いくら経営者が立派な理念を掲げても、実際の現場がグダグダではその会社の評価は落ちるばかりで、それが繰り返されると経営が立ち行かなくなるのは自明の理です。逆に、顧客に向き合う担当者が本当に顧客の幸せを考えて、真摯なものづくりに励めば間違いなくその会社の評判は高まり、信頼という名の未来の売り上げが蓄積されていきます。とにかく、建築業は現場が全てなのは以前から変わらぬ真実ではあるのですが、それが今後、どのような意図を持って仕事に向き合っている組織なのか、どのような目的を持ってそのスタッフが働いているのかが問われる機会が増えて、これまで目に見えることがなく、あまり重要視されなかった「意図」に対する評価がより顕著に現れるようになると、ソーシャルバンクの例などを取り上げながら熱心に伝えました。
ピラミッド型の組織から逆三角形への逆転はボトムアップ理論と言う言い方もされますが、これまでチームに所属する最も末端の現場実務者、指示命令を受ける側とされてきた若者や職歴の浅い人たちが自分なりの価値観や確固たる信念を持って主体性を発揮して働くようになると組織全体が大きく変わる事は想像に難くありません。そこに明確な意図(目的意識)を持って仕事をすれば、若ければ若いほど、頼りなさそうに見える人ほど、ギャップ萌えが加算され、顧客からはもとより、協力業者や職人さんからも強く信頼されるようになると思うのです。その、ギャップとは才能であり、期待値を大きく超えることで、顧客の満足を通り越した感動を与える力になります。末端の人たちがそれに気がつくことで、組織の状態は大きく代わり、そこから発出されるパフォーマンスはこれまでとは全く違うものになるはずです。
概念を学ぶだけでは意味はない
私の講演で伝えるのは誰にでも理解してもらいやすい原理原則に基づいた概念や観念であり、聴けばなるほど、と思ってもらえるように構成を組み立てておりますが、1時間強の講演でそんな概念を聴いたところで実際は何にも変わらないのが実際だと思っています。非常に残念な事ですが、概念は誰にでも当てはまるし、興味を持ってもらえますし、何かしらの気づきがあるかも知れませんが、自分ごとにならない以上、そんな話を聴いたところでなんの意味もありません。なので、講演を聴講してもらった参加の皆さんには、少しだけ、ほんの30分だけでも時間をとって、行動を起こすことをいつもお勧めしています。
微力方程式なる、毎日の少しの積み重ねを繰り返すことで乗数効果が加速して複利計算で雪だるま式成長を遂げることを数値で表して説明しています。たった30分の読書や勉強でもし、1/1000だけでも成長することができるなら、365日続けると1.4倍の自分に変わり、3年間続けると3倍に成長を遂げることができる。人生を変えると言われる習慣の力は継続することでブレイクポイントを生み出し、爆発的な成長のフェーズに入るのは5年以降で、6年目には9倍、そして10年になると38倍にブレイクします。私自身の体験としても、このブログを14年間毎日続けてきて(最近週休2日ですが、)中卒の大工あがりの神戸の片田舎の小さな工務店の経営者が九州のトップ工務店の100名近い社員さんや職人さん、協力業者さんの前で偉そうに講演をするなんて、影響力の増大は情報発信を始めた14年前に比べると38倍なんてもんではなく優に越していると思います。
エコワークス社の皆さんには、今日の勉強会の唯一の学びとして、微力を積み重ねる実践に取り組んでもらい、まだ見ぬ自分のすごい才能を開花させて頂ければと存じます。皆様が建築業界にムーブメントを起こされることを心から祈っております。
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建設業向けの末端の実務者の心に火を灯す講演講師やってます。
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