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アスリートへの呼吸トレーニングは腰痛を軽減させる
抄読文献
Leila Ahmadnezhad, Ali Yalfani, et al. :
Inspiratory Muscle Training in Rehabilitation of Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial.
J Sport Rehabil. 2020; 29(8): 1151-1158.
PMID: 31910393 PubMed DOI: 10.1123/jsr.2019-0231.
ー腰痛リハビリテーションにおける吸気筋トレーニング:無作為化比較試験ー
要旨
【背景】
慢性腰痛症(CLBP)の患者は、体幹の筋力低下と呼吸の機能障害に苦しんでいる。吸気筋トレーニング(IMT)は、この病態を治療するために開発された。
【目的】
本研究は、CLBPを有するアスリートにおいて、IMTが体幹筋活動、肺パラメータ、疼痛強度に及ぼす影響を調査するために実施された。
【方法】
デザイン 本研究は、単盲検ランダム化比較試験として計画された。
CLBPの男性アスリート23名と女性アスリート24名を無作為に実験群と対照群に振り分けた。
実験群は8週間、週7日、1日2回、POWERbreathe KH1を使用し、最大吸気圧の50%から開始し、トレーニング負荷を徐々に増加させながらIMTを行った。また、両群の介入前後に、脊柱起立筋、多裂筋、腹横筋、腹直筋の表面筋電図筋活動、呼吸機能、Visual Analogue Scaleスコアを測定した。
さらに、反復測定分散分析と一元配置共分散分析を用いて、介入後のグループ内およびグループ間の結果を比較した。
【結果】
実験群では多裂筋と腹横筋の活動、呼吸機能が有意に増加した(P < 0.05)。さらに、実験群ではVisual Analogue Scaleスコアに下降傾向が観察された(P <0.05)。
【結論】
この結果から、IMTはCLBPのアスリートにおいて、呼吸機能を改善し、体幹筋活動を増加させ、その結果、疼痛強度を軽減できることが示された。
要点
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腰痛を持つアスリートに対して、吸気筋トレーニングの効果を検証した
実験群はPOWERbreathe KHを用いて吸気筋トレーニングを実施した
対照群は吸気筋トレーニングは行わず、通常のトレーニングのみ実施した
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実験群は呼吸機能、オーバーヘッドスクワット時の脊柱起立筋、腹横筋、多裂筋、腹直筋の筋活動が対照群と比較して有意に増大した
疼痛も実験群において有意に低下した
吸気筋トレーニングにより、体幹筋のインナーマッスルとしての活動が賦活されたことで、腰痛の軽減につながったことが考察された
どのように活用するか
アスリートにおける腰痛の問題は常に生じるリスクがある。
筋トレーニングを常に実施しているアスリートにおいても、アウターとインナーのマッスルバランスが崩れることによって、疼痛を引き起こす要因になる可能性がある
腰椎疾患としての気質的な障害がなくても、過剰な背筋の活動や腹部の保持が得られていない状況での動作は、椎間関節や終板に過剰な負荷を引き起こす
これらに対して筋のコントロールとパフォーマンスの両方の観点から疼痛発生予防を検討していかなければならないだろう
その一つとして吸気筋トレーニングは関節的ではあるが、腹部深層筋の賦活を図ることができ、疼痛発生予防に寄与している可能性がある。
有効性を一つのエッセンスとして担保しておくことが、バリエーションにつながっていくものと思われる。