ある日、突然ピンクが好きになる
1.ピンク、あるいは水色か
幼稚園生ぐらいの頃、なんとなく女の子はピンク、男の子は水色という決まりがあったように思う。今振り返ればそれはジェンダーでしかないのだけど当時は色紙を入れてある箱が男の子用と女の子用に分かれていることに大きな疑問を持ちはしなかった。その頃からピンクではなくオレンジ色の折り紙を手に取っていたものである。
2.ダサピンクの洗礼
私が高校生の頃、ユニクロのカラーセーターが流行し、みんなそれぞれ好きな色のセーターを着ていた。が、ベビーピンクのセーターは一部の女子しか着ることはなく、私は気恥ずかしさと自信のなさがあいまって決して選ぶ色ではなかった。というかそもそも制服規定がなかったので、私服で通学していたんだけど。
当時のユニクロは今ほどこなれてもおらず、色展開も微妙にダサかった。ピンクはいわゆる"ダサピンク"で、あからさまな可愛さを狙うなら"アリ"なんだけど、そうも割り切れないお年頃。自分はピンクが似合うキャラじゃないから・・と自嘲気味に笑ってごまかしていた。
ちなみに、今なら、似合う似合わないではなくあんなダサいピンクは選ばない。
3.ピンクは生活のスパイスに
20歳を過ぎた頃から、気づいたら小物にピンク色のものが増えていることに気がついた。ポーチとか折り畳み傘とか、あまり主張が強くないもの。好きなデザインを選んでいく中で、ピンクを無意識に選んでいることに気づく。この頃も「自分はピンクが似合うキャラじゃない」と盛大に勘違いしていたのでピンクの小物をアクセントで持つならおしゃれかも?と言い訳しつつ買っていた。
4.ある日、突然ピンクが好きになる
こっそりピンク色を集める日々が長く続いていたものの、体重が落ちて外見へのコンプレックスが減ったころから、ピンク色の服、着てもいいんじゃないか?という自信が湧いてきた。まずはスポーツウェアやリゾート向けの服からピンクを増やしていくあたりに自分の小心さを感じる・・。
そういった、制約が一切吹っ切れたのは、ようやく27歳になってから。プロのスタイリストさんにパーソナルカラーを診断してもらった結果、青みが強いはっきりした色が似合うと言われてからだった。似合う色、といって渡された布にはどぎついピンクも混じっているものの、肌が白く見える!やっぱり似合うんじゃん!
免罪符を手に入れた私は大胆にピンクを選ぶようになり、家のリフォームをしている今、お風呂を全面ピンクにしようと言ったり、洗面所のクロスを派手なピンクにしようとして旦那さんを困らせることも。
自分に言い訳せずに、好きな色を選べるようになったけど、やっぱりダサピンクは許せない。「女の子用にはピンクにしとけばいいんでしょ?」という浅ましさにはうんざり。
可愛らしいとか、優しそう、じゃなくて強い、かっこいいピンクがあったっていいと思うし、あるべきだ。
そして、好きな色を好きなように選べる時代になってほしい。私は30歳を手前にしてピンク好きになったけど、そういえば私の母は40歳を過ぎた頃に妙に派手なピンク色の服を選んでいた。
当時、中高生だった私と姉は、そんな母を怪訝な目で見ていたのだけど、きっと母も今の私のように外部の抑圧をはねのけて好きな色を選ぼうと一歩踏み出した瞬間だったのだと思う。
似合う色味を手探り選んでいたから、娘たちから「それ、似合わないのに・・」と思われていたのだ。
余計な回り道をせずに、好きな色に、似合う色に早くから出会うべき・・!という思いが募りすぎて書き連ねました。