見出し画像

我が家の「アタラシイ家事分担」(1)

夫婦、あるいは家族で家事を分担することが「あたりまえ」とされようとしている昨今、皆様のお家はどんな感じでしょうか。
ネットなどで盛り上がりがちなのは、「愚痴」。相手が全然やってくれない、やってくれても肝心なところが抜けている、せっかくやっているのに怒られて釈然としない…

どうしてもネガティブな話題のほうが盛り上がってしまう、という性質が、悲しいかな私たちには備わっているようですが、どうせなら、良い事例やイメージを共有したほうが、幸せな人は増えるんじゃないの、と思ったりします。
私たちが今取り組んでいるのは、これまでとは違う「アタラシイ」こと。
戸惑うのは当然ですが、新しい仕組みをつくるという喜びだってあるはずです。みなさんにどう受け止められるのか、やや不安はありますが、今回は、我が家の「アタラシイ家事分担」について、書いてみようと思います。

まず、我が家の家族構成から。妻である私と夫の二人暮らし。子どもがいないので、家事量は少なめですね。
夫はサラリーマン、平日は帰りが遅いことが多いですが、土日祝日はほぼ確実に休みです。妻は自営業。料理教室を主宰しています。3年めに入ったばかりの小さな教室ですが、一人で運営していることもあって、どうしても仕事時間が長くなり、家事に手が回らないことが増えてきました。完全な休みというのもあるようなないような…といった感じです。
家事が嫌いなわけではないので、これまでは、自然と妻である私が家事を担当していましたが、前述のような事情により、料理の仕事をしているのに、家の料理に割けるパワーがなくなってきた、もともと苦手な掃除は言わずもがな…というのが「困りごと」となっていました。

 幸運も、感謝を込めてリソースに

そんな我が家、以前にも書いたのですが、夫が家事力を爆上げしてきており、なかなかいい感じにバランスしてきた感じがあります。

例えば夕食は、夫が準備をしてくれる回数が増えました。
先にも書きましたが、妻の帰りが遅くなったことが直接の理由です。特に週末は、レッスンやその準備が入ることが多くて家にほぼいないのですが、休みである夫が、夕食の準備をして待っていてくれることが多いです。感謝しかありません。

夫がここ数年、趣味で野菜栽培をしていることも、幸いしています。自分で作った野菜は、自分で料理して食べてみたいようです。
家庭菜園というと、新鮮な野菜が手に入っていいなあ!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら物事には必ずマイナス面があります。すなわち「計画外の野菜が中途半端に、しかも虫食い泥付きで突如やってきて、早く食べないと傷んでやるぞと脅してくる」「季節ごとに旬という名の採れすぎビッグウェーブに翻弄される」問題です。仕事でクタクタになって帰ってきて30分でご飯の準備…なんてときに、山のような青菜が泥付きのままシンクに積み上げられていたら、まあだいたい発狂しますよね。
自分で料理してくれるなら心配ありません。同じ野菜が続くことだけ受け入れれば、妻はこれらのストレスにさらされずにすみます。
当の夫は、自分で作った料理を嬉しそうに写真に撮り、農業SNS(というものがあるのです!)にアップして仲間にシェアしているようで、何よりです。

夫は、一人暮らし経験もあるので、ごく基本的な調理はできるのですが、足りないレパートリーやアイデアは、ネットを活用しているようです。
当初は、一般の人がレシピをアップしてシェアするサービスも利用していたようですが、レベルのばらつきが大きく、料理経験が少ないと良いレシピを探し出すのが難しいと気づいたようで(気づくセンスに乾杯!)、最近はプロの方のサイトをよく見ている様子。
コウケンテツさんのレシピがよく登場するので、理由を尋ねると、我が家にある調味料で作りやすいものが多いそうです。なるほど。
プロの方のレシピで作ったものはもちろん、自己流で適当に作ったものも、味は悪くありません。この辺はセンスと勘みたいなものもあるので、幸運ですね。
幸運といえば、野菜栽培が趣味というのも偶然ですが、たとえ偶然でも使えるものは立派なリソース。感謝して堂々と家事システムに組み込みます。

決して完璧ではない

とはいえ、家事として見た場合は、決して完璧ではありません。
食卓に座る時間から逆算して、おかずがベストな状態で食べ始められるように計算…はされていません。一品ずつ、順に仕上げていくので、最初に仕上がったものは、食べる頃には冷めています。
品数もバラバラ。時間がなければ、野菜料理2品と白ごはんという、望んでもいないのにヘルシーすぎる献立になることもあります。(ビール開けて塩辛でもつまもう)
おまけに、使った後の台所は散らかったままです。野菜を洗っただけの、ほぼ汚れていないようなボウルも、油でギトギトのお鍋も、一緒にシンクに入っています。コンロまわりの飛び散りも、大概そのまんまですね。

「しつける」べきか、受け入れるべきか、それとも

さて、「フルイ家事分担」の話、なら、ここで愚痴のスタートでしょうか。
料理完成と共に片付いてこその料理上手、作りっぱなしにされると却って仕事が増える、都合のいいところだけ家事分担してずるい…とか?
でもこれ、そんなに決定的な問題でしょうか。料理完了とともにすっきり片付いていてほしいというのは、個人の好みの話ではないですか?
汚れた鍋を少々放っておいたからといって、爆発したりはしません。
食後にはどちらにせよ、食器を洗います。調理器具を調理直後に洗おうが、食事後に洗おうが、家の中の家事総量は変わりません。

自分の趣味を押し付けない。これ、「アタラシイ家事分担」にはすごく大事な視点だと思っています。家事分担はチームプレイ。メンバーの特性は活かしつつ、しかし、あくまでチームとしてのパフォーマンスを軸に考えるのが肝です。
とはいえ、では自分がその穴を我慢して引き受けるのか、というと、それも少し違います。
本当に困った問題が起こる場合は、その困りごとを明らかにして、共有します。時間が立つと固まって汚れが取れなくなるような場合は、とりあえず水につけておく、鉄製の中華鍋だけは、サビがでてしまうのですぐに洗って火にかけ乾かす、刃物類は出しっぱなしだと事故の心配があるので、これもすぐに洗って拭いて片付ける、などなどです。(特に刃物の片付けについては、「我が家のオキテ」と呼んで、お互いに厳しく守るようにしています。)

自分の趣味と、仕組みとしての必然を切り分けること、それから、お互いの性格的な特性を土台とすること
次回は、掃除、片付け、洗濯の分担について書いてみます。

【おまけ】お互いが作ったものを合わせた食卓は、楽&楽しい

夫が料理をしてくれるようになりましたが、そもそも私の仕事は料理関係です。料理は好きですし、試作などを持って帰ることもあります。もちろん、私がメインで作る日のほうが多い(はず…)です。
そんな中、これは助かるな!と思ったのは、「家庭内持ち寄り」。それぞれが1〜2品つくって、合わせて一食とするパターンです。
一方が野菜料理が1品作っていれば、もう一方が干物を焼いて味噌汁を作るだけで、いい感じの食卓になります。後から帰るほうが連絡を受け、惣菜を買って帰ることもあります。
お互いが作ったものについておしゃべりしながらの食卓は、どちらか一人だけが作ったときとはまた別の盛り上がりがあります。
組み合わせについては、これも「趣味の範疇」なので、深くは問いません。一回くらいお肉だらけの献立になっても病気にはなりませんし、和洋中エスニックが混ざってても、特に問題ないでしょう。
おかずを一品だけつくるというのは、単純な作業量が減るだけでなく、全体のバランスや手順を考えなくていい、ということもあって、全品作るよりも随分楽です。
できる人ができる範囲だけ作る。これもまた「アタラシイ」分担パターンだなと、気に入っています。

いいなと思ったら応援しよう!

shokosun(伊藤尚子)
読んでくださってありがとうございます。いただいたサポートはレシピ関係の書籍、食材購入等に使わせていただきます。 気に入ってくださいましたら、ぜひ。