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いま、地層本を作っている。アレ?なんだか懐かしい作業だと思った。
中学の頃の歴史の先生が二宮金次郎の一族の末裔で、二宮先生の授業は抜群に面白かった。
金次郎にも二宮先生にも、人を育てて導くみたいな血が同じに流れているんだと思う。
それで、わたしは二宮先生になついて、まわりをチョロチョロしていたら放課後になにかの資料作りで絵を描くのを頼まれた。
箱根の芦ノ湖に沈む、神代杉の絵だった。いまはきちんと資料を見ないと遺物などの絵はとても描けないが、中学生のわたしは怖いものなしで描いた。
先生が、ああだこうだ、指導はしてくれた。
話してるうちに、神代杉がどうやって芦ノ湖の湖底に沈んだか、の話しになった。
湖底に立っている杉がある。その原因は、地滑りという説があるそう。そんな話しだった。
えー。杉が立ったまま地面を滑って、湖に沈むのかなあ、とわたしは言った。
そこまでは覚えてる。二宮先生がその節を肯定していたのか否定していたのかは、忘れてしまった。
でも、今でも、わたしは、立ったまま杉が地面を滑るのかなあ、と思う。じゃあ、どうやって、芦ノ湖の中に杉の木が沈んだんだろう。いつか調べなければ。
こういうことが気になる性格は今もあの頃から変わらないんだな。と思う。
そして、ただ空想の絵ではなくて、なにか歴史的な資料みたいな絵を描く機会がまわってくる。仕事も遺跡発掘の整理作業で図面を描いているし。
これも、きっとうまれ落ちた時からの本質なのだ。
そういえば、金次郎から二宮先生へ、変わらずに受け継がれていたのは、人を導く、という性質。変わらないものが世代を超えちゃう場合もあるのだ。
今思うと、自分の天命を生きて本質的な仕事をしているオトナに、あの年頃のわたしが出会えたことはとても幸運だった。二宮先生、お元気かなあ。
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