コールドストーンから貰ったハッピーは続いて行く
このポストは歌うアイス屋としてチェーン展開をしている コールドストーンクリーマリーが再び東京に出展できるように願いを込め、アメリカ本社だけではなく世界のコールドストーンへ届くようにと思いポストします。
私は無類のコールドストーンクリーマリーのアイス好きである。アイスなら他のチェーン店やコンビニやスーパーで購入すれば良いと考える人もいるだろう。しかし、コールドストーンはただのアイス屋ではない。アイスを作りながら歌やパフォーマンスを通じて人々に幸せや元気を与えてくれる素敵なアイス屋なのだ。私はそのアイス屋に多くの幸せと元気を貰ったお陰で今研究者を目指すことができた。
9月30日現在、コールドストーンは東京からは撤退してしまうが、また東京にコールドストーンが返り咲いて欲しいという希望を持って私とコールドストーンの物語を書こうと思う。
(新宿店での全部のせオーダーをした時。クリスマスに合わせて素敵な歌と飾り付けで盛り上げてくれた)
時は2010年、当時私は東京に出てきて2年目だった。2008年のリーマンショックの時期に就職活動をした影響で、当時は安定的な仕事に就くことができなかった。当時は東京•大田区の蒲田という場所に住んでいたので京浜東北線を主に使用していた。都心に出る時はいつも京浜東北線から山手線に乗り換えられる品川駅をターミナル駅として利用していた。
その品川駅に当時一風変わったアイス屋がテナントとして入っていた。駅構内に響く歌やパフォーマンスに惹かれる様に私もそのアイス屋に入って行った。それがコールドストーンだった。
当時は面接しても中々会社に受からず、繋ぎのバイトでギリギリの生活をする日々。面接でお祈りメールや残念な結果を聞くたびにちょっと恐怖になっていた時期でもあった。面接で色々言われたことで残念な気持ちで駅構内を歩いていると、明るい歌が聞こえてきた。なんだろう?ちょっと気になってその歌が聞こえるところに行ってみる。そこではアイスクリームをスクープした後に冷たい石にのせて、ストロベリーやスポンジなどの具材をその場で混ぜ合わせていた。そして混ぜ合わせている時に、お客さん一人ひとりに合わせて歌やパフォーマンスを披露し、アイスを販売していた。お店に並ぶ前にメニュー表を見ると、当時の価格はスモールサイズで500円。就活しながらのバイト民には少々高い金額だった。それでも、私はそのパフォーマンスを見て元気になりたくてコールドストーンの行列に並んだ。その時は3、4名のオーダー待ちであった。
私の番になり、接客してくれたのは男性の面白そうなスタッフさんだった。
「こんにちは!コールドストーンへようこそ!今日のオーダーは何にしますか?」
「はじめてこのお店に来たのです。一番のお勧めをください。」
「それでは、ストロベリーショートセレナーデといういちごのショートケーキの様なアイスをお勧めしております。こちらでよろしいですか?」
「はい。そのアイスの一番小さいのでお願いします。」
値段も手軽だしというのが本音だった。その後、その店員さんは慣れた手付きでスイートクリームのアイスをスクープし、冷たい石の上に置き、そしてストロベリーとスポンジ、ホイップクリームをアイスの上に乗せて準備をしていた。そして客である私に話しかけてくれたのである
「お客様。一曲歌ってもいいですか?」
なんと駅構内で響いていた歌を歌ってくれるというのだ。
「いいのですか?じゃあ、一番元気になる歌を歌ってくれませんか?今日、会社の面接でちょっと落ち込んだんです。結果はわかりません。でも、ここのお店から歌が聞こえてちょっと元気を貰ったので、私もその歌を聞きたいです。」
「わかりました。では”If you're happy and you know it(幸せなら手をたたこう)”はいかがですか?僕も得意ですし元気になる歌ですよ!」
そう言いながら店員さんはアイスを混ぜるスクープをカンカンを鳴らしてパフォーマンスをしながら歌ってくれました。
(♪ If you're happy and you know it takes a bite! ♪
(こちらは品川店ではないですが、参考動画として上ます。)
If you're happy and you know itの歌を聞いた時にとても心が暖かな気持ちになり、ちょっと感動して涙が出たくらいだった。面接官に言われた厳しい心ない言葉に、正直ズタズタになりかけていた私の心を暖かく包んでくれたのだ。都会に住んでいると、地方田舎と違って駅構内や街中ですれ違う人たちは多いのに、皆他人で中々話すことができない。ちょっと人に対して気を使いながら、人に迷惑を書けない様に過ごすというのが都会のしきたりみたいなモノだと思っていた。だから街中で誰かと馴れ馴れしく話したりとか、ましてお店先の人たちと馴れ馴れしく話したり騒いだりするなんて御法度だと思っていた。
そんな私が抱いていた悲しい気持ちを、コールドストーンの歌とパフォーマンスが明るく変えてくれたのだ。素敵な歌とスクープを鳴らしながら笑顔でアイスを混ぜる姿は人を和ませ、明るくし、そして笑顔にしてくれた。気さくに話しかけてくれたことに加えて、歌とパフォーマンスが人を幸せにするのだと思った。
そしてストロベリーショートセレナーデのアイスが出来上がり、お会計の時に店員さんは
「ちょっと泣くくらい嬉しかったですか?会社の面接、次は上手く行きますよ!ありがとうございました!ハッピー!」
店員さんの暖かい言葉と共にお会計が済み、その場でミックスインしてくれたアイスを手渡ししてくれた。品川駅構内にある噴水の近くで腰掛けながらそのアイスを食べると、不思議ととても幸せな気分になれた。
歌とパフォーマンスの余韻に浸りながら食べた甘いアイスは、心をほっこりと温めてくれるとても素敵なアイスだった。
そして、アイスを食べ終え、お店の近くにあったゴミ箱にカップとスプーンを入れ、店員さんが他のお客さんに対応している中で手をふりお辞儀をし帰ろうとすると、その店員さんはこちらを向いて笑顔で手をふってくれた。
京浜東北線に乗り蒲田駅に到着し、当時住んでいたアパートへ帰宅すると、なんだか心がとても豊かになった様な気分だった。歌とパフォーマンスは人を幸せにしてくれ、その余韻でも人は幸せになれるのだ。
当時私は一人暮らしだったので家に帰っても誰とも話すことなく、ただ一人ダラダラと過ごすことが多かった。でもこの日はなんだか幸せな気持ちになり、とてもリラックスした気分で過ごすことができたのだ。
その後、何回かコールドストーンに通い元気を貰った私は、インターンではあるが会社に受かり、バイトと掛け持ちしながらではあるが入社することができた。
また、私も人に勇気や元気を与えたくなり、コールドストーンのバイトの面接を受けたが、3回も落ちてしまった。それでも、コールドストーンへの愛情は変わらず、今度はお客側として素敵なお店を盛り上げようと、コールドストーントッピング全部のせ巨大アイス企画を合計10回開催した。時にはコールドストーンの全種類のメニューを注文するなど面白い企画を非公式ながら行ったこともあった。そのくらい愛着のあるアイス屋であり、元気と幸せを貰える素敵な場所であった。
(新宿店で最後に行ったトッピング全部のせアイスクリーム。とても可愛く飾り付けしてくれてました。お客側としてコールドストーンへ感謝のメッセージプレートを飾り付けしました。お店とお客との合作の素敵なアイスとなりました。)
最初の出会いから12年。東京からコールドストーンが撤退するとのことで最後駆け込みでコールドストーン新宿店へ通った。今はコロナ禍で店員さんたちは歌うことはできないが、以前にも増して素敵な笑顔と愛嬌のある接客でお客を楽しませていた。
最後に一言。
私はコールドストーンへアイスを買いに行ったのではありません。
私はコールドストーンへ ”ハッピー” を貰いに行っていたのです。
私にとってコールドストーンはハッピーになれるパーティ会場の様な場所でした。
コールドストーンのアイスを歌とパフォーマンスを聞きながら食べると、いつものアイスが一万倍以上美味しく感じ心がハッピーになりました。
コールドストーンは、たった一杯のアイスで素敵な歌やパフォーマンス、そして素敵で楽しい接客をしてくれ、そこからたくさんの幸せや勇気や元気を貰える素敵なアイス屋なのです。
どうか幸せで素敵なアイス屋が今後も日本に残ります様に。東京に再びコールドストーンが戻って来ますように。
そして、過去の私の様に失望しかけた人に元気とハッピーを与えて、その人たちが元気になれるような場所がコロナ禍だからこそ必要だと思うのです。
歌の代わりにとびきりの笑顔と拍手でクレープを販売してくれた時。