アメリカ歯科助手業務について
今回は私が具体的に現場でどんな仕事をしているかについて書いてみたいと思います。
アメリカのデンタルアシスタントも一般歯科で勤務する場合には日本と同じく
・受付業務のサポート(電話応対や予約業務)
・診療業務のアシスト
・器具の滅菌処理
・器材の在庫確認、オーダー
・診療室の清掃、ゴミ捨て
などのさまざまな業務に従事しています。
しかし私のように専門医でかつ、主に診療全般エリアで働くポジションになると、業務範囲が少し異なります。
まず、
受付には専任のスタッフが2名勤務しているため基本的に電話応対をすることはありません。
(これについては本当にありがたいです。一般歯科に勤めていた時には英語での電話応対ほど苦労したものはなかったです。)
次に診療業務のアシストですが、これはintake formと呼ばれる用紙を使って患者様の病歴や服薬などの詳細なデータを問診することから始まります。
アメリカで一般的な"IV sedation"と呼ばれる静脈内鎮静を用いての外科処置を行う際には服用薬の詳細な確認が必須です。
なぜなら、これが正確に把握できていないとオペ時に使用される薬との相互作用で患者様が重篤な状態に陥るリスクがあるためです。
しかし、これがなかなかトリッキーでして患者様が本当のことを教えてくれないことが多々あります。
特に喫煙については従来のタバコだけでなくe-cigarette,大麻(マリファナ)等の使用についても詳細に知る必要がありますが、隠されることが多いのです。
私の住む州ではそもそも大麻は非合法なので、違法行為を自ら申告しようとしないのは当然と言えば当然かもしれませんが、、。
そのため
How about recreational drugs?
Sometimes in the bar, right?
といったくだけた英語表現を使用しつつ、笑顔でのコミュニケーションを試みます。
相手にプレッシャーを与えないように、あくまでもさりげなく尋ねるのが効果的です。
次に、外科処置に必要なトレーを診療メニューに応じてあらかじめ作成して準備しておくことや滅菌作業等は一般歯科と同じですが、カルテ入力作業についてはかなり深いところまで関与しています。
私のオフィスではクラウドシステムを利用した電子カルテなので、Clinical Noteと呼ばれる診療記録の下書き版を作成するのはアシスタントの仕事になっています。
intake formで自分が問診したデータを基にしてあらかじめ準備されたテンプレートに個別の情報を入力していきます。
また、口腔外科なのでBiopsy検体を取り扱うラボへの連絡業務も欠かせません。
そのほかには緊急時対応時の薬剤の管理や、医療機器の整備、酸素や亜酸化窒素ガスタンクの管理なども担当しています。
時々、日本の大学病院の口腔外科等の研修医と同じような業務をしているのでは?とも推察しますが、日本の口腔外科には勤務したことがないので実際のところはよくわからないです。
いずれにせよ専門医なので、外科分野に関するかなり深い知識と技術を要求される職場ではあります。
私が現在口腔外科オフィスを選んで勤務しているのは日本で果たせなかった外科分野で働いてみたいという夢があったからです。
日本の大学病院で外科講座を選択するとなれば、結婚、出産、子育てといった一連の選択は選びにくい状況に置かれるのが一般的です。
その点アメリカでは口腔外科専門医でも女性ドクターの割合は高く、AAOMS学会に参加した際にもその数の多さに圧倒されました。
日々の業務の中に新しい学びがあること、そしてアシスタント業務を通じて専門医の高い技術を間近で見せてもらうことができるのは日本のドクターライセンスを持つ私にとってかけがえのない経験になっています。
今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。