フランス留学日記:怒涛の修士1年目2学期を振り返る②
前回の続きです。
2学期の授業について振り返っていきます!
前回の記事はこちら↓
・コーパスを活用した現代フランス語記述
こちらは言語学寄りの授業なんですが、これがまた面白かった!
前半はリエゾンとか、形容詞の姓数一致とか、ネイティブでも人によってそれぞれ感覚の判断が分かれる文法事項について、ミニコーパスを基に検証しました。
フランス語ってすごく厳格なルールがあるようなイメージなんですが、実際は使用する地域や人によって、緩やかに幅があるんですよね。だから、フランス語を教える側も、絶対これが正解!と白黒つけるのではなく、許容していく姿勢が大事なのかな、と感じました。
後半は、先生が変わって、日常生活のフランス語の会話やインタビューの書き起こしをみんなで分析しました。
同じ言語でも、話されているものと記述されているものって全然違うよね、っていうのを改めて理解できて面白かった!
書くときって、思考を整理しながら記述するので、ある程度文章としてしっかり成り立っているんだけど、日常生活で話すとき(スピーチとかあらかじめ台本がある場合以外ね)ってその場で考えながら発話しているので、euh…とかben…とか繋ぎ言葉やフィラーが入ったり、de,de,de….と繰り返したり、言い換えを挟んだり、文章を最後まで終わらせずに、次の話題に言ったりとか、ありのままに書き起こしてみるとかなりカオス。
でも日常会話ってそれでちゃんとコミュニケーションが成り立っているんですよね。それは話し手が自然と文章構成をして、受け手が同じルールを持って、情報を整理・補完しながら、理解できているから。
こんな風に言語を操ることができる人間すごくないですか?脳のプログラムどうなってるの??
で、これがフランス語教授法に何の関係があるのかというと、教科書の会話の例文って綺麗に整えられた文章なんだけど、実際の会話ってこんな風にお手本どおりには進まないわけで。
教科書を使って一生懸命勉強した学習者が実践の場でぶち当たる壁ですよね。
そんなハードモードな状況で、相手の言うことを理解するには、文章の構造のキーとなる部分を拾っていくことが重要、ということを教師側もしっかり理解しておかなければならない、ってことだと思います、たぶん。
この授業の課題はペアで、1~2分程度の音声を自由に選んで、書き起こし、分析するというものでした。
音声は何回も聞かなきゃいけないので、モチベが上がるものしよう!ということで、私のごり押しで、イケメン仏人俳優、Gaspard Ullielのインタビュー動画にしました!学生時代、私のフランス語学習モチベになってくれたお方です♡
ギャスパー数年前にスキー事故で亡くなったんだけどね、悲しい。
私は中国人の仲良しのクラスメートと組んだのですが、非ネイティブは文法が強い&こういった分析をフランス語を学ぶ過程で自然と行ってきているので、楽しく効果的に取り組むことができました。
・リテラシーと基礎能力
こちらは移民向けのフランス語教育についての授業。
フランスでは、長期滞在許可証や国籍の取得には、一定のフランス語能力が求められ、基準に満たない人はOFII(移民局)が提供するフランス語講座を誰でも無料で(!)受講することができます。
最近移民法の改正で、この求められる語学レベルもあがってきており、現場もだいぶ振り回されているようです。
フランス在住の方でしたら、この移民向け講座に参加したことある方いらっしゃるかもしれませんね。
移民が多いフランスでは、移民に対するサポートがかなり手厚いんだけど、その分国内の反発も多い。日本でも移民問題はここ数年話題に上がっていますね。私はフランスでは外国人であり、移民なのでだいぶ身近な話題です。
移民と言ってもさまざまなタイプの人たちがいて、日本人であれば、ある程度学校教育は受けてきて、アルファベットも既に知っている状態でのスタートかと思いますが、中にはアルファベットが読めない、自国で1度も学校に通ったことのない、鉛筆の持ち方もわからない、そういった人たちも多くいます。
授業の一環で、実際にOFIIが提供する移民向けフランス語講座を見学する機会もありました。このあたりはまた別記事にしてみようかな。
・評価と資格(Evaluation et certification)
こちらは丸1日×2日間の短期集中講座。
パリにある国民教育省の一部門FEI(France Education International)から、講師の方が来て講義をしてくれました。
FEIといえば、皆さんお馴染みDELF/DALFなど語学試験を統括している組織!
修士2年目には、DELF/DALFの試験官・採点官の研修を受けるので、それに向けて、試験の評価はどのように行うべきなのか、という基礎を学ぶ授業でした。
クラスでDELFやDALFを実際に受験したことがあるのは、当たり前ですが、非ネイティブの学生のみなので、あの試験はこういう意図があったのか…!試験官はこういうところを見ているのか…!という部分が、より実感を持って学べるのですごく面白かった!
この先生の授業はパワポなしで、ひたすら喋りまくるスタイルなのですが、必要なポイントは板書をしてくれて、双方向の対話も多く、長時間なのにあっという間だったし、ノートもとりやすかった!
先生としてもお手本になるような圧倒的な講義でした。
各授業のことを思い出しながら書いていたら、なんだか熱が入ってしまい、1学期よりもだいぶ長い仕上がりになってまいりました(笑)
次回でラストにしたいと思います!たぶん!
もしもサポートいただける場合は、小躍りしながら大切に神棚にお供えしたあと、今後の活動に活用させていただきます♡