家を出る
何も持っていくつもりはなかった。
子供や私たちの服や日常使うようなものは
少しづつ彼に分からぬよう実家に運んで行った。
ただどうしても持っていきたいものがあった。
50万した1枚板のリビングテーブルと
椅子達!
結婚前、物欲のない私が本気で気に入って
購入し、大切に使ってきたものだ。
玄関を入り、リビングの扉を開けたら真っ先に
目に入るテーブル。
これが無くなっていたら
すごいインパクトだろう。
人生は一度きりだ。
普通にしているとは言え、仮面夫婦の状態で
生活をしているのはとてもしんどいものがあった。
辛くて嫌な事は全て手放そうと決めていた。
そしていよいよ決行の日。
リビングテーブルと椅子を運び出し
ガラン…としたリビング。
床に私の分は記載した離婚届を置いておいた。
私にとって
精一杯の悔しかった気持ち…
やるせなかった気持ち…
離婚なんて望んでなかった気持ちを…
この家に全部置いていくんだ
家に向かい一礼し
そして、慣れ親しんだ家を娘二人を連れて
出ていった。