KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2017 テーマ「LOVE」
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2017 テーマ「LOVE」
メイプルソープの写真と着物の帯(※1)でうっとりしてから、ムニョスの写真展(※2)に行った。ゴリラたちに見つめられながら山極壽一の特別寄稿を読んでいると、その英文訳の中に “undue drama” という言葉を見つけた。
人間にはドラマがある。劇場に全く行かなくても、未来への希望や不安、それらに基づいた愛に心動かされて生きていくことができる。
でも、私はそれをやり過ごしてしまう。せっかく考えたことも、ほとんどは何の形にもできない。
すっかり忘れてしまうということのないように、私は観劇するのかもしれない。おこがましいと思いながらも、他人に自分を見出して、確かめているような気がする。
写真展にきているのに、演劇のことを考えていた。
元・新風館の展示(※3)には胸を打たれた。ドキュメンタリーの面白さや苦しさについて時々考えていたけれど、全然足らなかった。
受け止めきれなくなった私は、薄暗くて涼しい洞窟(※4)へ寝転びに行った。そして、あの森としまだいギャラリーの森(※5)は繋がっているのだろうか、というどうしようもない思考に逃げた。
(2017年4月15日~5月14日)
※1 ロバート メイプルソープ写真展 ピーター マリーノ コレクション presented by CHANEL NEXUS HALL「MEMENTO MORI」(誉田屋源兵衛 竹院の間)
※2 イサベル・ムニョス 「Family Album」 / 「Love and Ecstasy」(誉田屋源兵衛 黒蔵)
※3 吉田亮人「Falling Leaves」(元・新風館)
※4 ラファエル・ダラポルタ 「ショーヴェ洞窟」(京都文化博物館 別館 1階)
※5 ハンネ・ファン・デル・ワウデ 「Emmy’s World」 (嶋臺ギャラリー )