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園と家庭と、共に子どもを育てるための「父親保育参観」──写真で知ろう!小規模保育【保護者支援】

母親だけ、父親だけ、あるいは保育園だけが子育てするのではなく、みんなで子どもたちを支えていく社会にしたい。忙しい共働きの家庭に、あえて「保育者として参観してみませんか?」と声をかけるなかで、関わりに確かな変化が生まれはじめています。2023年度は、主に男性の保護者に声をかけながら実践を重ねました。

<ハンニシゆとり保育園/兵庫県西宮市>

【園児数】12名(2歳児6名、1歳児3名、0歳児3名)
【保育者数】常勤4名、非常勤1名
(2024年2月時点)

■ ねらいと配慮

2歳児までの子育て家庭と日々関わるなかで、乳幼児を抱えながら働いていく大変さを毎日のように感じてきました。園としては両親の負担が少しでも減るように、また安心して働いてもらえるように支える必要があります。一方で、子どもを預かるだけではなく、保護者自身が「家庭をどうつくり、子どもにどう向き合うか」を考える手助けをしていく役割も、より重要になっています。

子育てにおいて、悩みや葛藤は誰もが抱えるものですが、それによって生活や仕事がうまくいかないと、歪みが子どもの情緒に表れやすくなります。後々複雑な問題につながるケースもあるからこそ、土台となるこの時期、保護者を孤立させないサポートが求められます。

孤立を防ぐには、子どもの将来を共に考える存在がたくさん必要です。近年は男性の育児の割合も増えていますが、当園では母親の方々と関わることが多かったため、今年はあえて「父親保育参観」を企画。ただの参観ではなく、子どもたちみんなと関わる場にすることで、男性の保護者も気軽に子どものことを聞いたり、園との関係を深め、働き方などの悩みも相談したりできるきっかけになればと考えました。

たまたま父親で平日休みの方、育休中の方がいたことも企画の後押しになりました。まずは実験的に保育に参加してもらい、それが好評だったことから、最初は2歳児のご家庭を対象にご案内。お子さんの様子や保育士のシフトにあわせ柔軟にスケジュールを調整しながら、順次登園いただきました。

■ 振り返り

今回の企画は、「保育者」としての参加がポイントです。なので当日は「今日は“◯◯(下のお名前)先生”でお願いします」と伝え、子どもたちにもそう説明をします。実際、歌にあわせて紹介すると、お子さんも自然に「パパ」ではなく「◯◯先生」として認識してくれます。

保護者も我が子に限らず分け隔てなく遊んでくださるなかで、子どもたちへの声かけなどが自然に変わっていきます。親として接すると、どうしても「◯◯しちゃダメ」など厳しく言ってしまいがちですが、ここでは保育士の目線にあわせ、「子どもが主体的に振る舞うにはどんな関わりが良いだろう」と考えてくださる

そうした子どもへの視点は、後日、普段の送り迎えなどの細かい場面にも表れるようになり、保育自体の見え方も変化しているのを感じます。「これにはこういう意図があったんですね」など、半ば一方的にお願いしてしまっていたことについても、保育士の立場から考えてコメントをくださるケースが増えました。

給食ではお子さんが家では食べないものをしっかり食べる姿に驚き、そこから料理に興味を持った保護者がいたり、「保育参観」の体験が楽しく、定期的に参加くださる保護者も出てきたり。スタートして半年ほどですが、取り組みは2歳児だけでなく、1歳児のほとんどの家庭にまで広がっています。子どもたちからの「楽しかった」「今度はうちも来て」という声も広がり、両親そろって体験をされる家庭もいらっしゃいます。

保護者と保育士の相互理解が深まるなかで、日常的にちょっとした話を交わし合う時間も増えてきました。また、年度末の園外保育(遠足)に今年は保護者の参加も募ったところ、ほぼ全ての家庭から「行きたい」という回答が集まるなど、園としても手応えを感じています。

■ 「小規模保育」としての視点

当園はこれまでも保護者の様子を常に見ながら、育児や仕事に行き詰まりを感じていそうな場合、「ちょっとお話できますか?」と声をおかけしたり、面談の時間を設けたりしてきました。各家庭にあわせた対応をタイムリーに行えているのは、定員がわずか12人であり、フレキシブルに体制を整えやすいことが大きいと考えています。「保育参観」も、この延長線上で生まれた取り組みでした。

対象を今回は「父親」メインとしましたが、これも保護者の様子やシングルのご家庭の有無などに応じて変えていこうと考えています。毎年柔軟に企画を変えていきやすいのも、小規模の良さではないかと感じます。

「保育参観」を通じてより密な関係になったことで、転園された園児の父親の方が、今なお園に来て話をしたり在園児に関わってくれたりするケースも出てきました。小さなコミュニティだからこその、安心して顔を出しやすい状況を生かして、卒園後何かあっても“育児の駆け込み寺”のような存在として思ってもらえる園になれたらと考えています。

【園情報】
ハンニシゆとり保育園(一般社団法人フルーリル)
https://www.fleurir-ce.com/
兵庫県西宮市馬場町2番26号レンバーンハイツ101
定員12名
小規模保育事業A型・管理者設置あり

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