今こそ日本人である劣等感を感じよう~海外で迫害されながら感じるコロナウイルスの影響~
海外で初めて感じた劣等感
コロナウイルスの影響が世界中で出始め、「一体誰を吊るし上げればいいんだ!」と、混乱を招いている。
2020年3月12日現在、日本のコロナウイルス感染者数は622人で、中国・イタリア・韓国・イラン・フランス・ドイツ・スペインに次ぐ世界第8位だ。
ここ一週間でヨーロッパでの感染者が急増し、南極以外の五大陸に感染が確認された。
私の住むモロッコでも、つい先日はじめて感染者が確認されて、現在3名。内1名が死亡している。
国内では緊張感が高まっている。
それと同時に、事の発端である中国人(アジア人)を迫害する流れに勢いがついてしまった。
最近では街を歩いていると必ずどこかから「コロナ」と罵声を浴びせられる。
わざとらしく口元を隠す仕草をされたり、そうでなくても怪訝な顔をされたり、目を逸らされたりすることが一ヶ月前と比べると明らかに増えた。
子供だけならまだしも、日が経つごとに年齢層が上がってきている。
二十歳前後の人達から真面目に嫌がられると、少なからず心が痛む。
他の国では、逆上したり、スマホで加害者を撮影しようとしたことが引き金となって、暴力事件に発展するケースもあるから気を付けないと。
現地語で諭すのか、聞こえないふりをしてやり過ごすのか、悩むところではある。
どちらにしても、私には何もやましいことは無い。
アジア人が例年の数パーセントしかいないシェフシャウエンの街を堂々と歩き、日々の業務をこなすのみ。
海外生活も早8年。
こんなにも日本人であることに劣等感を感じたのは、はじめてだ。
劣等感と優越感
言葉を選ばずにはっきりと言おう。
中国人は世界中で嫌われている。
理由はよく知らない。
うるさいのか、自己中なのか、ダミー商品を販売するからなのか。
これらが当てはまる国は他にもたくさんあるように思えるが、なぜか中国は標的にされやすい。
海外で「中国人か?」と聞かれ、「日本人だよ」と答えられることに、優越感を感じたことのある人も少なくないだろう。
ただ忘れてはならない。
今の日本があるのは先人たちのお陰だ。
精巧な車や電化製品、安全な食べ物に水。
これらを生み出してきたのは我々ではなく、先人たち。
よく海外で日本製のモノを褒められることがあるが、それに対して我々が威張れることなど一つもない。
しかし、これまで我々はその恩恵を受けてきた。
散々恩恵だけ受けておいて、迫害されたら被害者面?
世界にはそんな風に感じる人もいるだろう。
無論そんなつもりでない事はわかっている。
どうしようもなく強大な何かに圧し潰されそうなことも。
ただ今回のコロナウイルス拡大とは関係なく、貧しい国出身の人達はそれだけで劣等感を感じていることも多い。
親の敷いたレールどころか、親すらいない子供たち。
そのことを日本人はそろそろ真剣に考えるべきなのかもしれない。
近年日本人は、日本人である劣等感を感じたことがあるだろうか。
いまが我々の番だ
大前提として、迫害を決して肯定してはならない。
しかし現実はどうだろうか。
肌が黒いというだけで迫害された時代があったように
ユダヤ教信者だからと迫害された時代があったように
学校や職場でいじめがなくならないのと同じように
きっとこの世界には、季節と同じ様に、迫害される対象も巡っているのだ。