思考

思考を巡らす。これ自体が私が一番好きなことであり、生きる理由なんじゃないかと思った。目的は無く「考えること」自体が呼吸のようなものであると同時に好きだし、そうやって豊かな思考を持てることが誇りであり、そのために生きていたい。題材は何でもいいし、答えは出なくてもいいのである。「思考」というプロセス自体が好きだし、私の幸福であり、私の生きる意味なんだと思う。

ただ、豊かに思考を巡らすには色んなことが邪魔である。肉体の疲労や空腹、睡眠の必要性、性欲など。自分が生物であることが嫌なのかもしれない。出来ることなら何も食べず眠らなくても平気でありたいし、性欲も持ちたくない。思考だけで生きる生命体になりたい、というのが私の中にある欲求なのかもしれない。「寄生獣」のミギーに共感するし、彼の結末が羨ましいと思う。

そうは言っても仕事をし、金を得て、身体に薪を焚べ、暑さ寒さからも身を守らなければ生きていけない。自らが生物であるから。それもとびきり、コストのかかるタイプの生物である、「人間」という。このジレンマの中で、私はどう折り合いを付ければいいだろうか。具体的にはこんな人間にどんな仕事が向いてるのだろうか。切実に、宝くじに当たりたいと思う。そうすれば、仕事のストレスや疲労という、思考を巡らすのに邪魔なファクターをひとつ外して、幾許かは自由になれるものである。