南インド バンガロールの夜
ワン…
ワンワン…
プップー…
プー
南インドの夜。
騒音が気になって寝られなかったことはなく、むしろそこらじゅうに闊歩している野犬たちの遠吠えが、心地よく感じる時もある。(街中ですれ違うと、昔通学路で犬に追いかけられたことと、狂犬病のダブルの恐怖で動揺してしまうが…)
もちろんクラクションもそれなりに頻繁に聞こえるが、居住するマンションが少し高い位置にあるからそれも気にならない。
どちらかというと、実家にいた時の方が、最寄りの自衛隊基地(特定されてしまいそうだ)から数十分に何機も、さらに戦闘機がものすごいスピードと低空飛行で頭の上を通り過ぎることが多々あった。
飛行機のエンジン音、選挙カーのうぐいす嬢、新生児の泣き声、隣家の家族総出の喧嘩が重なったときには、デシベル経験値はなり高く入っただろうなと思った。
夜景だって、メトロもかなりの頻度できらきら通過していくし、民家の明かりだって遅い時間までぽつぽつ灯っている。
ひとつだけ違うのは、はるか地平線のかなたまで、平地でありながら市街地の景色が続いていることだ。ぎっしりと平たく、視界の限り存在する都市。
私の生まれ育った故郷、社会人時代にすごした中都市、それらからすると、とてつもない光景である。
私もこの巨大な大都会の盆地の構成員なのだ。
正直、この景色を嫌に思ったことは、一度もない(家族に対し不平不満がつのって、日本というか実家に帰りたい、と思ったことは何度もある)。
むしろ、いまだかつてない熱気と陽気と廃退が混在するこの都市の姿をもっと見てみたいと思う。
…と言いつつ、今の家庭環境では冒険はできないので、粛々と生活するのみなのだが。
窓の外を見ると、灯っていた明かりが少し減っていた。
明日はどんな日になるだろうか。
楽しみだ。
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