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昔から仏壇のない家なのに

実家は仏壇のない家でした。

親父の弟である叔父は少年期に亡くなっており、私が生まれてすぐに事情があり転居した祖母や小6で祖母の家に戻った祖父が同居していたこともあり、仏壇があるのが当たり前と思うが遺影も位牌もなにもない。

祖父母の家にはそれらはあったので、祖母が転居した際に持っていったのかもしれないが。盆だ彼岸だと宗教的儀式もすることもなく小学生の頃に唯一上野で誰かの何回忌をするために家族総出で行った記憶くらいしかない。

ということで私は無宗教無神論者で親父もそうかと思っていた。私が30前に祖父母は亡くなったわけですが、そんな頃なぜか親父がオレは仏教徒だと突然言い出し、祖父母の入る先祖代々の上野の墓を無視して埼玉に自分の墓を建墓。

あげくに戒名をもらうは互助会にお金を払いに行くは、でわたしに死んだらこうしろとの遺言書というか指示伝言をよこす始末。親父が商売をやめる時にそんな話をしたので私が葬式もなにもいらないということに焦ったのであろうか。

建墓して数カ月後に亡くなったので石材屋には自殺を疑われていたが、ただの病死。なんかそういう予感でもあったのだろうか?自分の墓が出来たので入ってみたくなったのであろう、そういう人である。

葬儀も故人の遺志でといったところで親父の交友関係も知らないし、「オレの知らない人間を呼ぶな」という遺言であるから身内しかいない数人の葬儀である。なんなんだか。

最初で最後の親父の意思で宗教的行事に付き合ったがその後はしらない、自宅には仏壇もないし大きな遺影は仕舞いっぱなし、葬儀屋でもらった小さな遺影だけは置いてはあるが。

今月頭に埼玉に行ったのでついでに数年ぶりに親父の墓を覗きに行った。墓石に名字も掘らなければ通路と反対側に自分の名前を彫るという、おちょくったような墓であるがいずれ私もここにくるのであろう。

人間は死を悟ると宗教にすがるものなんでしょうかね?


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保険屋12年生。田舎の保険屋ドキュメント話
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