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コンパクトなのに丁寧でわかりやすい!『数学のとびら 解析入門』
ときに、このような問題が出題されたとします。
実数列$${\{a_n\}_{n=1}^{\infty}}$$が0に収束するならば、$${\max\limits_{n\in\mathbb{N}}|a_n|\ (<\infty)}$$が存在することを示せ。
問いの内容じたいは何となく当たり前な感じがしますが、これを「証明しろ」と言われると少々悩ましいかもしれません。
実際、この手の問題は数列の極限の定義(イプシロン・エヌ論法)に戻ることで示すことができます。
このように数学科の微積分は、“限りなく近づく”といったあいまいな定義では不十分で、より「厳密な議論」を身につけることが必要不可欠です。…が、
イプシロン・デルタとか、関数列の収束とか、“限りなく近づく”じゃない厳密な微積分は、1年生で使った教科書にはきちんと載っていない…
でも、それが載っている「解析入門」みたいなタイトルの本は、重厚でとても消化しきれない…!
等とお困りのかたは多いのではないでしょうか。
そんなあなたに(通販番組)、『数学のとびら 解析入門』(柳田英二著)のご紹介です。
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ポイント① イプシロン・デルタ論法を真正面から
本書は、1年生で学ぶ微積分の知識をもつかたを対象に、「変動」という視点を強調して、微積分を厳密にとらえ直すというコンセプトのもと、解析学の基礎を丁寧に解説したものです。
◉『数学のとびら 解析入門』主要目次
1.実数
2.数列と級数
3.関数の極限と連続性
4.一変数関数の微分と積分
5.関数列と関数項級数
6.多変数関数の微分
7.多変数関数の積分
目次立てを見ると「普通の微積分」の内容に見えますが、数列の極限や関数の連続性など、1年生でいちど勉強したような内容であっても、イプシロン・デルタ論法などによる厳密な方法で再定義しています。
ポイント② 分量的に手軽
本書の総頁数は260頁であり、数学科向けのテキストとしてはそれほど分厚くない部類に入りますが、数列の収束、一変数の微分積分、関数列の収束、多変数の微分積分までを収録しています。
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『数学シリーズ 集合と位相(増補新装版)』は256頁、
『数学選書4 ルベーグ積分入門(新装版)』は324頁です。
これは、1年生で学ぶ範囲の「関数の微分・積分の計算例」などを前提知識としてカットし、理論的な内容を丁寧に解説することに重点が置かれていることによります。
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数学科で学ぶ数学では、具体的な数列の極限を求めたり、“$${\tanh}$$の逆関数の微分”のようなややこしい計算したりするより、そもそも極限が存在するかどうかを判定する機会のほうが圧倒的に多くなります。
その意味で本書は、数学科の読者向けに「実践的にまとまられた」テキストといえます。
ポイント③ 丁寧でわかりやすい
では、本書が「難しい本」かというと、まったくそんなことはありません。
理論的な内容を説明するための具体例が「例題」の形でかなり多く収められており、定理の証明も、ありがちな「読者への演習問題とする」パターンはなく、すべての定理に厳密な証明が与えられています。
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イプシロン・デルタ論法を真正面から扱いつつ、
しかも分量的に手軽、
なのに丁寧でわかりやすい
を実現した本書、ぜひ手に取ってみてください。
『数学のとびら 解析入門』(柳田英二著)
A5判/260頁/定価2970円(本体2700円+税10%)
主要目次 1.実数/2.数列と級数/3.関数の極限と連続性/4.一変数関数の微分と積分/5.関数列と関数項級数/6.多変数関数の微分/7.多変数関数の積分