「タイとの遭遇」
私ごときですが、毎日初対面の方をお招きする仕事を10年もしていると、有難いことに私的なお付き合いに発展する事があります。最初こそ「何かのご縁ですね」のお言葉から始まり、その後時間を掛けて互いの信頼は深くなって行くのでしょう。
*一人徘徊
バンコクだけですが1人歩きを覚えた私は、観光とは言い難い過密スケジュール(滞在中毎朝5時30分起床)で毎夜毎夜、少しずつ増えたタイの情報を遺憾なく発揮し、YouTubeで覚えた各乗り物を利用しながら「体験学習」を繰り返し楽しんだ。バイタクは最も勇気が必要で、渋滞をすり抜ける恐怖より行き先が伝わるか?の方が怖かった。乗る際に最初はたどたどしいタイ語で喋ってみるが伝わるはずがない。そこで目的地をググってスクショし、運転手に見せてから乗った。目的地へ移動中も信号で止まる度に携帯の地図を見せて「今ここか?」「この信号右折ね?」と確認するビビり具合で運転手がムカつく行為を繰り返す有り様(その昔台湾で超遠回りをされ時間とタクシー代を無駄にした)。今思えば無礼で申し訳ない。
回ったゴルフ場は記憶も薄れているが、一人徘徊に行ったエリアは今でも覚えている。衝撃的だったのはヤワラート。ここは参考にさせて頂いているYouTuberさんの動画を観てかなりの気合を入れて予習し、移動は最短最安ルートを把握して臨んだ。
前髪が全焼する程の炎鍋、何かわからない物体の串焼き、異様にデカイく育った伊勢海老、照り照りに焼かれた鶏肉・・・。こりゃ~1回2回じゃなく通い詰めるしかないと思った。予習して頭に入っていたお目当ての屋台は長蛇の列を成し、とてもヤワラート素人のオッサンが並んで座れる雰囲気ではなかったし、そもそもヤワラートの大きさと美しさと騒めきに感動し、 立ち並ぶ「金行」と書かれた赤い看板と煌びやかなネオンをただただ見とれていた。
*現地集合現地解散
タイ渡航も慣れてきた頃に、何時も行くゴルフ好きのご長老組ではなく地元の有志(平均年齢45歳位)で気ままな旅行を計画し、渡タイした。全員職業も役職もバラバラで普段から集う居酒屋の常連で気さくに話し合える人達。従ってなかなか同じスケジュールが組めず、日程も前後スライドする格好となった。飛行機やホテルの手配も今まではエージェント頼みだったのですが、個人で手配するチケットは結果的にかなり安価で収まり人生初のLCCにも乗れて、ドンムアン空港も初めて降りる機会で若干緊張した。
「ゴルフのないタイ」は初めてのタイより新鮮で楽しかった。今まで昼間はゴルフ場で夕方は有馬温泉。お楽しみは夜しかなく予習の成果を発揮出来ず悶々としていたが、チャンス到来!ようやくワットアルンや水上マーケット、そしてアユタヤにも行ける自由な旅を手に入れた。メンバーの一人に買い付けをしたいと言う方がいらして、チャトチャックやサンペーン巡りも楽しめ、夜はありとあらゆるタラートを楽しんだ。この旅行で主要エリアはほぼ網羅し、タイへの憧れの気持ちは一段と加速した
*憧れから親近感に
仕事柄色々な方と毎日お会いする機会がありしかも初対面の場合が多い。宿泊業の場合つかず離れずのおもてなしがとても難しく、構い過ぎても悪いし例えお元気そうにしていなくても無駄に話しかけるのも遠慮した方が良いと感じる。「どちらからお越しですか?」等タブーで、お客様から何か言われれば対応する程度で考えておかないと、後々トラブルにも成りかねない。
ある日、何時もの様にお帰りのお客様への対応に追われてる状況下の私に優しい笑顔でご挨拶をして下さる男性が来られた。身なりもキチンとされて、乗って来た車を見ても「富裕層」の品格も醸し出されており、余裕がある方なんだろうな?と思わざるをえなかった。この方、いざお話すると気さくでお茶目。時折三枚目な内容のお話も。以後来られる度にフロントで長話になったのですが、聞けば会社の会長さんで「タイにも工場」を持っておられるとのこと!それまで一度もタイの話はしていなかったのですが、「一人徘徊」を覚えてしまった私は一気にその方に「勝手な親近感」を持ち、我を忘れてタイへの思いをぶちまけてしまった。うんうんと聞いて下さった会長は、私が話終えると「じゃ~いつにしようか?」タイバカ日誌の浜ちゃんとスーさんの誕生である。どんどんタイが近くなった様な気持ちになった。
こんな事もあったのでお話します。何度目かのタイでの出来事。ご長老組ご一考様とシーロムでタイ中華を楽しんでいた時、店内の個室では喫煙不可なので階段の踊り場で小さくなり煙草をいっぷくしていた。不思議そうにこちらを見る女性が一人。「ん?ここは食事をする所でそんな所ではない」と思いつつ近寄ってみると・・・。お互いが「あっ!なんでいるの?」私が住んでいるのは小さな小さな温泉地。その温泉地のとあるお宿のオーナーさんがタイの女性と結婚されたんです。女性はまさにオーナーさんの奥様。バンコクは星の数ほどお店がありますが、天文学的確率でご対面するとは。私はこの時にも「勝手な親近感」を抱くのであった。タイが俺を来させようとしているのか?「タイが好き!」と言う決して多くはない一部の人間に対して、あまりにも強烈な出会いと出来事だと感じる。たまたま偶然で自分が良いように解釈してオノボリさんになっているだけかも知れない。いや、オノボリさんだって良いんです。言えるのは「会長と出会ったり、偶然にもバンコクで身近な人と遭遇したから」ではなく、この気持ちはメラメラと自分から湧いてきたマグマのような物である。
極めつけをもう一つ、私は「現ワチラロンコーン(ラーマ10世)国王」と同じ誕生日である。
「何かのご縁ですね」のお言葉から始まり、その後時間を掛けて互いの信頼は深くなって行くのでしょう。
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