農林中央金庫、1.2兆円資本増強の大幅赤字
海外ビジネスの話では無いのですが、
7年ほど、金融ビジネスに長く関わっていたので、
今日はこのテーマを。
農林中金が以前から社債を大量に購入しており、非常に危ない持ち方をしているという噂を聞いていたが、今回はそれが表面化した形になった。
債券偏重の投資戦略があだとなる
Bloombergの記事が詳しく書いているので、
詳しく読んでみると、債権偏重の投資戦略と、逃げ遅れが仇となったようで、農林中金は、リーマンショックの際も同じような逃げ遅れを原因で
なぜ、利回りの良い外国債券を多く保有していたのか?
農林中金は、預金量ではメガバンクに次ぐ規模。
だが農林水産業への貸し出しは伸び悩み、米国債など利回りの良い外国債券をたくさん保有してきた。市場運用資産残高55.9兆円(23年12月)のうち、半分の30.6兆円(同)を債券に充ててたようだ。
これは以前から懸念を噂されていた話だった。
外国債券を保有するリスクは次のような事です。
1. 金利リスク
米国の金利上昇により、保有する外国債券の価格が下落し、含み損が拡大するリスクがある。
2. 為替リスク
外貨建て債券を保有することで、為替変動による損失が発生する可能性がある。
3. 信用リスク
発行体の信用力が低下した場合、債券の価値が下がるリスクがある。
4. 流動性リスク
外国債券市場の流動性が低く、売却が困難になるリスクがある。
別の動画のインタビューの中では、米国の金利リスクの部分について話していた。
何が起こる?
農林中央金庫(農林中金)の今回の大規模な赤字により、経営破綻に至らないまでも、今回の赤字は農協や農業分野、ひいては地域経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。
1. 農協への影響
農林中金から農協への利益還元(奨励金)が減少し、農協の収益が悪化する。
2022年度には32の農協が最終赤字に陥っており、さらに多くの農協が赤字転落する恐れがある。
農協の経営が一層厳しくなり、農業者への支援や地域経済への影響が懸念される[5]。
2. 増資による影響
1兆円規模の増資を行うため、主な出資者であるJA(農協)などに多額の出資が求められる。
増資により一時的に財務の健全性は確保されるが、将来的な収益力の低下が危惧される。
3.信用力の低下
大規模な損失と増資により、農林中金の財務体質と収益力が低下する恐れがある。
格付け機関による格付けの引き下げなどにより、資金調達コストの上昇が懸念される。
農家への影響
農協の経営問題は農家の経営基盤を揺るがす恐れがあり、農業分野全体への影響が懸念されています。農協と農家の経営は密接に関係しているため、注視が必要不可欠です。
農家への支援サービスの縮小
農協は農家に対して、資金の貸し付け、農業資材の供給、農産物の販売支援などのサービスを提供していますが、農協の経営が悪化すればこれらのサービスが縮小または縮減される可能性があります。農家の経営基盤が揺らぐ可能性があります。
農家の収入減少
農協から農家への利益還元(奨励金)が減少すれば、農家の収入が減少します。また、農協の販売力が低下すれば、農産物の販路が狭まり収入減につながります。
地域経済への影響
農協は地域の重要な経済主体です。農協の経営悪化は地域経済の低迷にもつながり、農家を取り巻く地域環境が悪化する可能性があります。
農協の実態は金融会社。もう農家支援ではなくない?!
NewsPicksでこのあたりの事を詳しく解説してくれている。
自給率を上げるにはどうすべきか?
日本の食料自給率(カロリーベース)は37%と、主要先進国の中で最低水準にあり、世界的に見ても低い部類に入ります。
食料自給率を上げる必要があるのは、食料の安全保障上の理由からです。
現状の低い自給率では、海外からの食料供給が何らかの理由で途絶えた場合、国民への食料供給に重大な支障をきたす恐れがあります。
気候変動や紛争、疫病の流行など、食料輸入に影響を及ぼす様々なリスクが存在するためです。
自給率が低ければ、そうしたリスクに対する国の食料安全保障が脆弱になります。食料の安定供給を確保するためにも、国内の農業生産力を高め、自給率を引き上げることが不可欠とされています。