【米国調査5】アメリカの宗教
アメリカの宗教は、社会や政治に深く根ざした重要な要素であり、国民の生活や価値観に大きな影響を与えているのだそうです。
これは日本とは違うところですね。
詳しく調べてみました。
アメリカの宗教的特徴
宗教的多様性と高い信仰心
アメリカは、キリスト教を中心とした宗教的多様性を持つ国家です。2001年の調査によると、国民の宗教分布は以下のようになっています[1]
キリスト教: 76.5%(プロテスタント52%、カトリック24.5%)
ユダヤ教: 1.3%
イスラム教: 0.5%
仏教: 0.5%
その他: 7.7%
無宗教: 13.2%
こうして見ると、ほぼキリスト教だと言うことがわかります。
アメリカ人の信仰心は他の先進国と比べて非常に高く、92%が「神を信じる」と回答しているのだそうです[1]。
Citations:
[1] https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2005_06/050602.pdf
[2] https://www.iisr.jp/journal/journal2021/P235-P253.pdf
[3] https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2022/0210_14.html
アメリカはキリスト教の国なのか?
これは早計らしく、アメリカは憲法で政教分離を定めており、国教を持たない国家なのだそうです。宗教の自由が保障されているのだそうです。
なので、国教は無いが、キリスト教が大多数な国。
というのが正しい表現になりそうです。
大多数がキリスト教なのに、文化や価値観の対立がある
キリスト教内部の多様性
実はキリスト教と一言に言っても、その中に宗派があり、その違いで対立が起きているのだそうです。
宗派間の違い
アメリカのキリスト教は一枚岩ではなく、プロテスタントの福音派、主流派プロテスタント、カトリックなど、様々な宗派が存在します。
これらの宗派間で解釈や価値観が異なることがあるそうです。
対立の例:妊娠中絶をめぐる対立
妊娠中絶は、アメリカの文化戦争における最も顕著な争点の一つです。
保守的なキリスト教徒、特に福音派は強く反対する一方、リベラル派は女性の権利として支持する傾向にあります。
この対立は、政治的な論争だけでなく、時に暴力的な事件にまで発展することがあります。
文化戦争と価値観の対立
妊娠中絶、同性婚、移民問題などをめぐる「文化戦争」は、宗教的価値観と深く結びついており、アメリカ社会の分断の一因となっています[3]。
保守派と進歩派の対立(聖書の解釈や社会問題への対応への考えの違い)
聖書の解釈や社会問題への対応について保守的な立場と進歩的な立場があり、これが対立の原因となっています。
アメリカ社会には「市民宗教」と呼ばれる概念があり、宗教的要素が公共の場面にも表れています。
例えば、大統領就任式での聖書への宣誓や、貨幣に刻まれた「In God We Trust」(我々は神を信じる)という言葉などがその例です[1]。
宗教と政治の関係:福音派という存在が大きい
宗教保守の影響力
宗教、特に福音派を中心とする宗教保守は、アメリカの政治に大きな影響を与えています。
福音派は、キリスト教プロテスタントの一派であり、以下の特徴を持つ信仰の姿勢や立場を指します。
福音派ってなんでしょうね?
これも調べてみました。
複音派とはなに?主な特徴
聖書主義
福音派は聖書を神から直接与えられた言葉として捉え、信仰生活の中で最も重要な指針としています。
最高の権威
聖書の教えを、人間の理性や伝統、教会の教えよりも上位に置きます。
つまり、何か判断や決定をする際には、まず聖書の教えに基づいて考えます。
聖書の無謬性(むびょうせい)
「無謬性」とは「誤りがないこと」を意味します。多くの福音派は、聖書に書かれていることはすべて正しく、矛盾や誤りがないと信じています。
結論、福音派とは?
最高の権威や聖書の無謬性の考えをからすると、すべて固定の概念に沿った判断があり、また聖書には間違いが無い。
という考えのようです。
なので、
ケースバイケースなどではなく、教えには間違いがなく絶対である。
というふうにも言い換えられると思います。
ちょっと危ない思想のようにも思います。
なぜ、福音派が政治的影響力を持つのか?
どうやら福音派というのはアメリカ国民の20〜25%を占めるようで、また、共和党との結びつきもあるらしく、また、票田にあたる地域もあるあそうなので、複合的な要素が絡まって政治的な影響力があるようです。
数的影響力
福音派はアメリカ国民の約20~25%を占める大きな宗教グループです。
この規模の有権者集団は、選挙結果に大きな影響を与える可能性があります。
政治的結束力
福音派は政治的に結束しており、共通の価値観や目標を持っています。彼らは主に以下の点で一致しています:
中絶反対
同性婚反対
イスラエル支持
この結束力により、福音派は一つの強力な政治勢力として機能します。
地理的集中
福音派は「バイブル・ベルト」と呼ばれるアメリカ中西部から南部にかけて集中しています。この地域的集中が、特定の州や選挙区での影響力を強めています。
福音派は社会的・道徳的問題への関心が高い
福音派は中絶や同性婚などの社会的・道徳的問題に強い関心を持っています。これらの問題は政治的に重要なトピックとなっており、福音派の声が政策決定に影響を与えています。
共和党との強い結びつき
1980年代以降、福音派は共和党の重要な支持基盤となっています。
2016年の大統領選挙では、白人福音派の約80%がトランプ候補に投票しました。この強い結びつきにより、共和党政権下で福音派の影響力が増大しています。
※ただ、一方で民主党はエンターテイメント業界との結びつきが強く、俳優や歌手、アーティストなどの発信力が強い産業との結びつきがあります。
実質は、信仰の重要度ではなく、政治的な対抗構図になっているだけなのかもしれません。
アメリカの宗教の所感
福音派というのは初めて知りました。
こういう知らなかった組織が、その国に多大な影響しているんですね。
そして、それが政治団体との結びつきがあると言うこともわかりました。
恐らくそれは、ニュースでの報道内容の偏りにも多大な影響があるのだろうと思いました。
ニュースは真実を伝えているのではない
アメリカでもこういう背景があり、メディアにも資本(お金)を提供してくれている組織がある。
そうすると、事業体としては、それに優遇した対処を取らざるを得ない。
結果的に、我々が見さされてるニュースというのは「基本的に偏りがあり、真実ではないものだという前提で見る必要性がある」という風に考えて置かなければいけないのでしょう。
しかし、聖書の最高の権威や、聖書の無謬性については、世の中がどんどん進化して多様性する世界の中で、これは本当にこのままの考え方で宵のものなのだろうか?というふうにも思いました。
時代が変われば価値観は変わるのは当然ではありますが、本当に聖書が人の原理原則を抑えられているんだろうか?と思いました。
もし、完全に抑えられているのであれば、そもそも論争が起きる余地などないのではないのではないかとも思いました。
ただ、アメリカはそういう国だと言うことなので、福音派が主張するような人々が世論を形成する国だと言う風に捉えないといけないと思います。