政府が推進する「ムーンショット計画」。身体・脳・空間・時間の制約からの解放
身体・脳・空間・時間の制約からの解放ってなに?
政府が推進している「ムーンショット計画」というものがあるのをご存知でしょうか?
ムーンショット計画は、
誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター 基盤を作るというもので、
1人で10体以上のアバターをつくり、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術の社会基盤をつくる。というもの。
ようは、自分自身はひとりなんだけど、10人の異なる人に分身することができ、10人同時操作ができるようになる。みたいな事。
分身の術を使うのを国家レベルでマジで考えてる。
という事。
もし、これが実現すれば、人口減少はあまり関係がなくなる。
人口は減少しててても、生産性は10倍になる。
これにAIや、AIロボティクスみたいな事や、ブレインマシーンインターフェースみたいな、誰かのノウハウを自分にインストールする。みたいなことも普及していくとなると、数十倍の生産性が得られる可能性が考えられる。
これを政府という固い組織が推進しているということで、この記事を発見した2020年ごろは、にわかには信じられなかったが、どうも本当らしく、とても驚いた。
計画としては、、
2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
という風になっているそうです。
政府のムーンショット計画のページはこちら
ムーンショット計画が発足された背景と狙い
ムーンショット計画は、日本が直面する少子高齢化、大規模自然災害、地球温暖化などの社会課題に対応し、持続可能な社会を実現するために策定されました。また、欧米や中国に比べて遅れをとっている破壊的イノベーションの創出を目指し、日本発の革新的な技術開発を推進する狙いもあるようです。
ムーンショット計画の概要
この背景を踏まえ、ムーンショット計画の概要は以下の通りです:
目的:人々の幸福(Human Well-being)の実現を目指し、社会課題の解決と未来社会の構築を目指す。
特徴:従来技術の延長線上にない、大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進。
実施体制:内閣府を中心に、複数の研究開発法人や大学、民間企業が参画。
目標設定:現在、9つの具体的な目標が設定されており、それぞれ2050年または2040年までの達成を目指している。
ムーンショット計画の9つの目標
Goal 1 (身体・脳・空間・時間の制約からの解放): 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
Goal 2 (超早期疾患予測・介入): 2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
Goal 3 (AI・ロボットの共生): 2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
Goal 4 (地球環境再生): 2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
Goal 5 (食料供給の未利用生物資源活用): 2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
Goal 6 (量子コンピューター): 2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
Goal 7 (健康寿命の延伸): 2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
Goal 8 (激甚化する災害の制御と予測): 2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
Goal 9 (こころの安らぎと活力): 2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現
各目標にはプログラムディレクター(PD)が任命されており、研究開発プロジェクトの全体的な方向性や戦略を決定し、プロジェクトマネージャー(PM)の選定や評価、指導を行う重要な役割を担っています。
ポジティブな評価
挑戦的な研究課題への取り組み
ムーンショット計画は、AIや量子コンピューターなどの最先端技術分野において、挑戦的な研究課題に取り組んでいます。これにより、科学技術の進展と社会課題の解決を目指す姿勢が評価されています[2]。資金の投入
計画には1950億円の基金が設けられており、各プロジェクトに対して十分な資金が投入されています。特に新たに追加される核融合エネルギーの目標には、最大10年で数百億円規模の研究支援が行われる予定です[2]。
批判と課題
目標の不明確さ
一部のプロジェクトでは、成果の数値目標が設定されていないことが批判されています。目標が明確でなければ、事業が成功したかどうかの評価が難しく、民間企業なら通らないような基準で進められているとの指摘があるそうです[3]。失敗の許容
ムーンショット計画は「失敗を許容する」姿勢を持っていますが、この点についても批判があります。特に、成果が見えにくいプロジェクトに対しては、無駄な資金投入と見なされることがあるそうです[3]。専門家の評価の偏り
専門家の評価は実現可能性に偏りがちで、革新的なアイデアが見逃される可能性があるという指摘もあります。これは、専門家のメンタルマップが新しい領域に直面すると崩壊することが原因とされています[4]。
展望
ムーンショット計画は、引き続き新しい目標やプロジェクトを追加し、挑戦的な研究を推進しています。例えば、核融合エネルギーの目標が新たに追加される予定であり、これにより次世代のエネルギー問題の解決が期待されています[2]。
総じて、ムーンショット計画はその大胆なビジョンと挑戦的な目標設定により高く評価される一方で、具体的な成果の見える化や資金の効率的な使用についての課題も抱えています。今後の進展に注目が集まっています。
参考
[1] https://www.jst.go.jp/moonshot/program/report.html
[2] https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231019/k10014231091000.html
[3] https://www.asahi.com/articles/ASRCX62W4RCXULFA01B.html
[4] https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9749