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ベトナムのエビ養殖が福岡の技術で”革命”を起こす

福岡市内のスーパーに並ぶエビの原産国を見ると「ベトナム」と書かれています。このエビの多くは養殖池で育てられたもので、ベトナムは年間約100万トンのエビを養殖し、世界90カ国以上に輸出しています。

エビ養殖のシェアは世界全体の約10%を占めています。

取材班が訪れたのはホーチミン市内から40キロ離れたカントー県。

ここを訪れたのは大牟田市の商社、中島物産の中島康弘社長です。
中島社長はエビが病気になりにくい環境を作るための取り組みを行っています。

中島社長がまず向かったのはベトナム最大の研究教育機関、農業ハイテク機構です。この組織はベトナム国内の農業や漁業にハイテク技術を普及させ、発展を手助けしています。

エビは世界中で大人気。嫌いな人をあまり聞かない。

エビの生産はベトナムのほか、エクアドル、中国、インド、インドネシアなどがあり、生産数は540万トンと言われている。そのうちの100万トンをベトナムが占めている。

この540万トンは、今、世界中で人気になったマグロの生産量に相当する。

つまりエビはすごく好まれている食材だと言えます。

実際、YoutubeやTikTokのインタビュー動画を見ると、日本特有の料理はドキドキしながら食べていても、エビが出てくると、全然違和感なく食べている訪日外国人が多い。「エビ大好き」といって食べる人も多い。

日本でもエビを食べに行くというと、ご馳走になると思いますので、恐らく海外でも、それに相当する国が多いのではないかと思います。

エビ産業を支えることはとても世界的にも意義が大きいのではないかと思います。

ベトナムの水産業の輸出額はソフトバンクの売上と同じくらいの規模

ベトナムの水産業全体の約半分をエビ養殖が占め、輸出額は約45億ドルに達しています。

45億ドルは1ドル150円で換算すると6兆7500億円となります。
この金額は、日本の企業でいうと6兆7565億円のソフトバンクグループに相当します。

同規模では、ほかには東京電力、住友商事、かんぽ生命保険などがあります。

エビ養殖の課題は餌の残りかすなどによる汚泥

エビ養殖では、餌の残りカスや薬品が水に溜まり、汚泥の問題が発生します。これが環境を汚染し、エビが病気になりやすくなる原因となります。

養殖場では生産量を高めるために多くのエビを育てるため、池が汚れ、エビが病気になりやすくなるのです。また、一度海水を入れた養殖場は田畑に戻すことができず、放置されるケースも多くあります。

中島社長が開発した水質改善装置

この問題を解決するために、中島社長はエビの養殖環境を改善する装置を開発しました。その秘密を探るため、大牟田市の本社を訪れました。ここで紹介されたのがマイクロバブルを発生させるノズルです。このノズルは100ミクロン以下の微細な気泡を発生させ、水中に放出します。この微細な気泡が水中に滞在することで、水に様々な特性を付与します。

マイクロバブルの効果は大きく2つあります。微細な気泡は水中で収縮し、より多くの酸素が水中に溶け込むことで微生物が活発化し、水をきれいにします。また、エビ自身の免疫力もアップします。さらに、中島物産のマイクロバブルの最大の強みはストレート構造で、浮遊物が詰まりにくい点です。

アサリの実験で生存率が70%から98%へ増加。ほぼ生存へ。

柳川市の水産会社で実験を行ったところ、マイクロバブルを使った水槽でのアサリの生存率が70%から98%に増加しました。これは水産会社にとって大きな驚きだったそうです。

エビ養殖のテストで生産効率から1.4倍から1.5倍に向上

ベトナムでもマイクロバブルの実験が進んでいます。2009年に実施したJICAとの合同プロジェクトでは、3つの養殖場で水中の酸素濃度を上げるテストを行い、エビの生産効率が1.4から1.5倍に向上しました。また、エビの免疫力も上がり、薬剤の使用量を減らすことができました。

コスト的な課題が出てきているものの、着実に次の段階にすすむ

この技術をベトナムで普及させるためにはコストダウンが必要です。

現地の養殖場で購入してもらうためには価格を今の1/10まで抑える必要があります。そこで、有明高専と共同で材質を樹脂に変えるなど、効果を維持しつつコストを下げる研究を進めています。

経営学の専門家は、現地での生産や調達を進めることでコストダウンを図る必要があると指摘しています。中島物産は、マイクロバブル技術を使って食物の高い生産性を実現し、生産者を救う技術を普及させるために、国境を越えた挑戦を続けています。

技術提供と現地国の収入源を支え、生産物を提供頂いて共生を作る

日本ができる事といえば、こういう技術提供がとても多いと思います。

これまでnoteを書いていると、日本人の先人が、異国で何かをしてあげて、それが現地の方々の物理的な支えや、精神的な支えとなり、長い時間を経て、現地の方がお返しをしてくれている。というストーリーによく出会います。

ポイントは、提供したものが、現地の方々の生活を支えることとなった事。そしてそのお返しが、日本にもありがたい形で戻ってきているという感謝の循環の仕組みができあがっている事ではないかと思います。

また、それが他に代替しずらいこともポイントではないかと思います。


個人的にはこういう循環の仕組みを多く作りたい。という風に思います。


参照
[1] https://www.youtube.com/watch?v=phpvCPQcMuw
[2] https://nanotech2019.jcdbizmatch.jp/jp/Presentation/Info/Exhibitor?param=lbIWg32Ygnc
[3] https://www.micro-bubble-evc.com/603/
[4] https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1000/A181096_summary.pdf
[5] https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/1000049342.pdf
[6] http://www.nakashimabussan.co.jp/news/38881/
[7] https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/1000049966.pdf
[8] https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/column/08/column_08.htm
[9] https://www.youtube.com/watch?v=phpvCPQcMuw

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織原松治
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