アニメが海外で空前の大ヒット。東映アニメーションの業績はどんな感じだろう?
日本のアニメ、漫画が大人気です。
このnoteをよく読んでいただいている方はおわかりかと思いますが、インバウンドが活況なのは、アニメとマンガが導線となっており、その最初の始まりは1960年代と非常に古く、超長期の布石を敷いてきたと行っても良いのではないかと思います。
そのアニメ、漫画を牽引んしてきた一社が東映アニメーションという企業です。
東映アニメーションは、日本のアニメ、漫画、ポップカルチャーにおいて極めて重要な存在で、1956年の設立以来、日本初の劇場長編カラーアニメ「白蛇伝」の公開を皮切りに、アニメ産業の発展に大きく貢献してきました。
「ドラゴンボール」「ONE PIECE」「プリキュア」シリーズなど、国内外で絶大な人気を誇る作品を多数製作し、日本のポップカルチャーを代表する企業となっています。
また、セル画からデジタルアニメーションへの移行など、技術革新にも常に取り組んでいます。
東映アニメーションは早くから海外市場に進出し、日本アニメの世界的な普及に貢献しています。
「子ども向け漫画原作×テレビ×玩具」というビジネスモデルを確立し、アニメ産業の収益構造に大きな影響を与えました。
版権ビジネスやグッズ展開など多角的な事業展開により、アニメ産業の収益基盤を強化しています。その作品は日本の子どもたちの成長に大きな影響を与え、日本の文化や価値観を形成する一助となっています。
2022年に2兆9277億円に達した日本のアニメ産業市場において、東映アニメーションは中心的な存在として業界全体の成長を牽引し、日本のソフトパワーの重要な要素となっています。
東映アニメーションの業績は近年著しく伸長しており、特に2023年3月期に大きな飛躍を遂げています。以下に主な成長要因と海外ビジネスの影響について分析します。
業績の伸長(2023年)
東映アニメーションの業績は、2023年3月期に大幅な成長を記録しました。
売上高: 2022年3月期の57,020百万円から2023年3月期には87,457百万円へと53.38%増加[1]。
営業利益: 18,107百万円から28,669百万円へと58.33%増加[1]。
経常利益: 18,822百万円から29,791百万円へと58.28%増加[1]。
親会社株主に帰属する当期純利益: 12,820百万円から20,900百万円へと63.03%増加[1]。
この急激な成長は、主に以下の要因によるものと考えられます:
ヒット作品の貢献: 『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』などの人気作品が好調を維持[2]。
映画の成功: 2023年度に公開された主要な3本の映画が好調で、他の部門にも好影響を与えた[3]。
ストリーミング権の拡大: 北米でのストリーミング権販売と更新が増加[3]。
海外ビジネスの影響
東映アニメーションの成長において、海外ビジネスは極めて重要な役割を果たしています。
売上構成比: 海外売上が全体の約55%を占め、国内市場を上回っている[3]。
地域別成長:
ラテンアメリカ市場で161.18%の大幅な成長[3]。
北米市場でも『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』の人気が高い[3]。
海外戦略の進化:
1992年から海外スタジオを設立し、段階的に海外展開を強化[2]。
2004年以降、逆張り戦略で海外拠点を拡大し、現在の成功の礎を築いた[2]。
多角的なビジネス展開:
海外輸出型ビジネス、ハリウッド型ビジネス、地産地消型ビジネスの3つの戦略を展開[2]。
各国の経済状況や文化に合わせたローカライズ戦略を推進[2]。
グローバル市場でのIP開発:
海外でのIP企画開発を加速し、マーケットシェアの拡大を目指している[2]。
為替の影響:
円安の影響も一部あるが、主要因は作品自体の海外での好調な実績[3]。
東映アニメーションの成功は、長年にわたる海外戦略の結果であり、グローバル市場での日本アニメの人気拡大と相まって、今後も成長が期待されいる。
海外ビジネスが5割を締めている事、海外の人気の潮流を捕まえた。
ということが非常に大きいと思います。
Citations:
[1] https://corp.toei-anim.co.jp/ja/ir/finance/highlight.html
[2] https://hotakasugi-jp.com/2023/11/08/report-anime-toei-animation-global-strategy/
[3] https://erzat.blog/toei-animation-achieves-record-breaking-performance-thanks-to-blockbuster-films-in-fy2023/
[4] https://www.screendaily.com/features/as-japans-animation-industry-hits-record-box-office-its-international-impact-is-also-expanding/5191471.article
[5] https://corp.toei-anim.co.jp/ja/ir/finance/highlight.html
2024年の業績
東映アニメーションの2024年3月期の業績について報告いたします。
2024年3月期の連結決算では、売上高は886億54百万円(前年同期比1.4%増)と増収を達成しました。しかし、営業利益は233億64百万円(同18.5%減)、経常利益は264億53百万円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は187億95百万円(同10.1%減)と、利益面では減益となりました。
減益の主な要因としては、前年度に公開された大型劇場3作品の大ヒットの反動が大きかったことが挙げられます。特に第1四半期における「聖闘士星矢 The Beginning」の棚卸資産の評価損計上が影響しました。
この状況は主に2つの要因が絡み合っています:
前年度の大型劇場作品の反動:
2023年3月期に公開された大型劇場3作品が大ヒットしたため、2024年3月期はその反動で収益が減少しました。これは通常のビジネスサイクルの一部と言えます。「聖闘士星矢 The Beginning」の不振:
この作品は期待されたほどの成績を上げられなかったようです。そのため、関連する商品やグッズの在庫(棚卸資産)の価値を下げる必要が生じ、評価損を計上することになりました。
「棚卸資産の評価損計上」とは、在庫の価値が当初の見込みより下がったことを会計上認識する処理です。この場合、「聖闘士星矢 The Beginning」関連の商品が予想ほど売れなかったため、その在庫価値を引き下げたと解釈できます。
これは単に計上のタイミングの問題ではなく、作品の興行成績が期待を下回ったことを示唆しています。第1四半期に評価損を計上したということは、比較的早い段階で作品の不振が明らかになり、会社がそれに迅速に対応したことを意味します。
つまり、前年度のヒット作の反動減に加えて、新作の不振が重なり、減益につながったと理解できます。
一方で、主力作品群からの安定的な収益の確保・拡大を図り、特に商品販売事業と海外配信権販売に注力したことで増収を確保しました。「ドラゴンボール」シリーズや「ONE PIECE」などの人気作品が引き続き好調を維持しています。
セグメント別では、映像製作・販売事業が減収減益となった一方、商品販売事業は大幅な増収増益を達成しました。版権事業は若干の減収減益となりました。
東映アニメーションは、引き続き好調な事業環境を想定していますが、大型作品の波及効果や劇場収入などについて前年同期比での減少を見込んでいます。
Citations:
[1] https://gamebiz.jp/news/385950
[2] https://kabuyoho.ifis.co.jp/index.php?action=tp1&bcode=4816&sa=report
[3] https://kabuyoho.jp/sp/report?bcode=4816
[4] https://corp.toei-anim.co.jp/ja/ir/news/auto_20240510590629/pdfFile.pdf
[5] https://corp.toei-anim.co.jp/en/ir/main/00/teaserItems1/0111/linkList/0/link/202407_1Q_presen_en_fin.pdf
必ずしもすべてのタイトルが当たるわけではない
ドラゴンボールやワンピースなどが世界で人気なのは既知のことだと思いますが、聖闘士星矢が見込んだ予測より当たらなかったというのは、日本のアニメだからと言って、必ずしてもすべてのタイトルが当たるわけではない。
ということを意味しているのではないかと思います。
個人的には聖闘士星矢はよく見ました。
好きなタイトルではあります。
ただ、このタイトルが当たらなかったのは、内容なのか、時代なのか、わからないですが、世界的に共感が得られるストーリーの核の部分が少し違ったんではないかと思います。
こういううまく行かなかった例は貴重だと思います。
大成功したものがある反面で、うまく行かなかったものがある中で、何の違いで、この結果があるのかを分析することで、次にリリースするタイトルが当てる精度が変わります。
ぜひ、東映アニメーションさんには次回も頑張っていただきたいと思います。