「モンスター社員」を文章で見極める方法
こんにちは!
この連載の影響もあってか、最近、文章まわりの相談(愚痴)をいただく機会が増えました。
つい先日も、IT企業にお勤めの方から、こんな悩みをお聞きしました。
みなさんもこの相談者さんのように、倫理観や道徳心の欠けた後輩(あるいは部下や同僚)に頭を悩ませた経験はあるでしょうか。
対策としては、上司や先輩が細かく指摘して、改善が見られなかったら業務や配置の変更、あまりにひどいなら退職勧奨をするしかないのでは……というのがぼくの意見です。フィードバックの方法は一考の余地がありそうですが、基本的にはそれしかないのではと。身も蓋もない気がしますが。
むしろこの相談を聞いて気になったのは、倫理観や道徳心の欠けた人(いわゆるモンスター社員)を、採用段階で「文章」で見分けることは可能なのか、ということです。
面接前、あるいは面接と並行しながら、履歴書や職務経歴書以外の「文章」による審査をすることは有効なのでしょうか?
今回は、「雇うべきでない社員を文章で見極める方法」について考えてみたいと思います。
文章で「モンスター社員かどうか」を見極められるのか?
ぼくは文章に関わる仕事をしていることもあり、文章を読めばその人の人となりがそれなりにわかります。新たにメンバーを採用するときは、面接の前段として「文章」の審査を徹底しています。
その経験からいうと、文章による採用可否の判断はかなり有効だと考えています。
面接と並行して「文章審査」をすることで、リスクの高い人材を採用してしまう確率を大きく減らせるということです。
というのも、文章は読み返して推敲できるからです。「この表現でよいのか?」と考える時間的余裕があり、一晩寝かせて読み返すこともできる。もちろん文章にもセンスの有無はあると思いますが、努力次第で改善できる余地が大きい。ぼくはそう考えています。
そうした理由から、次の4つに当てはまるような文章を提出してきた人の場合、ぼくは採用対象から外すようにしています。
●------------------------------------------
1. 誤字脱字が多い
注意力や慎重さが欠如している可能性が高そうです。以下の例文では、「インターンシップ」と「貢献」の単語に誤字があります。
2. 感情的な表現が多い
感情的な表現が多い人は、感情コントロールが苦手で、思ったことをそのまま口に出しそうなため避けています。以下の例文では、前職への否定的な感情をあらわにし、また採用への強い要求を示すなど感情的な表現が多く含まれています。
3. 構成が論理的ではない
思考力が欠けていることを示唆しています。たとえば以下の例文では、関連性の薄い情報が混在していて、主張と根拠の関係がわかりづらいです。
4. 言葉遣いが不適切
状況把握力や社会性の欠如が表れがちな部分です。以下の例文では一見して大きな問題はないように見えますが、ビジネスシーンで求められる適切な距離感や相手への配慮が欠けています。
------------------------------------------●
もちろん、ひとつの文章だけで人を完全に判断することはできません。が、少なくとも注意が必要なサインとしてとらえることができるのではないでしょうか。
採用プロセスに「文章審査」を組み込む場合のコツ
「文章審査」を採用プロセスに組み込む場合は、次の3点を意識するのがよいと思います。
=================================
1. 業務に関連した具体的な課題について書いてもらう
応募者の「論理的な構成力」「問題分析力・問題解決力」を見極めることができます。単なる文章力だけでなく、専門知識や創造性も同時に評価できるため、より総合的な判断が可能になります。
2. 特定のトピックについて、相反する立場からの意見を書いてもらう
応募者の思考力や柔軟性、多様性に対する意識などを評価できます。
3. 文章評価の基準を明確にし、複数の評価者で判断する
担当者一人だと、主観的な判断になりがち。評価基準を明確にしたうえで、複数の目で判断しましょう。
=================================
……とまあ、いろいろ書いてきましたが、仕事上の「書く」という行為は、近い将来AIでだいぶ置き換わっていくんですかね。それとも、「AIで職務経歴書を書くのはNG」みたいに特定のシーンでは使用禁止になるのか。詳しい方はぜひ見解をお聞かせください。
では、また次回の記事でお会いしましょう。