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「モンスター社員」を文章で見極める方法

こんにちは!

この連載の影響もあってか、最近、文章まわりの相談(愚痴)をいただく機会が増えました。

つい先日も、IT企業にお勤めの方から、こんな悩みをお聞きしました。

営業部で働いているのですが、最近入社した後輩が全社メールとかでお客さまのことを「こいつ」って平気で書くんですよ。「こいつ」ですよ? イラッとすることは私もありますけど、明らかに下に見ている。それに文章が全然ロジカルじゃないんですよ。しかも後輩といっても私と同い年の31歳で……。もう指導はあきらめて、配置転換を検討してもらえないか上長に言うべきなんですかね?

みなさんもこの相談者さんのように、倫理観や道徳心の欠けた後輩(あるいは部下や同僚)に頭を悩ませた経験はあるでしょうか。

対策としては、上司や先輩が細かく指摘して、改善が見られなかったら業務や配置の変更、あまりにひどいなら退職勧奨をするしかないのでは……というのがぼくの意見です。フィードバックの方法は一考の余地がありそうですが、基本的にはそれしかないのではと。身も蓋もない気がしますが。

むしろこの相談を聞いて気になったのは、倫理観や道徳心の欠けた人(いわゆるモンスター社員)を、採用段階で「文章」で見分けることは可能なのか、ということです。

面接前、あるいは面接と並行しながら、履歴書や職務経歴書以外の「文章」による審査をすることは有効なのでしょうか?

今回は、「雇うべきでない社員を文章で見極める方法」について考えてみたいと思います。

文章で「モンスター社員かどうか」を見極められるのか?


ぼくは文章に関わる仕事をしていることもあり、文章を読めばその人の人となりがそれなりにわかります。新たにメンバーを採用するときは、面接の前段として「文章」の審査を徹底しています。

その経験からいうと、文章による採用可否の判断はかなり有効だと考えています。

面接と並行して「文章審査」をすることで、リスクの高い人材を採用してしまう確率を大きく減らせるということです。

というのも、文章は読み返して推敲できるからです。「この表現でよいのか?」と考える時間的余裕があり、一晩寝かせて読み返すこともできる。もちろん文章にもセンスの有無はあると思いますが、努力次第で改善できる余地が大きい。ぼくはそう考えています。

そうした理由から、次の4つに当てはまるような文章を提出してきた人の場合、ぼくは採用対象から外すようにしています。

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1. 誤字脱字が多い

注意力や慎重さが欠如している可能性が高そうです。以下の例文では、「インターンシップ」と「貢献」の単語に誤字があります。

例:
私は大学時代に経営学を専攻し、インターシップでも貴重な経験を積みました。御社の事業拡大に貢けんできると確信しております。

2. 感情的な表現が多い

感情的な表現が多い人は、感情コントロールが苦手で、思ったことをそのまま口に出しそうなため避けています。以下の例文では、前職への否定的な感情をあらわにし、また採用への強い要求を示すなど感情的な表現が多く含まれています。

例:
前職では、上司と考えが合わず、新しいアイデアを出しても却下されることが多かったです。御社なら私のような若手の意見もきっと尊重してくれると思います。私の能力を正当に評価してくれると信じています。ぜひ採用してください。

3. 構成が論理的ではない

思考力が欠けていることを示唆しています。たとえば以下の例文では、関連性の薄い情報が混在していて、主張と根拠の関係がわかりづらいです。

例:
大学時代はマーケティングを学び、サークル活動では後輩の指導にあたりました。アルバイトでは接客を経験し、お客様満足度向上に努めました。プログラミングにも興味があり、独学で Python を勉強中です。これらの経験を活かし、貴社の発展に寄与したいと考えております。

4. 言葉遣いが不適切

状況把握力や社会性の欠如が表れがちな部分です。以下の例文では一見して大きな問題はないように見えますが、ビジネスシーンで求められる適切な距離感や相手への配慮が欠けています。

例:
貴社のサービスには以前から注目しており、ぜひ一緒に働きたいと思います。 私のスキルを活かせる環境だと確信していますので、ぜひ採用を検討してください。 お忙しいとは存じますが、できるだけ早めにご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

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もちろん、ひとつの文章だけで人を完全に判断することはできません。が、少なくとも注意が必要なサインとしてとらえることができるのではないでしょうか。

採用プロセスに「文章審査」を組み込む場合のコツ


「文章審査」を採用プロセスに組み込む場合は、次の3点を意識するのがよいと思います。

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1. 業務に関連した具体的な課題について書いてもらう

応募者の「論理的な構成力」「問題分析力・問題解決力」を見極めることができます。単なる文章力だけでなく、専門知識や創造性も同時に評価できるため、より総合的な判断が可能になります。

例:
あなたが過去に担当した業務や製品について、その売上を伸ばすためにとった行動や、今後実施すべきだと考える戦略を500字程度で説明してください。

2. 特定のトピックについて、相反する立場からの意見を書いてもらう

応募者の思考力や柔軟性、多様性に対する意識などを評価できます。

例:
「在宅勤務が増加することのメリットとデメリット」「AIの発展が雇用にもたらす良い面と悪い面」など

3. 文章評価の基準を明確にし、複数の評価者で判断する

担当者一人だと、主観的な判断になりがち。評価基準を明確にしたうえで、複数の目で判断しましょう。

例:
「誤字脱字の少なさ」「言葉遣いの適切さ」「論理性」などの項目を5段階で評価し、複数の評価者の平均点で判断する。

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……とまあ、いろいろ書いてきましたが、仕事上の「書く」という行為は、近い将来AIでだいぶ置き換わっていくんですかね。それとも、「AIで職務経歴書を書くのはNG」みたいに特定のシーンでは使用禁止になるのか。詳しい方はぜひ見解をお聞かせください。

では、また次回の記事でお会いしましょう。


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