耳が聞こえるのに聞き取れない~精神面から起こる症状
私は軽度知的障がいがあり、日常生活で複雑なことを理解するのに時間が掛かります。それに加えて、最近困っていることがあり「耳が聞こえにくい」と感じる場面が多くなったのです。
聴覚処理障害
今までそのような症状を感じたこともなく、聴力検査で引っかかることも1度もありませんでした。ですが大人になってからたまに「聞きとりにくさ」を感じることが多くなり、不思議に思っていました。
冷静になって考えてみると、家族と会話をするときは問題なく聞こえていました。ネットや本でいろいろと調べていくうちに「聴覚処理障害」という言葉を知りました。
「聴覚処理障害」とは、脳内に伝わった電気信号がどのような音なのかを、処理することができないため「聞き取りにくさ」が生じてしまう障がいです。つまり耳の異常ではなく、脳内の聴覚情報を処理する神経に何らかの問題があると考えられます。
発達障害
「聴覚処理障害」の原因のうち最も多いのは「発達障害」といわれています。発達障がい者の多くは、耳からの情報に弱い傾向があります。
雑音の中で聞き取りづらい、聞き間違いが多い、メモを取るのが苦手、話が長くなると理解できない、などの特性から「聴覚処理障害」も持っていることが多いのです。
私は「知的障がい者」ですが、あまりこれらの特性には当てはまらないように感じられます。
認知的な偏り(不注意、記憶力の弱さ)
発達障がいには該当しないが「不注意」や「記憶力の弱さ」などの脳の認知的な偏りが原因で「聴覚処理障がい」が発症していることも考えられます。
私たちが会話を聞き取るときには「相手の話に注意を向ける」「話の内容を理解しながら記憶を更新していく」という2つの行動が大切になります。そのどちらか一方でも劣ってしまうと「聞き取りにくさ」に繋がってしまうのです。
私はどちらの能力もかなり劣っていると認識しています。
あまり他人に興味を持てないので「相手の話に注意を向ける」のはとても疲れます。自分の興味のある分野以外で人の話を聞くのは苦痛です。
そして「知的障がい者特有の理解力のなさと記憶力のなさ」が、私の「聞こえにくさ」に拍車を掛けていると考えられます。
多くの「知的障がい者」にも該当するのではないでしょうか。
心理的な問題
過度な不安やストレスも「聞き取りにくさ」に影響するといわれています。それらは聞き取る際に必要である「注意力」を阻害します。
その結果、相手の話に注意を向けることが困難になり「聞き取りにくさ」を感じてしまうのです。
現在、心理的な問題が原因となる「聴覚処理障害」の患者数は少ないようです。しかし「聞き取りにくさ」が不安やストレスが原因だとは、なかなか気づきにくく、発見が見過ごされてるケースも考えられます。
心理的な問題~私の場合
私も大学の友人と会話するときに「聞き取りにくさ」を感じたのが始まりでした。当時は過度に心や体に負担を抱えていて「うつ病」を患っていました。しかし大学の友人以外との会話は、違和感なく聞き取れていたので、つまり大学生活での緊張感と疲労感が、私の「聞き取りにくさ」に影響を与えていたのです。
社会人になってからも職場では同じような症状に悩まされています。
通所している事業所でも、相手の声は聞こえるのに聞き取れなくて、やらなくてはいけない作業を理解するのにとても時間が掛かりました。
現在は通い始めてから半年以上経過したのもあり、環境に慣れてきたのか、その症状も改善されてきました。
以前の事業所では苦手だった人の声がほとんど頭に入らなかったので、仕事どころではとてもない精神状態だったと考えられます。
また疲れていたり、寝不足の際も同様の症状があります。
対処法
現在も完治したわけではないですが、今後大切な場で症状が現れた際は相手に耳が少し聞こえにくいことを、軽く伝えようと考えています。
そしてどうしてものときは、ボイスレコーダーを積極的に活用するのも1つの方法だと思います。
「聞こえなくても気にしない」で自分の心や体を1番にいたわってあげたいです。また相手を戸惑わせたり不快な思いをさせないためにも、事前に伝え、相手の話に興味を持って、熱心に聞く姿勢を心がけたいです。
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この記事は障害者ドットコムの以下の記事より転載しております。2024年1月以前のバックナンバーもこちらからどうぞ。