プロダクトレッドグロース(Product-Led Growth/PLG)のSEO戦略事例
都丸です。SEO歴8年目です。
この記事では、"プロダクトが勝手に被リンクを獲得してくれる"プロダクトレッドグロース(Product-Led Growth)のSEO対策事例を紹介します。
プロダクトレッドグロース(Product-Led Growth / PLG)とは、プロダクトそのものに営業やマーケティングの機能を付け、グロースを目指す考え方です。
なお、今回はLANYさんの記事で紹介されている「engage」「Ubie」「求人ボックス」以外の事例を紹介します。(すごく分かりやすいので読んでみてください)
1.YAMAP|自治体がオンライン登山届けの案内をHPで出すことで被リンクを獲得している
YAMAPは、山歩き用の地図アプリケーションを提供しているサービスです。スマホの電波が届かない山の中でもGPSを使って現在位置を把握することができます。また、登山しながらお気に入りの風景写真などを保存し一人一人の登山記録も作成できます。
YAMAPは下記の「山岳名関連クエリ」で掲載順位1位を取ってます。
また、YAMAPが提供するサービスの一つである登山計画を正式な登山届として締結済みの自治体へ提出することもできます。2023年5月末時点でYAMAPと締結している自治体の数は16あります。
YAMAPの被リンク獲得の流れは下記です。
YAMAPと自治体・警察署が締結する
自治体のサイトにYAMAPへのリンクを貼ってもらう
ユーザーにYAMAPアプリをインストールしてもらう
YAMAPアプリから登山計画を作成し、それをオンラインで登山届けとして自治体へ提出する(無料で登山計画を作成できる)
ユーザーや自治体からの口コミが広がり、新たな自治体との締結が増える
事例として、大分県警察との締結による被リンクを紹介します。
大分県HPにYAMAPへの導線が設けられています。
被リンクしてくれているドメインをアンカーテキスト「届出」で調べると、数カ所の自治体からリンクを貰っていることがわかります。
地方自治体関連のドメインはDRが高いですね。大分県HPのDRは79あります。
自治体からの被リンクはE-E-A-TのA「Authoriatativeness(権威性)」を高めるために重要です。
公共機関などの公的なサイトなどに被リンクしてもらうことで権威性が高まるので、締結した自治体が増えるごとにDRも上がると思います。
また、YAMAPは登山の活動日記がSNSでシェアされたり個人ブログにリンクされるケースも多いです。
これらは、サイテーションの獲得にも貢献するので、プロダクトとユーザーが勝手に被リンクを取ってきてくれている状態とも言えます。
YAMAPのSEO改善案
個人的な改善案として、「山の情報」と「YAMAP MAGAZINE」を内部リンクしてページ同士の関連性を明示すれば、現在上位を取れていない関連KWで上位を取れる確率が上がると予想します。
例えば、「筑波山 登山」「筑波山 ランチ」「筑波山 ハート岩」「筑波山 遭難」「筑波山 初心者」などの「筑波山」に関連するKWで検索意図を考慮しながら多くのページをYAMAP MAGAZINEで作ります。
それらのページ(クラスターページ)と、「筑波山」のキーワードで作成した「山の情報」ページ(ピラーページ)同士を相互リンクします。
そうすれば、「筑波山」のトピックについての知識や技術の量の多さや質の高さを伝えることができます。知識や技術の量や質が良ければコンテンツ制作者の専門性も高く評価されるでしょう。
トピッククラスターとは?↓
2.Pitta(旧:Meety)|カジュアル面談ページを採用コンテンツに貼り付けてもらう被リンクを獲得
※Meetyは2023年10月末にPittaへリブランディングしました。
Meetyは「カジュアル面談をもっとカジュアルに」というコンセプトで運営されている面談マッチングサイトです。マッチングサイトのようなカジュアルな感覚で「気になる」ボタンを押すだけで、承認されれば企業の“なかのひと”と気軽にお話ができるサービスです。キャリア相談や情報交換を目的としたページも存在し、母集団形成を目的としたカジュアル面談よりもカジュアルな形で面談ができるケースも多いです。
無料でカジュアル面談ページを作成できることがポイントでしょう。私もお仕事ではいつもお世話になっています。
meetyは2021年の終わり頃から急速にユーザーが増えました。
オーガニックユーザーの増加とともに参照ドメイン数も増加しています。
そんなmeetyの被リンク獲得の流れです。
採用強化中の企業がmeetyでカジュアル面談ページを作る
カジュアル面談ページを企業の採用ページや採用広報記事へリンクを貼ってもらう
カジュアル面談ページへ訪れた潜在候補者は、meetyへ登録して面談に申し込む
面談した潜在候補者もmeetyの見込み顧客になる
被リンクしてくれているドメインをアンカーテキスト「面談」で調べるとDMMなどの企業でMeetyへの面談ページを貼っていることが分かります。
よくあるケースとして、企業の採用広報コンテンツのCTAとしてカジュアル面談ページの導線が貼ってあります。
このままユーザー数が増え続ければDRはますます高くなると予想します。
(YOUTRUSTもおなじです)
MeetyのSEO改善案
応募側のユーザー獲得を増やすことを目的とするならば、企業名関連KWや転職トレンドKWのインタビュー記事を増やしていいかもしれません。(インタビュー対象者は、カジュアル面談ページを掲載している企業の人に絞る)
企業名関連KWだと、「layerX 資金調達(140)」「マネーフォワード 英語化(90)」「スタートアップ 開発者体験(10)」といったテーマで取材記事を書くのも一つの手段かと思います。制作する際の注意点として、2次情報の寄せ集め記事ではなく、企業の役員レベルの方へインタビューを行いE-E-A-TにおけるExperience(経験)とAuthoritativeness(権威性)が評価される記事が重要です。結果としてTrustworthiness(信頼性)も上がるでしょう。
転職トレンドKWだと、「プロンプトエンジニア なるには(480)」「ai エンジニア 未経験(260)」「PdM 未経験(40)」あたりのテーマで、実際に転職を経験された方の取材記事を書くのも良さそうです。
これらのネタのベンチマークはSELECKさんなどがあるでしょう。
それと、Meetyは「カジュアル面談をもっとカジュアルに」というコンセプトなので、カジュアル面談関連KWの検索面をハックできるコンテンツがあると、Googleにも「Meety = カジュアル面談プラットフォームの企業」としてブランドも強くなり、指名検索数も上がります。
Googleの品質評価ガイドラインの検索ニーズを満たす評価カテゴリの一つとして、指名検索は検索ユーザーの需要と完全に一致するクエリであることが記載されています。
「カジュアル面談 進め方」など、カジュアル面談の疑問や悩みをGoogle検索する採用担当者向けの記事であれば、利用企業者数の獲得にも繋がるでしょう。
3.Tally|入力フォームを企業サイトに貼り付けてもらい被リンクを獲得
TallyはWebフォームを簡単に作成できるサービスを提供しています。日本ではあまり使われておらず、アメリカやブラジルでのシェアが大きいです。NotionのようなUIUXで、ぬるっとフォームを作成できてしまいます。
フォームが完成したら埋め込み用のコードが取得できるので、Webサイトとしてフォームを公開するためのHTMLコードも生成可能です。
直近半年で参照ページ数がものすごく伸びています。要因としては、次のような流れで被リンクを獲得しているためだと思います。
個人や企業がTallyを使ってフォームを作成し埋め込みコードをコピーする
Webサイトやブログなどにコピーしたコードを貼る
公開されたページのフォーム画面右下にTallyへのロゴリンクが載る
ロゴリンクをクリックするとTallyサービスサイトへ遷移されサービスが認知される
国内企業でも採用の応募フォームなどに使われています。
プロダクトレッドグロースは、「プロダクトがプロダクトを売る事業モデル」を指しますが、Tallyまさにそれを体現しているでしょう。人が営業しなくともプロダクトが勝手に売り込んでくれています。
TallyのSEO改善案
日本でのユーザー獲得強化を目的とするのであれば、Notionとの相性は良さそうなプロダクトですが、NotionのForm作成ツールとしてはすでにNotionFormsが存在しています。なので、Notion関連KWではなくフォーム作成関連KWで狙っていきます。
コンセプトは「無料で3分で作れるフォーム!」として、TallyのDRは83もあるので「フォーム作成 ツール (260)」「フォーム作成 無料(170)」を狙ったコンテンツがあれば上位を狙える可能性もあるでしょう。
まとめ
プロダクトレッドグロースのSEO戦略事例としてYAMAP、Meety、Tallyの被リンク獲得方法を紹介しました。3社とも被リンク獲得を目的としたプロダクトレッドグロースではないと思いますが、結果としてプロダクトが勝手にSEO対策を手伝ってくれている例として挙げさせていただきました。
世の中には、まだたくさんのプロダクトレッドグロースで被リンク獲得ができているプロダクトもあるはずなので、見つけ次第追記していきます。
その他、ご意見があれば都丸までDMいただけますと幸いです。
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