日中関係と福島第一原発
最近、日中関係が悪化しており、中国でビジネスする人にとっては心配の種になっています。日本のメディアでは、G7広島サミットやNATO東京事務所設置に関するニュースなど、中国をけん制する記事を多く取り上げていますが、中国でも日本をけん制するニュースが増えてきました。
政府系のネットニュース(人民網)では、6月7日付で福島第一原子力発電所における汚染水に関する記事を大々的に掲載しました。概要は以下の内容です。
・国際原子力機関の中国代表が、福島第一原子力発電所における汚染水の放出計画を厳しく批判した。
・汚染水の海洋放出は、世界の海洋環境と公衆衛生に関わる重大な問題であり、日本は科学的に信頼できる説明をしておらず、近隣諸国と十分な協議も行っていない。
・処理後の汚染水には、多くの放射性物質が含まれており、十分に検証されていない。日本は、汚染水の海洋放出の危険性を隠蔽し、放出計画を強行しようとしている。
・汚染水処理について、経済産業省は5つの選択肢を示していたものの、IAEAの調査では、他の選択肢は示されていない。このような状況下で、IAEAがどのような結論を出そうとも、福島原発の汚染水を処理するための唯一の、最も安全で信頼できる選択肢が海洋放出であるとは言えない。
福島第一原子力発電所の問題は、現時点における日本の泣き所の一つですが、このタイミングでの批判については、政治的な要素が多分に含まれている気がします。東日本大震災から10年以上が経過していますが、各方面で影響が残っており、改めて震災の大きさと思い知らされます。