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squirrelに救われる

タカシは、いわゆる「疲れたサラリーマン」だった。
その日も、朝から上司に怒られ、午後の会議ではプレゼン資料のミスを指摘され、同僚たちにため息をつかれる始末。
定時を迎えるころには、心がすり減っているのを感じていた。

「もう全部投げ出したい……」
そんな思いを抱えたまま、ふらふらと会社を出たタカシは、足の向くままに近所の公園へ向かった。


薄暗くなった公園のベンチに腰掛け、空を見上げてぼんやりしていると、ふと何かがタカシの足元で動いた。

「ん?」

小さなリスがいた。
ふわふわの尻尾を揺らしながら、どんぐりのような木の実をくわえている。
タカシと目が合うと、リスはちょこちょことタカシに近づき、ぽとんと木の実を彼の靴の前に置いた。

「お、おい……何してんだ?」

リスはじっとタカシを見つめている。
まるで、「ほら、これをあげるから元気出しなよ」とでも言いたげだった。


その後も、リスは木から降りたり登ったりしながら、次々と木の実を集めてタカシの前に置いていく。
驚きつつもタカシはその姿をぼんやり眺めていた。

「……これ、リス的には貯金みたいなものなんだろうな。」

そう考えた瞬間、ふと気付いた。

「俺は最近、未来のことなんて全然考えてなかったな……。」

タカシは仕事で失敗するたびに、「もうダメだ」「どうせ俺なんて」と今の自分を責めるばかりだった。
けれどリスは、小さな木の実をコツコツと集めて未来のために備えている。
その姿に、自分の焦りや絶望が、未来を見失っているからだと気付かされた。


その夜、タカシは久々にぐっすり眠ることができた。
翌朝、机に座ると、まず一日の小さな目標を紙に書き出してみた。
「焦らず、一歩ずつでいい。」
リスに教えられたその言葉を胸に、タカシは木の実を一つ一つ積み上げる気持ちで、日々を少しずつ変えていくことを決意した。


公園に行くたびにタカシは、あのリスを探すようになった。
あの日リスがくれた木の実は、今もタカシの机の上に飾られている。

「ありがとう、リス。」

タカシは今日も、少しずつ自分の未来を集めるように歩き続けている。

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