リニア開業断念。静岡県知事の言い分から考えること。

静岡県と折り合いがつかず、JR東海が2027年の開業を断念したことがニュースになっている。SNSではホリエモンやらヒロユキやらの意見もあってか、静岡の川勝知事やめろ、リコールしろの大合唱だ。
と思ったら失言のほうでやめた。書いてる途中に。びっくり。

では、静岡県側の主張には全く根拠がないのだろうか。
自分自身がよくわかっていなかったので調べてまとめてみた。

リニア開業は賛成

まず私の意見としては開業に賛成。ホリエモンの言うようにリニアは日本国にとって大きな利益をもたらしてくれる技術である。国内で成功すればアメリカやアジア各国に輸出できる。莫大な利益になるだろう。

静岡県の利益にならないとか言ってる場合ではない。

が、静岡に住んでいる人にとってどんな不利益があるのだろう。大多数の利益になるから少数者の不利益に目をつぶっていいわけではない。いや、目をつぶったとしても理解はすべきではないだろうか。

最大の争点は水資源

南アルプストンネルは山梨、静岡、長野の3県にまたがる全長約25キロの長大なトンネルで、三つの工区に分けて建設工事が行われます。〜中略〜山梨県内の富士川水系、静岡県内の大井川水系、長野県内の天竜川水系という三つの異なる大きな水系を貫きます。建設中にトンネル内から湧き出た大井川水系の水が、トンネルの両端から外に出てしまうと大井川流域に戻ってきません。

(あなたの静岡新聞)

つまり静岡県の大井川水系の水が両端の山梨県、長野県に流れ出た場合、水資源が減ってしまう、と言うことが静岡側の主張である。※田代ダム案に関しては後述する。

全長168キロの大井川の流域には14カ所のダムと20カ所の水力発電所があります。発電に使われた表流水は農業用水、工業用水、上水道に再利用されます。また、島田、焼津、藤枝、吉田の3市1町に地下水を採取する井戸が約千本あり、流域の人々の生活、生業を支えています。

あなたの静岡新聞

水資源は我々が想像する以上に住民の生活を支えているようだ。実際、大井川流域の島田市の市長からは工事断念について「妥当な判断で驚きはない」としている。つまり川勝知事がアタオカだから、と言うことでではなくあくまで地元でも知事と同じように考える人が多いと言うことだ。

また、大井川流域は過去に水量発電所などを建てたことで水枯れになったこともあり、住民感情として「水」への危機意識などを持っていることがわかる。掘削の手段や水を吸いやすい断層への対策など、JR東海が最大限努力をしてきたことも分かるが、年寄りが多い地域で自分が乗るかどうかも分からないリニアと毎日使っている水どちらが大事かは聞かなくてもわかるだろう。
Abemaでヒロユキが「水の流れが変わるかどうかなんてやってみなくちゃ分からない。そのレベルで難癖つけてる」って言ってたけど、まー行政がやる大規模なもので「やってみなくちゃ分からない」なんて言われたらムカつくだろ、そりゃ。

田代ダムと生態系

以上が大きな争点だったのだが、JR東海の田代ダム案だ。

東京電力グループの東京電力リニューアブルパワー(RP)に田代ダムの取水抑制をしてもらい、最大500万立方メートルの水を静岡県内に戻す、「田代ダム案」

東京経済オンライン

2021年11月、川勝知事はこれを容認している。実は「田代ダム」であれば工事を容認したのだ。しかし、その直後に今度は生態系の影響を根拠に、さらなるハードルをJR東海に押しつけた…と言うのだ。
生態系への影響の保全措置、、、まで求めたのだ。

これは中々に難しい。水であれば仮に流れ出たものを補填すれば解決するが、生態系の保全は何を軸とするのかが難しい。絶滅の危惧があるイヌワシが仮にリニア開通後に絶滅したとしても、そこに因果関係があるか証明するのは難しいだろう。

川勝知事辞任でリニア開業へは加速するだろう。これだけ県内県外から批判があるリニア問題に対して前知事と同じ判断をするとは思えない。
それはそれでよいことだと思う。

ただ一方で。知事やその周囲が危惧することを無視してもよいのだろうか。
水がなくなるかもしれないという住民の不安を無視してもよいのだろうか。
また、生態系を守ることはリニア以上に国益を守ることにつながる。外国人が日本に旅行に来る理由。それは自然だ。特にアルプス付近の自然は外国人観光客から高く評価されている。

例えばリニア開業を反対する住民運動が起きたら?
またみんなでSNS炎上させて大騒ぎするんだろうか。

繰り返すがリニア開業は賛成だ。
でも、今のSNSやウェブメディアの在り方には疑問を覚えてしまう。

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