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酷評のジブリ新作「君たちはどう生きるのか」を表現者目線で見てみる

記念すべき第一筆目のnoteが、
子どもの頃から触れていたジブリの世界についてになるなんて
なんて光栄なんだろう。

ということで本日2023年7月20日

「君たちはどう生きるのか」

を鑑賞してきました。

※この記事にはネタバレを含む為、
映画を観た方や
観る予定が無いし誰かの口コミでも見よう
という方のみお進みください↓






いやいや最高やないかーーーい!

え?あんだけ色々言われてて
映画観たあと「よくわからない」とか
「宮崎監督のメッセージ詰め込みすぎ」とか
すごく言われてて
観る前から自分も「大丈夫かな・・・」という
心で観てきましたけども。

全然スッキリ見れる。

酷評もわかる。確かにセリフだけ見て繋げると、
意味も分からず終わると思う。
確かに一言のインパクトが強すぎて
「伝えたいこと詰め込みすぎ」って言われても仕方ないかも。
ストーリーもちぐはぐだったし
展開のアップダウンが激しかった。

でもこの作品はどうやら
「監督が伝えたいことを詰め込んでいる」
とどこかで読んだので、それもそうなのです。

全体を通して「なんだかよくわからない・・・」って方に
表現者(写真家)目線の言葉で
自分なりの考察を書いてみますね。
※ちなみに小説は読んでいません

まずこの作品
「君たちはどう生きるのか」

というタイトルなのですが
まさにストレートに監督からの私たちへのメッセージです。


じゃあ本編のどこにメッセージが隠されていたの?
というところなんですが、

見ててずっと既視感を覚えませんでしたか?
自分は途中から気付いて
ハッなるほど
と思ったのですが。

今までのジブリ作品と似た描写がたくさんありました。

もうそこかしこに。


木のトンネルをくぐる→となりのトトロ
広大な海、海が荒れている→崖の上のポニョ
静かな湖畔→思い出のマーニー
アオサギの羽根の音→天空の城ラピュタ(フラップター)
壁の飛行船の絵→天空の城ラピュタ
最初の戦争→火垂るの墓
灰と燃え朽ちた木→ハウルの動く城
雲の動くさま→ハウルの動く城
壁の外から攻める→千と千尋の神隠し
石が騒ぐトンネル→耳をすませばの小説回想
過去の誰かに会う→おもひでぽろぽろ
神様に会う光がたくさん漏れた廊下→千と千尋の神隠し
木が崩れるところ→天空の城ラピュタの線路が壊れるところ

挙げ続けるとキリがありませんが、色んなところに
今までの作品のシーンが重ねられているなって
すごく思いました。
最後に出てきた積木も、
まるで今までのことを表しているようです。

最後に眞人が拾った一つは
この作品のことなのでしょうか。

それとも
何かもっと大事なもの?

よく登場人物の女性に母親の姿を重ねる監督。
今回もそれが顕著に表れていたと思います。

そして声優陣も、今までのジブリ過去作に
登場していた人たちもいて
ますます集大成のような感じです。

死の門とは、この世界のことでしょうか。
「我ヲ學ブ者ハ死ス」と描かれていましたね。
もしかしてアニメーターのこと?
ペリカンはそこに働く人?
じゃあアオサギは、ジブリの誰なんだろう。
そう考えたら、すごく面白いです。


そして大叔父様から 眞人への言葉
「新しい時代を作ってくれ」と。

大叔父様→眞人
これをスタジオジブリ目線だと
宮崎駿→のちの監督へ

我々目線だと
色んな風刺もあるかもしれませんが
先人→若者へ

の言葉となっていたのかなと思います。

表現者として、やっぱり一つの作品にはメッセージがあって
それを伝えたいなと少なからず思うわけで。
今回はその一つの作品に
今までのメッセージを詰め込んでますね。

そりゃ、パンフレット出せないよね。
だって

どこ切り抜いても今までのジブリだもん


そして主題歌「地球儀」は
今までのことを思って歌ってるような歌詞ですよね。
「僕が生まれた日の空は 高く遠く晴れ渡っていた」と。

監督自身の過去を歌っているような、
少しだけですが、世界がどう見えているかがわかるような歌詞でした。

大人になるほど感情が増えてしまうけど、
子供の純粋さっていつまでも忘れたくないものです。

「この道が続くのは 続けと願ったから」
「ひとつ寂しさを抱え 僕は道を曲がる」
自分はこの歌詞を聞いて大泣きしました。

で、最後のEDの背景色って・・・
昔からよく見てる最初のトトロの絵の背景色と同じやん。


なんて最高なんだろう。全部つながった。

ジブリを子供の頃から
VHSテープが擦り切れるまで見た大人たちは
すごく刺さったんじゃないでしょうか?

千と千尋の神隠しみたいに
起承転結がハッキリしてる方が好かれる世の中ですから
今回は難しかったのかもしれないけど。

でも、
自分にはすっごく伝わりました。

引退会見では「この世界は生きていくに値する」ことを
子供に伝えたい、それが根本にあるとお話されています。

僕はこう生きてきた
君たちはどう生きるのか


こうやってズドンと聞かれているような
そんな心にもなりました。

この物語は簡単には語れない。
墓を悪意のある石だと言ったことや
「悪意」を意識させられるような台詞たち。

まじでもう一回観たい。









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