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間違ったことをいっぱいやっていた

僕が若い頃は今のようにYouTubeやインターネットなどのテクノロジーなんてものはなかった。料理の基礎やレシピの情報は直接本屋さんに行って手に取るかもしくはそのお店に通い詰め、そこの大将と仲良くなって技を聞き出すしか術がない。当時、そんなお店に通う資金もないし若造がそこの大将と会話するなんてことも憚らない時代にそんな勇気もない。だから小遣いをためて決して安くない分厚い、見るからにありがたい!って感じの本を買ってはボロボロになるまで読みこんでいた。


作ったことのないものを作るのが楽しいから、とりあえず面白そうなものから作ってみるが、今思うと素直過ぎたのか、頭が固いというかそこに綴られるレシピを全部鵜呑みにして、一ミリも疑うなんてことはなかった。

これがだんだんと料理の経験を重ねて自分の幅が広がってくると良い意味で疑いってやつ、自分らしさ、自分流的なものも生まれてくる。

昔読んでた本にはどの書籍にも必ずといっていいほど書かれてたし修行時代も親方から教わってた、ほうれん草や小松菜、菜の花、オクラとかの青いものを茹でるときに、沸いたお湯にひと塩入れ青をきれいに出す、いわゆる色だし。氷水に落として色止め、の常識。

これ学者の研究によると意味がなかった!大正時代前の塩は藁で編んだ「カマス」という袋に入れられていて、そういう塩には塩化マグネシウムが成分としていっぱい入っていた。

この塩化マグネシウムは「にがり」にがりの十五パーセントは少量でも「葉緑素」を定着させる作用がある。だから大正時代以前、つまり江戸時代や明治時代の料理人が経験則として青いものを湯がく時に塩を入れて青さの色を良くしたというのは分かる。

彼らは塩のなかの「にがり」が塩化マグネシウムで、それが「葉緑素」を引き出してるといった「科学」などは知らずに先輩の誰かがたまたま発見してうまくいった手法が料理法として伝えられてきたんじゃないか。


油揚げの油抜きも、調理の一環で「油揚げに湯をかけて油を抜く」というひと手間をかけます。昔の油は黒色系の「鯨油」で揚げた油揚げはこげ茶色になって見た目も悪いし、油が多い料理はおなかが膨れるためおなかに負担をかけないためにと油抜きをした。

ただ今の油揚げは精製された油で作られているので見た目もきれいで生でも食べられるから油抜きなんて必要ない。油揚げとひじきでも肉と炊くににしたって、油があったほうがうまいよな。


大根にしても昔から米のとぎ汁で下茹でしてから出し汁で炊くもんだと教わってる。今の大根は甘いし生で食べられるほど進化してるから、米のとぎ汁でアク抜きもいらない。だから今ではそのまま出し汁で炊いちゃう。面取りと呼ばれる形を崩さないためのひと手間も、大根の形が崩れることなんてこどもないし。

どうも料理人て「ひと手間」かけたくなるし「ひと手間」かけることがよいことだって思い込んでる節がある。「これってホント?」疑いの心をもち料理の常識なるものに縛られない柔らかい頭で常に新しい料理方法を模索していきたい

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