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読書会のはじめ方、つづけ方

はじめに

読書会を主催するようになって、2024年で丸7年となり、開催回数は150回近くになっています。

ひとことに読書会といっても様々な種類があるので、すべてが参考になるとは思いませんが、お役に立てる部分はあるのではないかと思います。

また、質問等がありましたら気軽に、sapporozerodokushokai@gmail.comまでお待ちしております。


読書会とは?

そもそも読書会とは何かをはっきりさせておきたいと思います。
私の定義としては「本をきっかけに集まるコミュニティ」です。

海外ではブッククラブと呼ばれています。
歴史は古く、日本では吉田松陰の松下村塾が始まりとも言われています。

一般的には、課題本と呼ばれるものを読んできて、それについて小グループで討論する、というものです。

ただ、学校の勉強といっても色々な種類があるように、読書会にもタイプがあります。

私が現在、札幌ゼロ読書会でメインでやっている「本の話をしよう」は参加者皆さんに紹介したい本を持ってきてもらっています。
紹介のあとに質問や感想のシェアを行い、残りの時間は雑談をしています。

本の紹介型で有名なのはビブリオバトルというものがあります。
タイマーを使いプレゼンとディスカッションの時間を分けて、最後は投票で読みたくなった本(チャンプ本)を決めます。

読みたい本をその場で読んで、学んだことをシェアする会もあります。

架空の本について話し合うなんてものも聞いたことがあります。
また、同じフォーマットの読書会でも、主催者、参加者や開催場所が異なると雰囲気が変わるものです。

人とアイデアの数だけ読書会があるといっても過言ではないでしょう。

参加してみる

まず初めに「読書会に参加してみる」ことをおすすめします。
ラーメンを食べたことがない人が、いきなりラーメン屋を開こうとは思わないと思います。

そもそも読書会に参加をしたことがない人が、読書会を開こうとは思わないかもしれません。

私の読書会デビューのきっかけは、藤井孝一さんの『読書は「アウトプット」が99%』(三笠書房 知的生きかた文庫)でした。

当時はSNS黎明期でしたので、本の感想を投稿するのも新しい行為でした。
何度目かの再読で「読書会」というワードにピンとくるものがありました。

そこで「札幌 読書会」と検索をして、これから予定されているものに申し込むことにしました。

その会はパン屋さんのイートインスペースで行われ、発表は4名ほど、発表後はパンやワインをたしなみながらお話をするという会でした。

なかなか身近に本の話をする人がいなかったので、とても居心地の良い時間でした。

何度か参加をしていましたが、主催の方が札幌を離れるということで、その会自体に参加をすることはなくなってしまいました。

他の読書会はもちろん、ビブリオバトルや課題本読書会にも参加をしました。

ただ、平日休みなので定期的に参加をするのがむずかしかったです。
読書会に参加をしたいという気持ちはどんどん高まっていきました。

そして、一人暮らしを始めるタイミングで自分でもやってみようと思い、行動を起こすことにしました。

初開催に向けて

会の名前を決める

読書会をやることを決めてまず最初にしたことは会の名前を決めることでした。
形から入るのが好きなようです。

ネット検索で見つかるように、「札幌」と「読書会」のワードを入れようと思いました。
その二つのワードだけではすでに活動されている団体があったので、「ゼロ」を加えて札幌ゼロ読書会としました。

ゼロは座標軸の原点を表します。
自分が好きなことや大切にしていることを見直すきっかけになればとこの名前にしました。
元々は友達と開催していた勉強会「ゼロ会」に由来します。

この作戦は良かったなと思っています。
のちにブログを立ち上げることになりますが、その検索で見つけて参加してくれた方がいらっしゃいます。
また、いきなり井田祥吾の読書会として募集をしても、知らない人には誰も寄り付かないと思います。
最初の段階ではしっかりとした運営体制っぽくすることで、見せかけでも信頼性を持たせることができたのではないかと思います。

どんな会にしたいか

読書会といっても色々な種類があります。
なので、まずは参加してみるのをおすすめしています。

そうするとだんだんと自分はこういう会をやりたいというのが見えてきます。
私の場合は本の紹介交流型の読書会でした。
基本的には参加者皆さんに紹介してもらって、その後は本を真ん中に置いてお話が楽しめたらと思いました。

過去には課題本読書会やビブリオバトルもやりました。
やってみたいのを色々やってみて方向性を決めるというのでも遅くありせんので、ここはやりながら考えていくのでも問題ありません。

開催場所を決める

開催場所は会の雰囲気を大きく左右します。
私は現在、カフェと古本屋さんのスペースをお借りして行なっています。
自分が緊張しない居心地の良い環境でできるのがベストです。

同じ場所で長く続けていくためには良好な関係性を保つことも忘れてはいけません。
開催場所にとってもプラスになるよう行動するのを忘れないようにしたいものです。

初開催の時は、私を入れて8名での開催となりました。
カフェは営業時間中でしたが、ほぼ貸切状態でした。
今は私を含めての6名で落ち着いています。

10名を超えてくるとファシリテーターひとりで会を運営するのは厳しいと思います。
開催人数をもとに場所を探すのもありだと思います。

募集をする

初開催で大切なことは、まず第一回目をちゃんとやることです。
一回目ができればそこからは改善を繰り返していくことです。
なので失敗しないように策を練りました。

私にとっての一回目の失敗は参加者が0になるものだと考えました。
そうならば、やることはひとつです。
知り合いに声をかけました。
これで半分くらい埋まりました。
サクラとまではいきませんが、顔見知りの人がいることで緊張が少し和らぎました。

Facebookページを立ち上げていたので、そちらでも募集をしました。
今だとイベント情報サイトも活発なのでそちらを利用するのも良いかと思います。

初開催前には無事満員となりました。

参加費をどうするか

参加費の設定は難しいところです。
私自身は読書会を運営することで利益を生み出そうとは考えていません。
しかし運営していく上で自分が消耗してしまうと続けようにも続けれれないときがきてしまいそうな気がしています。

少なくとも主催者が身銭を切って運営を続けていくのはおすすめしません。
場所代がかかるなら参加人数で割る。
飲食代は負担してもらう。

ちなみに私は飲食代を含めてひっくるめて参加費として頂戴しています。
飲み物によって値段が若干異なりますが、そこがメインではないので特に気にしていません。
まとめることでお店側の会計の負担を減らそうという気持ちもあります。

会の流れ

始まるまで

当然ですが、開始時刻より早く着いておくことをおすすめします。
ぎりぎりに到着してしまうと、案内でてんやわんやになってしまう可能性があります。
15分前までには着いておいて余裕を持って準備をしておきましょう。

まれにとても早く来られる方もいらっしゃいますので、受付時間を示しておくのもおすすめします。

私は開始前に参加費の徴収を行っています。
途中から来られた方にはフリートークなど、落ち着いたときに声をかけています。
もらい忘れがないようにチェックリストを活用しています。

参加費をいただいたタイミングで名札を渡しています。
名刺サイズの紙に呼んでほしいお名前を記入してもらっています。
2回目以上の方には以前使用したものをお渡ししています。

早く揃いましたら前倒しで始めることもありますが、基本的には定刻まで待ってのんびりと開始をしています。

会が始まったら

カフェスペースをお借りしているときは、皆さんの注文をとっていただいたタイミングでスタートをします。

まずは、主宰である私の簡単な自己紹介です。
初めましての方がいなければここは省略しています。

会のコンセプトは毎回お話しするようにしています。
札幌ゼロ読書会の名前の由来から、開催しようと思ったきっかけについてお話をしています。

次に皆さんに自己紹介をしてもらうための準備をします。
準備といってもアンケートをさくさくと埋めてもらうだけです。

1.読んでほしい名前
2.今日のゴール
3.Good & New

1の読んでほしい名前はそのままです。
本名でもいいですし、ニックネームでも良いことをお伝えしています。
ちなみにわたしは下の名前で「しょうご」とお伝えしています。

2の今日のゴールは参加しようと思ったきっかけや、今回の読書会で達成したいことを伺っています。
もちろんゴールをそろえる必要はありません。
ただ、他の参加者の方のゴールを聞いておくことで色々な目的があることが感じられます。

3のGood & Newではここ最近あったよかったこと、もしくは新しいことを聞いています。どちらか片方でも両方入っていても問題ありません。
アイスブレイクの手法として使われているものです。
初めての方であればどんな方か少しでも知るのと同時に緊張をほぐす効果があると感じています。

自己紹介の順番はファシリテーターファーストです。
主宰の私が最初に行います。
最初の人の長さが結構基準になると思うので、短すぎず長すぎずを意識しています。

次の方は時計回りか反時計回りかですが、両隣りが初めての方でなければ、その方にお願いするようにしています。
この辺りはこだわりすぎなくてもいいかなと思っています。

発表の前に

いきなり発表に移ってもいいのですが、簡単なワークを取り入れています。

プレゼンテーションが慣れている方は自然とできてしまうものですが、慣れるまでは難しいところがあります。ネタバレを気にしすぎると思うように魅力が伝わらないなんてこともありますしね。

取り入れているワークの元ネタは、先にも紹介した藤井孝一さんの『読書は「アウトプット」が99%』(三笠書房 知的生きかた文庫)です。

そこには書評を書くためのポイントが書かれています。

その本に「何が書いてあったか」「そこから何を学んだか」「それをどう活かすか」。
この3つを柱にしてまとめるのがポイントです。

藤井孝一『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)(p118)

頭の中をほぐすような感覚で手を動かして考える時間を5分ほど取っています。
もちろんワークなしでも話せる方に記入を強要することはしませんし、発表もこの3項目にのっとっらなくても良いことを伝えます。

5分ほど経ち皆さんの手が止まったタイミングで発表に移ります。

本の紹介をする

発表の流れについてご案内をします。
基本的にはファシリテーターファーストをおすすめします。
主宰の人がお手本というわけではありませんが、そのような感じでやればいいのだと感じてもらう目的もあります。

私が行っている会では5分間の砂時計を使用しています。
ビブリオバトルではありませんので、早く終了しても多少過ぎても大丈夫なことを伝えています。

発表が終わったら質問や感想を数個もらいます。
全員からもらうと収集がつかなくなる可能性があるので、発表の前に「1〜2個募集します」と伝えています。
ただ、話が盛り上がっているのを遮るのも良くないと思っていますので、それを見込んで会の時間を設定するのもありだと思います。

質問と感想のシェアが終わったら次の方を決めます。
話の流れから次に紹介したい方がいらっしゃったらその方にお願いをしています。
いなければ発表者に本の表紙を見せて、選んでもらいます。

この流れを全員の発表が終わるまで行います。

発表が終わったら

発表が終わったら中央に本を寄せて、開催報告用の写真を撮らせてもらっています。
その後は本を手に取りながら、お話をします。
発表を通して他の方の様子もわかってきているので、基本的には喋り過ぎないように気をつけています。
参加者の皆様が自由に話して盛り上がっている時こそ、その会が良い会になったと思う瞬間でもあります。

会の感想とアンケート

終了15分前になりましたら、アンケートの記入をお願いしています。
皆さんが書き終わったら、感想を一言ずついただいて閉会します。
次回開催についての連絡やFacebookグループ、LINEへの登録のご案内もしています。

会が終わってから

これは私の趣味でもありますが、アンケートで住所を教えてくれた方には葉書を書いています。
また、初参加予定だったけれども定員で参加できなかった方にはフォローの連絡を入れるようにしています。
これはどうしても忘れてしまうので習慣化させたいです。

まとめ

読書会といっても様々なタイプがあります。
主催者の数だけ違う会となります。
やりながら少しずつブラッシュアップしていけばよいでしょう。

好きなことで集まるコミュニティをつくることはとても楽しいものです。
本に限らず、あらゆることに応用ができると思います。
参考になると嬉しいです。

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