利用者動向

利用者調査から見た日本におけるVRChatのコミュニティと経済圏 第二章 VRChat利用者動向について

お世話になっております!VLEAPの新保です。

今回は前回予告していたVRChatの方々へのインタビュー及びアンケートで判明した利用者動向についてご報告させていただきます!

以下のリンクに本研究の調査目的と、調査方法について記載したnoteがありますので、ご一読いただければ幸いです!


VRChatの利用実態 利用者動向調査結果

現在、まだ一般的とは言えないVRChatを利用している方々の性質についての調査になります。イノベーター理論でいう、イノベーターに当たる人たちが実際はどのような性質をもった方々なのかを、9項目に分けて記述したものになります。

なお、使用機材など経済圏に関わるところは、後日のnoteで公開させていただければと思っております!

それではさっそく見ていきたいと思います!

VRC利用者の職業 回答数=545

自由回答形式の設問に回答された職業を、総務省が出している日本標準職業分類を元に回答された職業を 全て分類してみました。

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基本的には大分類で分けていますが、当初ITを生業とするも のが多いと予想していたため、専門的・技術的職業従事者 から情報処理・通信技術者を分けて記述しています。

また、 専門学校や大学生などは「学生」、アルバイト・パートは「フ リーター」と分類しました。

実際に結果を見てみると最も多いのが学生28.8% で、次いで事務従事者22.0%、情報処理・通信技術者 16.8%という順番になりました。

予想よりもITに携わるも のが少なかっただけでなく、自己申告ではありますがITの中でもVRに携わっている者は4名しか居ませんでした。

 当初予想では、ITに何かしら関連する職業をしている人が大半であると予想していたため、この結果は非常に驚きでした。

VRCをプレイし始めたきっかけ 回答数=569

VRCをプレイするきっかけについてみたものになります。選択肢+その他形式で選択していただいたものを整理しました。

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こうして見ると、アンケートからは Youtubeに生身でなく、アバターを用いて動画作成を行 うVtuberがVRCをプレイしたり紹介したりしたのが きっかけであるという人が40.5%にも昇ることがわかりました。

一方で友人知人に誘われた、プレイしているのを見た人が合計で30%という結果になりました。

VRはその性質上、外から何を行っているのかが分かりづらく敷居の高いものとし て扱われがちですが、このVtuberと友人・知人の存在はVRやVRCを始めとするVirtual worldの普及に大きく貢献することは間違いないかと思われます。

VRCを始めた時期 回答数=558

次に始めた時期についてです。こちらも日程をカレンダー方式で選択していただきました。

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これを見ると、2018年5月をピー クに増減を繰り返しながら推移していることがわかります。

また、2017年10月まで1~3人しか居なかった新規ユーザーが11月を境に5人、12月には24人にまで増加している。

きっかけにあったVtuberの中でも、ミライアカリさんの動画投稿が2017年11月23日にあったことが影響している可能性が高いといえるでしょう。

Vtuber・・・生身でなく、3Dモデルなどをモーションキャプチャーで動かして動画をYoutubeに投稿している人の総称。

一回当たりのログイン時間 回答数=573

ここからはVRChatそのものの利用動向です!

まず一回VRCにログインする度のプレイ時間に関してです。

選択肢+その他形式で選択していただいたものを整理しました。

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これをみると3時間以上ログインする人が55.8%と半数を超えていることがわかります。

また中には6時間連続でログインし 続ける人も9.7%存在し、コミュニ ケーションを取るだけでなく、後述のグラフにあるのですが、VRC内でHMDを付けたまま眠るという行為を34.3%が行っていることもプレイ時間を長くしている要因の一つであるでしょう。

HMD・・・ヘッドマウントディスプレイの略。頭部に装着するディスプレイ装置。ここでは主にVRに使用するVRHMDのことを指します。

VRCのプレイ頻度 回答数=574

次にプレイ頻度です。現在、世界的に見てハイエンドVRHMD所持者の使用時間は月に6時間程度と言われています。

それにも関わらず、VRChatユーザーの使用頻度は本当に高いことがわかりました。それが次のグラフです。

同じく選択肢+その他形式で選択していただいたものを整理しました。

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このように、38.5%が毎日、週に6回が 9.8%、週に5回が9.0%と日常のようにHMDを使っていることが分かりました。

インタビューをした中でも、VRCに日常的にログインする人は多く、VR空間が生活圏の一部になっている人が存在していることがわかります。

ログイン時間帯 回答数=573

次のログイン時間帯です。これは予想通り夜にかなり集中していることが判明しています。

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このように、夜20:00から朝04:00に集中していることがわかります。

これはもちろん日中は学校や仕事があるからという理由もありますが、VRCはオンラインゲームやMMORPGと違い、基本的に誰かとコミュニケーションをとるコンテンツである為に、日本語を話す人がログインする時間帯にログインが集中することが考えられます。

MMORPG・・・Massivery Multiplayer Online Role-Playing Game(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)の略。

VRC内での活動 回答数=566

このように高頻度かつ長時間もの間、ユーザーはVRC内でどのような活動を行っているのでしょうか?

次のグラフは選択肢+その他で当てはまるすべての項目に回答してもらったものです。

VRCでの活動グラフ

VRCにはユーザー全員に共通する目的はなく、何をするかは全てユーザーに委ねられています。そのため、上記の通り活動自体は非常に多岐にわたっています。

こうして見ると一番多いのがワールド巡り(75%)という結果になりました。次いでアバター(66.2%)や日常(64.9%)、UnityやBlender(62%)のコミュニケーションを行っていることがわかりました。

ユーザーがワールドやアバターなど、従来は運営が供給していたコンテンツをVRCにアップロード・共有しているため、こういったコミュニケーションが多くなっているようです。

また、飲食(38.7%)や睡眠(34.1%)と言った一見VRで行われることのないような活動も少なくない数の方々が行っていることが判明しました。

また、ほかにもユーザーが供給するコンテンツであるゲームワールド(55.4%)も多く利用されていることが判明しています。

VRC以外のVRコンテンツの利用 回答数=566

では、VRCを使っている人は他のVRコンテンツをプレイしているのでしょうか?

ここ一カ月にプレイしたVRコンテンツを聞いてみました。こちらも選択肢+その他で当てはまるすべての項目に回答してもらったものです。

VRC以外のコンテンツ

このように、55.65%はVRCのみをプレイしていることが判明しました。

2位のBeatSaberは最も売れたVRコンテンツといわれている一方で、ここ一カ月では34%のユーザーのみが使用している結果となり、もちろん他のコンテンツと比較すると圧倒的に多いとはいえ、VRCのみをプレイする層の多さがわかります。

インタビューにおいても、他VRコンテンツをプレイすることはあっても、結局フレンドがいないために「VRCに帰ってくる」という現象が多く聞かれ、VRCのネットワーク外部性の証明にもなっている可能性が高いです。

また上記グラフにある通り、ゲームワールドなどVRCにユーザーがアップしたゲームコンテンツを楽しんでいる層(55.4%)もまた多く存在していることが判明しています。

VRCの魅力 回答数=572

最後に、VRCそのものの魅力に関して選択肢+その他で3つまで選択してもらいました。

VRCの魅力

上記のように、最も重視されているのはアバターによる交流(63.8%)となり、それに次いでVRによる交流(57.3%)となりました。

(アバターによる交流はデスクトップモードでも行えるため、VRによる交流と切り離して回答を募集しました。)

また、インタビューでも最も魅力の一つとして挙げられていたのが自由度の高さでした。VRCは若干法律的にグレーな所まで自由度が高いため、自由にワールドやアバターを作成したり、イベントや交流会を開いたり、様々な活動を制限なく行える点を魅力的に感じている人が多いのが印象的でした。

また魅力的なユーザーがVRCに多いのは本当で、「なんでこんなすごい人がここに?」ということがVRCだと日常的に起こっていることや、仲いい人がVRCに居るからVRCをプレイするという人もインタビューで多く見受けられました。このネットワーク外部性はVRCが他のVirtual Worldサービスに対して持つ優位性であるように思います。

それ以外にもその他の欄に本当に多くの魅力を書き込んでいただきました。(本当にありがとうございました!)

まとめ

以上が、利用実態に関する調査になります!上記のように、ゲームとしてもSNSとして特異な性質を持っており、単純な比較はかなり難しいと言えます。インタビューをしていてもゲームやツールとしても使っている人は少なく、もう一つの生活圏や部屋ととらえている人が多くいました。そのため、ゲームやSNSというよりは何かしら新しい呼称が必要であるように感じるのが個人的な意見です。

(ただvirtual worldだと個人的にしっくりこないんですよね・・・小説スノウ・クラッシュで用いられた「メタバース」という呼称を僕としては推しています。)

上記グラフを簡単にまとめます。

VRCには情報処理・通信技術者といった層だけでなく学生や事務従事者といった層の方が多く、Vtuberや知人・友人がプレイしているのを見たか誘われたのがVRCを始めるきっかけとしていることがわかりました。
また、2017年11月からプレイし始める人が増え、2018年5月をピークに現在は増減を繰り返しながらも推移しているようです。
プレイ時間は3時間以上ログインする人が55.87%と多く、睡眠をVR内で取るという人が34.3%いることもプレイ時間を延ばす要因となっているようです。
プレイ時間も家でのプレイが基本であることと、コミュニケーションがメインコンテンツであるために人が集まる時間帯である夜22時から朝4時までに集中しています。
頻度も38.5%が毎日VRCをプレイし、週5回以上プレイする人を合計すると57.3%に上ることが分かりました。
ユーザーは非常に多岐にわたる活動をしており、その多くはやはりコミュニケーションであるが、中には睡眠やロールプレイ、飲食、旅、イベント、恋愛など外からは想像の付きにくい活動も行われていました。
また、VRCを使っている層はそのほとんどが十分なVR機材を持っているにもかかわらず、55.8%はVRCのみをプレイしていることが判明しています。
アバターによる交流やVRによる交流を重視する人は多く、また自由度やユーザーを重視している層も多い。ユーザーに関してはネットワーク外部性が発生している可能性があります。

なお、使用機器などのグラフは後日投稿する経済圏のところにありますので、もう少しだけお待ちいただければ幸いです!

以上が利用者動向のまとめになります。ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました!

次回はVRCにおけるオープンコミュニティになります!


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