本当の「沖縄の魅力」に迫る歴史探検の旅へようこそ【⓪導入編】
1.ユニークな魅力にあふれる沖縄
こんなにもユニークな地域が、一体他にあるでしょうか?
住んでいる県民も、訪れる他の地域の方々も、「日本であって、日本でない」とでも表現できる、その独特さを多かれ少なかれ感じたことがあるでしょう。食生活や方言などの生活文化、信仰や芸能といった伝統文化。例えばこれだけでも思い浮かものがたくさんありますね。そして産業や米軍基地といった政治経済の難しい問題も、非常に特徴的です。
例えを挙げたらキリのない沖縄の特徴ですが、そもそもなぜ、このような独特な地域が生まれたのでしょうか?
いろんな方法で、いろんな考え方ができそうです。特に地元県民に問えば、十人十色の熱い思いが返ってきそうです。しかし、これを理解するのに最も大切で、最も効果的なことは、「歴史」を紐解いていくことではないでしょうか。
2.「歴史」で立体的に捉える
沖縄を他の地域と比べてみることで、いかに特徴的かを知ることができます。さらに、沖縄の歴史を学ぶことでその理由を知ることができます。つまり、空間を超えた比較に加えて、時間を超えた比較によって、沖縄のユニークさを立体的に捉えることができるというわけです。
―沖縄はいつから、どのようにして形作られてきたのか?
―この沖縄の地で、どのような人々が、どのようなことを思いながら生活してきたのか?
こうした歴史の1つ1つに丁寧に思いを寄せていくことで、沖縄の本当の姿に近づいていくことができるのです。
難しい歴史の教科書でもない、表面だけのステレオタイプな沖縄でもない、わかりやすくてディープな、本当の「沖縄の魅力」に触れる、歴史探検の旅へ皆さまをご招待。どうぞ、お付き合いください♪
3.まずは沖縄のキホンをおさらい
さっそく沖縄の歴史探検を始める前に、まずは現在の沖縄の特徴について簡単にご紹介しましょう。
広大な南西海域に160の島々が浮かぶ「島嶼県」
東アジアの中心の海に、実に東西1000㎞・南北400㎞ととても広い範囲に広がる島々で構成され、その特徴から「島嶼県」とも表現されます。1000kmと言えば、なんと東京を起点にすると西は九州まで、東は北海道に達するほどの距離なんです。48の有人島と112の無人島が連なるように点在しており、沖縄県全体の人口は2022年現在、約147万人となっています。世界自然遺産「やんばる」
南西諸島の気候は、1年を通して温かくて冬でも雨の多い亜熱帯性気候。美しい海と豊かな日光と芳醇な雨に育まれた沖縄には、国内でもここにしかない大自然が広がっています。本島北部「やんばる」を中心に、奄美諸島、徳之島、西表島も含めて、その貴重な大自然が2021年に「世界自然遺産」に登録され、今や世界からも注目を集めるようになりました。唯一無二の豊潤な「チャンプルー文化」
東アジアの中心に位置し、日本、中国、アジア諸国との交易で栄えてきた歴史を持つ沖縄。異文化交流の中で豊富な要素が独自に「チャンプルー(混ぜ合わせるという意味)」されて、独特の文化が生み出されていきました。
例えば、「三線(さんしん)」はとても有名ですね。中国伝来の楽器をベースに誕生した三線は、日本の「三味線」の祖先でもあるんですよ。琉球王朝の宮廷楽器として重宝され、「組踊」や「琉球舞踊」などとともに発展し、次第に庶民にも浸透していきました。
他にも、先祖供養の舞として始まった「エイサー」も有名ですし、「紅型」「やちむん」「琉球ガラス」といった伝統工芸品もありますし、「ゴーヤチャンプルー」「沖縄そば」といった食文化もありますね。そして、最近では音楽やファッションでも独自の地位を確立していますし、、、やっぱり挙げたら、キリがありません!
4.沖縄といえば「独特な県民性」
自然や文化もさることながら、沖縄の特徴といって思い浮かべるのが、「独特な県民性」という方も多いのではないでしょうか。「地元愛」「ゆいまーる精神」「てーげー文化」「うちなータイム」などなど。自他ともに、特殊な県民性をいろいろな言葉で表現するものです。高く評価される沖縄のホスピタリティあふれる文化も、こうした県民性とセットで捉えられることが多いですよね。
一方で、沖縄社会が抱える所得格差や子供の貧困といった負の側面に対しても、悲しいことに、県民性と結びつけて短絡的に語られることもしばしばですね。ひと口に「県民性」といっても、そのイメージは実に多面的なものだと感じます。
あるいは、先祖を大切にする独特の信仰文化も県民性を特徴づける1つの側面となっているのではないでしょうか。信心深い県民が多いようにも思えます。
そんな沖縄の、この愛すべきユニークな県民性は、一体どこから生まれてきたものなんでしょうか?
そのヒントは、やはり沖縄の「歴史」に隠されているのです。
5.さあ、沖縄の歴史探検の旅へ
それではいよいよ、歴史探検の旅へ出発です。
本当の沖縄の魅力に迫る、歴史を学ぶ旅です。
東アジアの中心で繰り広げられてきたダイナミックなドラマが、他に類を見ない、稀有な存在を生み出したその歴史を、存分に味わってみましょう。
沖縄のあけぼの
まずはじめに、人類が沖縄の地に住み始める太古の昔にまでさかのぼり、沖縄の究極のルーツに迫っていきます。
さらに、そこからどのように沖縄の地で発展していったのか、いつの時代にどのような生活をしてきたのか、日本や中国、世界の歴史と重ね合わせながらその変遷を辿ってみることにしましょう。琉球王国の時代
かつて東アジアの大交易をリードし、栄華を極めた琉球王国。海上に花開いた王国の栄光と悲劇の歴史を捉えます。沖縄歴史のハイライトともいえる王国450年間を旅してみましょう。琉球処分、沖縄戦、そして現代へ
王国後半の不遇の時代は、ついに復興かなわず、廃藩置県によってあっけなく終わりを迎えます。幕末から近現代への激流に飲み込まれる沖縄を振り返りながら、進むべき未来に思いを巡らしてみましょう。
このような流れで、いよいよ次回から、古代の沖縄を皮切りに、詳しい歴史の泉に突入していきます。どうぞ次回もお楽しみに♪
【シリーズ"沖縄の歴史"】
本当の「沖縄の魅力」に迫る歴史探検の旅① 【沖縄のあけぼの】
本当の「沖縄の魅力」に迫る歴史探検の旅②【自然と調和した奇跡の楽園】