心理的安全性とは??

結論から言うと

心理的安全性の真骨頂は、イノベーションの創出過程である

という気づきを備忘録として纏めました。

この分野でとても有名なエドモンドソン教授が「心理的安全性」を提唱して既に20年が経過しており、研究フェーズは効果の検証から促進要因の探求へシフトしている模様。

このnoteは以下の書籍の要約になります。

この書籍から学んだことは大きく3つ。

1つ目は、組織(職場)において「心理的安全性」を構想しないという選択肢はもはやあり得ないということ。

2つ目は、VUCAといわれる激動時代おいて企業経営におけるイノベーションの創出は絶対条件。そのために「心理的安全性」は必要なエッセンスであるということ。

3つ目は、リーダー次第であるということ。

補足をすると、イノベーションが成否のカギを握る世界で組織が本当に成功するためには、優秀な意欲的な人を採用するだけでは十分ではない。会社がグローバル化で複雑になるにつれてチームで行う仕事はどんどん増え続けている。

その結果、協働する時間が20年前に比べて50%増加している状況において、もはや、優秀な人材を採用すればそれでいいという時代ではない。優秀な人材が力を合わせて仕事をする必要が必要があるということ。

ちなみに、率直な発言の経験に関する調査では85%の人が、「重要な問題について懸念を抱いても上司に話すのは無理だ」と感じた経験が少なくとも一度はあるとのこと。上司側の薫陶としては、自分が思っているほどメンバーは本音で接してくれていないということを冷静に受け止めておくべきだ。

更に、同書の著者であり、この分野の第一人者エドモンドソン教授は、

心理的安全性はグループレベルで存在する

という、事実を20年間の研究で立証している。

極めて強力な企業文化を持つ場合でも心理的安全性はグループによって著しく異なっていた。心理的安全性はグループ内の相性がよくて生まれるものでも、知らぬ間に生まれるものでもないと。

明らかなのは、心理的安全性の条件をうまくつくり出せるグループリーダーがいる一方で、つくり出せないリーダーがいるということだった。

心理的安全性はリーダーによってつくられる

不安がやる気を引き出す要因にはならないということをリーダーは肝に銘じておくべきだ。Googleでずば抜けて優秀な社員でさえ、持てる力を確かに役立てるには心理的に安全な環境が必要であることを、既に、調査からわかっている。さらに、ソーシャルメディア全盛期における沈黙な文化は極めて危険であるということについても警告を鳴らしている。

これは、歴史からも学ぶことができる。歴史の詳細についてはこのnoteでは割愛するが貞観政要は、まさに、諫言の大切さを説いた貞観時代の政治の要諦を纏めた書籍だ。

他にも有名な話では、悪魔の代弁者がある。

やや本論と趣旨はずれるかもしれないが、いずれにせよ、率直に意見を言える環境は、いつの時代も大事であるということ。逆に、そのような環境がないことによって発生するリスクは組織に甚大なダメージを与えてしまう。

どのように「心理的安全性」の土台をつくるか

ポイントは失敗をリフレーミングすることだ。

つまり、失敗を恐れるという状況は、職場環境の心理的安全性が低いことを示す最大のサインである。そのため、失敗にリーダーがどのような意味を持たせるかが、きわめて重要になる。

自分は失敗のプロではなく、学習のプロである

何より、失敗からは、貴重なデーターが手に入る。ただし学習するためには、失敗からの学びを注意深く精査できるだけの心理的安全性が不可欠なのだ。

また、人々が発言できるように、参加を求める方法は、

状況的謙虚さというマインドセット

をリーダーが持つことである。

ここで大事なことは、「自信」と「謙虚さ」が反意語でないことを留意すること。自分の能力や知識に自信をもつということは、正当であるならば、控えめであるより、ずっと好ましい。しかしながら、謙虚であることは、控えめであることとも、噓をつくことなども違う。それは、自分はすべての答えを持っているわけではなく未来を見通すことはできないと、率直に認めることである。

研究によれば、リーダーが謙虚さを示すと、学習行動に対するチームの積極性が増すことが明らかになっている。

発言を引き出すもう1つの方法は、

探求的な問い

すなわち、ほかの人の発言に心から関心を寄せられるようになること。しかし、これが難しい。理由は、大人になればなるほどナイーブ・リアリズム(自分は世界を正しく客観的に認識していると考える傾向)という認知バイアスにかかりやすくなっている。今起きていることを自分は「わかっている」と思ってしまうからだ。

リーダーがこのようなバイアスを克服して心から質問できるようになったらそれによって心理的安全性が促される。

さらに、同書で良い質問をするための鉄則も紹介されている

①あなたは答えを知らない                       ②イエスかノーの答えを求めるような質問をしない                    ③相手が集中して考えを話せるように尋ねる

これはカールロジャーズのカウンセリング(傾聴)の3原則である「受容」、「共感」、「自己一致」ともいえる。同書で紹介されているある研究結果からも、高等なファシリテーション技術を用いずとも「単純に耳を傾ける」という行為が心理的安全性を促進させると結論づけている。

心理的安全性と信頼は同じではない

この違いを理解することは実践上でとても重要である。

信頼とは、

個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度

心理的安全性とは、

集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度

つまり、個人間に存在する信頼の影響は、信頼を抱く個人と信頼される対象者のやりとりに限定されるが、手段で共有される心理的安全性は集団全体への行動に影響を与えるというとだ。個人間の信頼に留めるのではなく、それを集団で共有することが重要であると認識する上で、心理的安全性という概念はとても有効である。心理的安全性が単なる個人間の安心感ではなく、集団にしか起きない特殊な心理現象であるということを示している。個人の問題と組織・チームの問題を区別して実践するということだ。

感覚のズレは常に生じている

組織の心理的安全性に最も影響を与えているのがリーダーである。組織の雰囲気づくりにリーダーの影響は多大だ。心理的安全性を形成する過程でリーダー力は欠かせない。しかし同時に、リーダーとメンバーの感覚にはズレが生じやすいという「構造的問題」があることを自覚しておかなければならない。リーダーがこの問題に取り組むには、自分の感覚のズレは自然と生じてしまうことを自覚し、自らの努力のみでは解消できないことを認識する必要がある。意識する努力は当然重要であるが、加えて意識すべき点は、周りの声が届くような職場の構造を形成することである。つまり、このパラドックスをリーダー個人の問題として捉えるのではなく、チーム・組織の問題として捉え、対処する必要がある。

要するに、「このリーダーであれば真実を伝えても怒らない」「このリーダーを助けるために実際の状態を伝えたい」と思わせる、信頼関係を形成する必要がある。一対一の信頼関係をつくることを通して、集団としての心理的安全性の変化に気づくきっかけを構造的に得ること、それが、リーダーのパラドックスを打ち破るきっかけとなる。

最後に、エドモンドソン教授は、

間違いを伝える。失敗する。助けを求める。これらの行動こそが組織の力の源であり、これらの行動なくして組織の学習力や創造力が高まらないと語っている。

過去と他人を変えることはできない。できるのは影響をもたらすこと。

この3つを実践することが大事だ。

好奇心。思いやり。真摯な熱意。

まずは好奇心からはじめよう。好奇心を持つことで、問いが生まれれる。心から問うと、相手は自分が重要視されていると感じる。相手の返答に耳を傾け、思慮深く対応する。

思いやりとは、自戒だ。誰もが困難にぶつかることに思いを致し、忘れずにおくことである。皆、大なり小なりなんらかの問題に直面し、イライラしたり夜も眠れなくなったりすることがある。

真摯な熱意が重要なのは、組織の目標達成に力を尽くしているということを示したら、ほかの人も同様に尽くすようになるかもしれないからである。

こんな時だからこそ、同書を通じて「心理的安全性」について向き合うと同時に、「自己の在り方」を再点検する。

そして、Synergy溢れる社会づくりに貢献し続ける。


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