この星は誰のもの?
朝、玄関に出ると
「おはようございます。今日ありますか?」
隣のおじさんが声にかけられた。
「おはようございます。何がですか?」
「堀掘りですわ」
「あゝ、中止ですよ。回覧板に書いてましたよ」
「そうですか。誰かに聞かなあかんと思てましてん」
そう言って、笑いながら歩いて行った。
どことなく、無くてよかったと思いながらも、少し物足りない気もする。
晴天が続いていて、堀掘りするなら最適だか、
今年は、大人数での作業は無理だろう。
「お父さん、今年はドブそうじしないの?」
「うん」
「ついて行こうと思ってたのに」
「残念やなぁ」
こんなふうに
「ぼくも、ついていく」
と言ってくれるのも長くないだろう。
昨年は、スッポンをみてビックリしていた。ドジョウもいっぱいいた。
コロナで環境汚染がかなり改善されていると、
世界中からニュースが流れている。
町に野生動物が多数目撃されている。
ウェールズではヤギがうろついたり、カリフォルニアの学校に野生の七面鳥が現れたり、ベネチアの運河の水が濁った緑色から透明になり魚が戻ってきた。チリの首都では野生のピューマが餌を探していた。
「スゴイなぁ、野生の王国やん」
昔、観ていたテレビ番組を思い出した。
この星は、人間だけのものではないと痛感した。
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