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筋肉痛はむしろ筋肥大を阻害する?〜筋肉痛と筋肥大の関係性〜

はじめに

トレーニング後に感じる筋肉痛は、多くのトレーニーにとって「効いている証拠」や「成長の兆し」と思われがちです。しかし、筋肉痛と筋肥大の関係は必ずしもイコールではありません。この記事では、筋肉痛と筋肥大について科学的根拠に基づいて詳しく解説し、その関係性を深掘りします。

筋肉痛とは?

筋肉痛には2種類あります:

  1. 即発性筋肉痛(Acute Muscle Soreness):トレーニング中または直後に感じる痛みで、乳酸の蓄積や筋肉の一時的な疲労が原因。燃える様な感覚があり「バーン」などと呼ばれる痛みです。

  2. 遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness, DOMS):運動後12~48時間後にピークを迎える痛みで、特に筋肉を伸ばしながら力を発揮するエキセントリック運動で発生しやすい。

DOMSは、筋繊維の微細な損傷や炎症反応によって引き起こされます。この痛みは炎症性物質の増加や神経終末の過敏化によるものです。
参考文献

  • Cheung, K., et al. (2003). Delayed onset muscle soreness. Sports Medicine, 33(2), 145-164.


筋肥大のメカニズム

筋肥大(筋肉の増加)は、筋力トレーニングによって筋繊維が刺激され、その修復過程で成長する現象です。以下の3つが筋肥大の主要因として挙げられます。
1. 機械的張力(メカニカルテンション)
筋肉に強い負荷をかけることで、筋細胞内のセンサーが活性化し、成長シグナル(mTORなど)が発生します。このメカニカルテンションこそが、筋肥大の主な要因となる刺激です。
2. 筋損傷
トレーニング中の筋繊維損傷が修復される際に、筋肉がより強く太くなる適応を示します。しかし、この筋損傷は筋肥大に必須ではないとされています。
3. 代謝的ストレス
トレーニング中に乳酸や水素イオンなどの代謝物が蓄積することで成長因子が活性化し、筋肥大を促進します。
この3つの中で最も重要なのは機械的張力(メカニカルテンション)です。
参考文献

  • Schoenfeld, B. J. (2010). The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. Journal of Strength and Conditioning Research, 24(10), 2857-2872.


筋肉痛と筋肥大の関係性

「筋肉痛があるから筋肥大が起きる」と考えるのは単純すぎる見方です。以下に、らその関係性を詳しく見ていきます。

筋肉痛は筋肥大の指標ではない
筋肉痛の有無は筋肥大の成功を保証するものではありません。
例えば、トレーニング初心者や新しい刺激(新しい種目や高負荷)を取り入れた場合、DOMSが発生しやすいですが、上級者や慣れた種目では筋肉痛が少なくても十分な筋肥大が可能です。

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