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筋肥大を最大化させる分割方法:メカニカルテンションと高閾値モーターユニット動員を意識したアプローチ

はじめに

筋肥大のメカニズムを考えるとき、「メカニカルテンション(Mechanical Tension)」「高閾値モーターユニット(High-threshold Motor Units)」への十分な刺激が最も重要な役割を担います。

  • メカニカルテンション:筋繊維が受ける機械的張力であり、アクチンとミオシンの相互作用によって発生する“力”です。これが筋細胞内のメカノセンサーを刺激し、mTORシグナル経路などを介して筋タンパク合成を促進します。

  • 高閾値モーターユニット:大きな筋力を発揮しやすい速筋線維(タイプII)を多く含む運動単位。強い負荷や限界近くの追い込みによって動員されるため、筋肥大ポテンシャルが高いと言われています。

そこで本記事では、「どのような分割方法(スプリット)であれば、これらの要因を最大化しやすいのか?」を中心に解説します。分割を組む際に考慮すべき基礎理論や、各スプリットの特徴について詳しく見ていきましょう。


分割方法を考える上での基本原則

  1. 週当たりの筋刺激頻度

    • 筋肉に刺激を与える“機会”を週に何回用意するかは重要です。週1回よりも週2〜3回の方が、トータルのメカニカルテンションを継続的に与えやすい傾向があります。

    • ただし、あまりに高頻度にすると疲労や回復が追いつかなくなるリスクもあるため、各部位へのボリューム配分や個人の回復力を考慮しましょう。

  2. 負荷の質(メカニカルテンションの大きさ)

    • 高強度(1RMの70〜85%程度)を用いる場合、少ない回数・セットでも早い段階で高閾値モーターユニットが動員され、大きなメカニカルテンションを確保できますが、トレーニングの後半になると高強度のトレーニングでの質が落ちてしまいがちです(特に同一部位を1日で複数種目行う場合)

    • 軽負荷で高レップで行う場合でも、限界近くまで追い込むと最終的に高閾値MUが動員されることが確認されています。ただし精神的な疲労と、パンプによる疲労物質に蓄積によるトレーニングの質の低下が課題となります。

  3. 合計ボリュームとのバランス

    • 1回のセッションで高ボリュームを組むと、トレーニング前半には強い刺激を与えられますが、後半のセットで神経疲労で重量が落ちることも多いです(特に同じ部位への種目数が増える場合には)。結果、メカニカルテンションが下がり、狙った筋への負荷が逃げやすくなります。

    • セッションを分けてこまめに刺激する(週2〜3回)なら、各セッションで質の高い張力発揮をしやすくなるというメリットがあります。

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