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本当の金持ちは「中小企業のオーナー」かもしれない

目の前の金持ちは意外と地味だった

税理士法人で働いていた頃、ある日ふと気づいた。
「何だか地味な服装の人が多いな…」と。

でもよくよく財務諸表を見てみると、その地味な人たちがとんでもない資産を持っていた。

大金持ちっていうと、豪華スーツに高級車というイメージがあるかもしれない。

ところが彼らは軽自動車に乗り、安い居酒屋で「ビールとお通しで十分だよ」なんて言ってくる。

実際、外見で「俺、金持ってます!」と主張しない。むしろ、節約のプロみたいな雰囲気すらある。

特に印象深いのは、地元で小さな不動産業を営むオーナー。

小さなビジネスを淡々と回していただけなのに、長年コツコツと利益を出し続けていた結果、ある日気づけば地域有数の資産家になっていたらしい。

オフィスに行くと、正直「昭和レトロ?」と思うようなビルで、本人も質素な服装。派手さのかけらもないのに、数字を見れば桁違い。ギャップがすごい。

そんな光景を何度も見ていると、「世の中の金持ちって意外と静かに暮らしてるんだな…」と痛感する。世間が想像する“金持ち像”とは、だいぶ違う姿だ。

中小企業オーナーが金持ちになる理由

じゃあ、どうして中小企業のオーナー社長がそんなにお金を持ちやすいのか。

理由はいろいろあるけど、その一つは「数十年続ければ堅実な利益が積み上がる」ことだ。

派手な成長なんてなくても、利益を出し続ければその分が資産になる。しかも、家族経営やオーナー一族でやっている会社なら外野があまり口出ししない。

利益が出たら、ひたすら再投資。気づいた頃にはケタが変わってる、なんてことも。

一方で、スタートアップが大々的に資金調達したニュースを出すことがある。

華々しいし、「すごい!」と思うけれど、実は株を放出してしまっているので、社長の持ち株は希薄化するし、株主への説明やレポートも必要になる。下手すると「自由にやりたいから起業したのに、株主の顔色ばかり伺ってる…」みたいな矛盾も起きるわけだ。

でも100%自分が株を持ってる会社なら、そんな面倒は一切ない。王様のように経営ができる。

利益を好きに再投資して、不動産業を追加したり、管理業を新設したり、グループ会社同士で仕事を回したりして、ゆっくりだけど着実に経済圏を作り上げる。

オーナーがやりたい放題…とはいえちゃんと利益を出すから誰にも文句を言われない。結果として、莫大な資産を築ける。

オーナーには税制面でもメリットがある。サラリーマンは所得を自分で調整できないけど、オーナーは役員報酬の調整や経費計上でうまく“節税”できる。これによって、個人としての可処分所得が減らないまま、豊かな暮らしを実現できるのが大きいポイントだ。

上場企業役員との差

「じゃあ、上場企業の役員って儲からないの?」と思うかもしれないが、もちろん役員報酬自体は高い。でも、株主への説明責任があるし、役員報酬にも上限がある。成果を出しても、ガンガン年収が増えるわけでもない。

さらに株価や業績を気にしながら短期的な成果を求められることも多いし、経営判断にしても株主の承認が必要。自由にドーンと事業を展開しようにも、なかなか難しい。
しかも、上場企業で役員ポストに就くまでには長い道のりがあり、どこかで業績が落ちれば報酬も下がるリスクがある。任期の問題もあるから、実はあんまり安定感がない世界かもしれない。

その点、中小企業オーナーは短期の株価を気にする必要もなければ、任期が尽きる心配もない。自分が社長であり続ける限り、ずっとその会社から利益を享受できる。成長がゆるやかでも、続けるほどに資産は積もっていく。気づいたときには「実は10億持ってるんだよね」なんてことも普通にあるわけだ。

まとめ

もし「どうしても金持ちになりたい!」と思うなら、大企業に入って役員になるだけじゃなく、小さい会社を持つという選択肢もある。派手な見栄やバブリー感はないかもしれないけど、こつこつ続けることで長期的な富を築きやすい道だ。

実際、会社がしっかり利益を生むようになれば、他社から「その会社、買わせてくれませんか?」なんて声がかかることもある。売却して一気に資産を得るチャンスも潜んでいるし、自分がオーナーという立場なら、納得のいく判断や交渉がしやすい。

中小企業って就活のときはあまり注目されない存在だけど、その創業オーナーは大企業のエリートが何十年かけてやっと手にするレベル以上の資産を、意外と早く手にしていたりする。しかも経費を駆使すれば、割と自由にお金を使える。そう考えると、地味に見えて実はめちゃくちゃ派手な力を持っているのが、中小企業オーナーだ。

「真の金持ち」とは、見た目じゃなく、実はこういう人たちを指してるんじゃないかと思う。

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