旅チャッカという名のチャッカブーツ
埼玉県の北部で、オーダーメイド靴の靴工房をやっています。
写真の靴は、私達の企画商品の「旅チャッカ」というチャッカブーツです。
見たところ、フツーのチャッカブーツですが、これにはちょっとした仕掛けがあります。
通常、革靴は1日履いたら数日間は休ませるので、例えば3日間の旅行や出張の場合、靴が3足必要になります。
極端な例かもしれませんが、3日間を1足で乗り切るのはちょっと無謀ですよね。
100歩譲っても2足は必要。
でも、靴って意外と重くて、3日間の旅行や出張の荷物にスペアの靴を1足ないし2足入れていくのはちょっとなぁという感じだと思います。
実際、私達の工房でもお客様からそのようなご要望を頂いていました。
「ここの靴、履きやすいんだけど、出張に履いていくと荷物が多くなっちゃううだよねぇ。」
と。
そこで考えたのが、「旅チャッカ」です。
どうして革靴は1日履いたら数日間や済ませなくてはいけないのかというと、主な理由は足から出る汗がヌメ革のインソールに染み込み、そのまま翌日も履き続けるとインソールが次第に硬化して、そのうち表面に亀裂が入ってしまうのです。
さらに、衛生的にも良くないですよね。
朝、しっとりとした靴に足を突っ込むのも嫌ですし。
なので、インソールを取り外して交換できるようにしてしまえということで作ったのが旅チャッカです。
もともと6ミリの厚さのインソールを使っていますが、この旅チャッカは取り外せる2ミリ厚のインソールと、靴に固定されている4ミリ厚のインソールの2重構造になっていまして、2ミリ厚の取り外せるインソールをスペアで何組か持っていけば、翌日も、その翌日も、インソールを交換することで靴を履くことができるという仕組みです。
インソールを毎日交換すれば、靴の中が臭くなりにくいですし、もちろんサラッとしていますから快適に履くことができます。
ちなみに、どうしてデザインをチャッカブーツにしたのかといいますと、チャッカブーツは脱ぎ履きが簡単な上に履くときに靴べらを必要としません。
さらに、足首までホールドできるブーツなので、たくさん歩いても足がつかれにくいというのが理由です。
製法は、雨にも強いブラックラピド製法です。
じつは、私達は実用を目的としたオーダーメイドの靴を作っているのですが、メインは履き心地を重要視したハンドソーンウェルテッドという製法で製作しています。
それとは別に、この旅チャッカのような目的に合わせた企画商品を作っています。
もちろんオーダーメイドという括りで、旅の他に自転車、ウォーキングなどがあり、今後も必要に応じて増やしていきます。
オーダーメイドの靴というと、高価で一部の人だけのためのものというイメージがあるかもしれませんが、私達は靴の進化の先にあるのはお客様ひとりひとりに合ったオーダーメイドのようなものだと思っています。
もしかしたら、近い将来にはもっと簡単な方法でひとりひとりにあった靴を作ることができるようになるかもしれませんが、とりあえず今は今できる方法でひとりひとりに合った靴をできるだけお求めやすく、そして妥協のないクオリティで提供しています。
靴が合わなくて困っている方も多いでしょうし、合っていても疲れやすいとか痛くなってしまうなど、おそらく多くの方が靴に対して問題を抱えているはずです。
じつはこの旅チャッカは、私達のオーダーメイドの靴の中でもエントリーモデル的な立ち位置にあり、初めてオーダーする方でもオーダーしやすいようになっています。
不定期の発売になりますが、今後もまた発売していく予定なので、ご興味を持っていただけた方は時々このページにいらしてください。
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