足に合わせやすい靴のデザインについて
なかなか足に合った靴が見つからない、そのようなお声を私の工房ではよく頂きます。
足計測をすると、その理由、原因が見えてきて、靴木型から製作すれば解決する事も多いのですが、既製靴でも、自分の足の特徴を理解してフィット感がある程度向上出来ると考えています。
今回はデザインから見た靴と足のフィット感について考えてみたいと思います。
既製靴は左右でサイズが同じです。しかしながら、私は今まで多くの方の足の計測をさせて頂いていて、なかなか足に合った靴が見つからないとおっしゃる方は、左右差が必ずあります。
長さ・幅に対して踵が小さい方、長さに対して幅が広い方、高さが高い、逆に低い、同じ足の長さでも足指の長さが長い、短いなどなど、本当に様々です。
その様に、千差万別な足を決まった形の靴に当てはめる訳ですから、無理が出るのは仕方がありません。
既製靴で、なるべく快適に履きたいのであれば、調節出来るデザインは必須です。
紐、ストラップが代表的な調節道具です。
さらに紐靴の中でも、外羽根靴と言う種類を選択すると調節範囲が広がります。下の写真の靴が外羽根靴になります。(ミワ製靴製作)
今回は紐穴が3つの外羽根靴を載せていますが、左右で幅の差がある方の場合は、より紐穴が多いタイプを選ばれると合わせやすいです。
また、ストラップでも調節が可能です。下の写真の靴も外羽根靴です。(ミワ製靴製作)
羽根と言われる部分が爪先方向に長めにデザインされたタイプです。
私は革靴を製作していますが、布製のスニーカータイプにも同じ事が言えます。
一つ気をつけなければならないのは、縫い目が当たって痛くなる方がいらっしゃいます。
細かい話になってしまいますが、靴木型を作る時や、フルオーダーのデザインを引く時には、足の関節を十分に考慮しています。
既製靴の場合、試し履きをしてみて、歩いた際に、縫い目が当たって痛くないか、その辺りにも意識を向けてみて下さい。
また、日本人は靴を室内で脱ぐと言う文化があり、1日で脱ぎ履きする回数が大変多いと言う事もあり、靴紐をしっかりと解いて脱ぎ履きする方が大変少ないです。
大人がやらないので子供もやらないです。
せっかくの調節道具も、使われなければ効果が発揮されず、特に既製靴ではフィット感が落ちてしまいます。
緩い靴に慣れてしまっている人ほど、それに気付きにくく、いつの間にか身体全体の歪みに繋がっている場合もあります。
また、歩いている時は、地面から足を浮かせている時と、足をついて力が入る時で、足の幅の広がりなどが変化しています。緩い靴、調節道具をしっかりと締めていない靴を履き続けると、靴の中で足が動き、タコなどが出来やすく、関節も痛めやすくなります。
調節道具のない靴を履く場合は、長時間歩き続けない時に留めておく事をおすすめしています。
脱ぎ履きしやすいので日本人には大人気のスリッポンですが、スリッポンタイプは長く歩くには適していません。
山登りにヒールが適さない様に、TPOに合わせて靴をお選び下さい。
今回は靴のデザインとフィット感についてお話しさせていただきました。靴を選ばれる際の参考になりましたら幸いです。
足に合わせた靴を作るには大変時間が掛かり、正直に申し上げまして活動の維持は常にぎりぎりの状態にあります。既製靴では合わないと言う方々の役に立てばと言う思いでずっと作り続けております。 サポート頂いたお金は活動費として使わせていただきます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。